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第一章 出会い編
第五話 フリードリヒ様の過去③
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国王陛下は、国宝として隠されていたある異世界の道具を母親に見せたそうだ。
異世界人が召喚されるようになってかなり経つこともあって、地球由来の物の名称は既に出回っているものも多いのだが、クリフォト王家に残されていた異世界の道具はかなり変わった物だったようで、異世界人でも言い当てられるか分からない程に珍しい物だったらしい。正確には、その道具に描かれている絵が重要だったようだが、道具の名前とその絵がなんであるか見事に言い当てた母親は、異世界人以外にありえないと国王夫妻は断言した。
「俺は実際に現物を見たことがないので分からないが……きゃらくたぁの名前を言えたということは、母子は間違いなく異世界人だと両親は言っていたな。だが、まぁ……国宝を見せたくらいだ、最初から異世界人だと確信は持っていたんだろうが」
それを聞いて、僕はなるほどなと納得した。物自体はよく分からないけれど、多分それには漫画かアニメのキャラクターが印字されているんだろう。確かに、物や形と違って何のキャラクターか言い当てるのは、この世界の住民には困難……いやおそらくは不可能だというのは間違いない。
「保護するためには、しっかりとした証明が必要だったということですよね」
僕がそう言うと、フリードリヒ様はそういう事だと笑った。
「いくら何でも、国民より異世界人を優先させるというのは統治者としてはありえないことだ。そこは、父も母も分かっていた。だから、正式に証明することが出来た後、二人を迎え入れた。幸い二人は大人しく性格で、周囲と問題を起こすような者ではなかったこともあって、さほど馴染むのには時間はかからなかった。気づけば周りも自然に二人を受け入れていたよ」
フリードリヒ様が両親に嘆願したことがきっかけとなったこともあり、母子の様子を見守り助けること。それがフリードリヒ様に与えられた仕事だった。まだ十歳にも届かないような子供にそんな仕事をと思うかもしれないけれど、クリフォトの民は自立が非常に早くて、かなり幼い頃から色々なことを叩きこまれるらしい。
当然、フリードリヒ様は与えられた仕事に真面目に取り組み、最初は恐る恐るといった感じで中々心を開いてくれなかった二人も、フリードリヒ様が足しげく通う内に気を許してくれるようになり、半年が経つ頃にはルーイとフリードリヒ様は昔からの友人のように仲良くなっていたとフリードリヒ様は続けた。
「ルーイは、明るくて無邪気でとても可愛い奴だった。いつも俺の後ろをついてまわってきて、まるで子犬のように俺を慕ってくれたし、俺もルーイのことを一番大切にしていた。まぁ、この時はまだ、弟のような感覚でしかなかったが……」
まだ。そう言うという事は、やはりルーイという人がフリードリヒ様の想い人なのは間違いないようだ。
(話を聞いている限り、むしろフリードリヒ様は好かれているように思える。たとえルーイが男性を恋愛対象に見れなかったとしても、少なくとも拗れるような関係には思えないけれど……)
それに、イシュトさんは前に言っていた。振られたというより、捨てられたというのが正しい、と。
捨てられたという事は、一度はフリードリヒ様と恋人関係になってから、その後何かがあって別れたということだ。
「じゃあ、ルーイさんがフリードリヒ様の……?」
念のために僕がそう聞くと、フリードリヒ様ははっきりと頷いた。
「ああ――ルーイが私の恋人だった男だ」
異世界人が召喚されるようになってかなり経つこともあって、地球由来の物の名称は既に出回っているものも多いのだが、クリフォト王家に残されていた異世界の道具はかなり変わった物だったようで、異世界人でも言い当てられるか分からない程に珍しい物だったらしい。正確には、その道具に描かれている絵が重要だったようだが、道具の名前とその絵がなんであるか見事に言い当てた母親は、異世界人以外にありえないと国王夫妻は断言した。
「俺は実際に現物を見たことがないので分からないが……きゃらくたぁの名前を言えたということは、母子は間違いなく異世界人だと両親は言っていたな。だが、まぁ……国宝を見せたくらいだ、最初から異世界人だと確信は持っていたんだろうが」
それを聞いて、僕はなるほどなと納得した。物自体はよく分からないけれど、多分それには漫画かアニメのキャラクターが印字されているんだろう。確かに、物や形と違って何のキャラクターか言い当てるのは、この世界の住民には困難……いやおそらくは不可能だというのは間違いない。
「保護するためには、しっかりとした証明が必要だったということですよね」
僕がそう言うと、フリードリヒ様はそういう事だと笑った。
「いくら何でも、国民より異世界人を優先させるというのは統治者としてはありえないことだ。そこは、父も母も分かっていた。だから、正式に証明することが出来た後、二人を迎え入れた。幸い二人は大人しく性格で、周囲と問題を起こすような者ではなかったこともあって、さほど馴染むのには時間はかからなかった。気づけば周りも自然に二人を受け入れていたよ」
フリードリヒ様が両親に嘆願したことがきっかけとなったこともあり、母子の様子を見守り助けること。それがフリードリヒ様に与えられた仕事だった。まだ十歳にも届かないような子供にそんな仕事をと思うかもしれないけれど、クリフォトの民は自立が非常に早くて、かなり幼い頃から色々なことを叩きこまれるらしい。
当然、フリードリヒ様は与えられた仕事に真面目に取り組み、最初は恐る恐るといった感じで中々心を開いてくれなかった二人も、フリードリヒ様が足しげく通う内に気を許してくれるようになり、半年が経つ頃にはルーイとフリードリヒ様は昔からの友人のように仲良くなっていたとフリードリヒ様は続けた。
「ルーイは、明るくて無邪気でとても可愛い奴だった。いつも俺の後ろをついてまわってきて、まるで子犬のように俺を慕ってくれたし、俺もルーイのことを一番大切にしていた。まぁ、この時はまだ、弟のような感覚でしかなかったが……」
まだ。そう言うという事は、やはりルーイという人がフリードリヒ様の想い人なのは間違いないようだ。
(話を聞いている限り、むしろフリードリヒ様は好かれているように思える。たとえルーイが男性を恋愛対象に見れなかったとしても、少なくとも拗れるような関係には思えないけれど……)
それに、イシュトさんは前に言っていた。振られたというより、捨てられたというのが正しい、と。
捨てられたという事は、一度はフリードリヒ様と恋人関係になってから、その後何かがあって別れたということだ。
「じゃあ、ルーイさんがフリードリヒ様の……?」
念のために僕がそう聞くと、フリードリヒ様ははっきりと頷いた。
「ああ――ルーイが私の恋人だった男だ」
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