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17話
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タカラside
次の日から俺の学生生活に大きな変化が訪れた。
いつもの時間に玄関を出ると家の前にキイチがいて、昨日のイオリとの事を思い出した俺が気まずく思いながらも「おはよ」そうキイチに言うと俺の後ろからイオリが走って出てきた。
イオリは俺を突き飛ばすようにしてキイチの元に駆け寄ると、当たり前のようにキイチと腕を組んで歩き出し、キイチは俺の顔を見る事もひと言も話すことなくイオリと歩いていき俺の胸はザクッと痛みが走る。
キイチと一緒に俺たちの家まで来たはずのミズキはキイチから何も聞かされていなかったのか、そんな2人の様子を見て目を丸くし俺の顔色を伺い、イオリはキイチの手に指を絡め俺は見たくもないその光景に目を背ける。
M「えっと…話が全く見えないんだけど…どうなってんのこれ?」
ミズキはキイチとイオリの後ろ姿を指差しながら俺に問いかけた。
T「あの2人付き合ったんだって。」
M「まさか~お前のこと大好きなキイチがイオリと付き合うわけ~。しかもイオリは~…え…待ってマジなやつ?」
ミズキは笑いながらそう言いかけたが、笑顔にならない真顔の俺をみてハッとした顔をして口をあんぐりとする。
M「マジ!!?」
そう驚くミズキを置いて俺は1人歩いて学校に向かうが、どうも目の前で当て付けのようにキイチにイチャつくイオリが目障りで足が思うように進まない。
キイチの中学は俺たちの高校とは逆方向のはずなのに、イオリは当たり前のようにキイチに学校まで付いて行かせるのかと思ったら、そんなイオリに呆れて言葉も見つからなかった。
M「タカラ……大丈夫?」
ミズキは心配そうに俺の顔を覗き込む。
T「大丈夫そうにないから…今日は学校サボる。ノイルくんのバイト先に行ってくる。」
M「…分かった。気をつけてな。なんかあったら連絡しろ。」
ミズキはそう言って俺の肩をポンと叩くと学校へ向かった。
俺は学校とは逆の方へと向かい当時、ノイルくんのお兄さんが経営していたノイルくんのバイト先でもある行きつけのカフェRossoへと向かった。
T「おはよ。」
N「おっはよ~って笑顔で出迎えてもらえると思ったら大間違いだぞ。」
バイト中のノイルくんはそう言って俺を見て呆れている。
T「ノイルくん…今日は優しくして…」
俺はそう言いながらいつもみんなで集まる席に1人で座る。
泣きそうになるのを堪えながらテーブルに伏せてみても、頭に思い浮かぶのはキイチとイオリの姿。
確かに俺はキイチに特別な感情を抱いていた。
でも、それは男同士で抱いてはいけない感情だと思い、俺は必死でその気持ちを押し殺そうとしていた。
なのに…イオリは俺の知らない間にキイチと付き合うようになっていた。
俺はいつもそう…
何をするにもイオリより少し遅い。
それもこれも日にちを跨いで生まれてきてしまったせいなのだろうか?
もし…もし万が一…
俺がイオリよりも先に生まれていたら…
今、キイチのそばにいて手を繋ぎ幸せそうに歩いてるのは俺だったかもしれない。
そんな無意味な考えをかき消すように頭を振りながら顔を上げると、ノイルくんがりんごジュースを出してくれた。
N「ミズキから聞いたよ。まぁ、あのキイチのことだから本気じゃないだろ。」
T「なんでノイルくんにそんなこと分かるんだよ。」
N「大人になったら分かるんだよ。」
T「3歳しか歳変わらないくせに。」
N「うるさい。」
そんなやり取りをしながらもノイルくんは俺のためにサンドイッチを作って出してくれた。
ダラダラと店内で過ごし、学校の終わる時間帯を見計らって親に学校をサボったことがバレないように帰宅した。
イオリが家に帰ってくる前に部屋へと閉じこもり、全てを忘れ去るかのように俺はパソコンゲームにのめり込んだ。
つづく
次の日から俺の学生生活に大きな変化が訪れた。
いつもの時間に玄関を出ると家の前にキイチがいて、昨日のイオリとの事を思い出した俺が気まずく思いながらも「おはよ」そうキイチに言うと俺の後ろからイオリが走って出てきた。
イオリは俺を突き飛ばすようにしてキイチの元に駆け寄ると、当たり前のようにキイチと腕を組んで歩き出し、キイチは俺の顔を見る事もひと言も話すことなくイオリと歩いていき俺の胸はザクッと痛みが走る。
キイチと一緒に俺たちの家まで来たはずのミズキはキイチから何も聞かされていなかったのか、そんな2人の様子を見て目を丸くし俺の顔色を伺い、イオリはキイチの手に指を絡め俺は見たくもないその光景に目を背ける。
M「えっと…話が全く見えないんだけど…どうなってんのこれ?」
ミズキはキイチとイオリの後ろ姿を指差しながら俺に問いかけた。
T「あの2人付き合ったんだって。」
M「まさか~お前のこと大好きなキイチがイオリと付き合うわけ~。しかもイオリは~…え…待ってマジなやつ?」
ミズキは笑いながらそう言いかけたが、笑顔にならない真顔の俺をみてハッとした顔をして口をあんぐりとする。
M「マジ!!?」
そう驚くミズキを置いて俺は1人歩いて学校に向かうが、どうも目の前で当て付けのようにキイチにイチャつくイオリが目障りで足が思うように進まない。
キイチの中学は俺たちの高校とは逆方向のはずなのに、イオリは当たり前のようにキイチに学校まで付いて行かせるのかと思ったら、そんなイオリに呆れて言葉も見つからなかった。
M「タカラ……大丈夫?」
ミズキは心配そうに俺の顔を覗き込む。
T「大丈夫そうにないから…今日は学校サボる。ノイルくんのバイト先に行ってくる。」
M「…分かった。気をつけてな。なんかあったら連絡しろ。」
ミズキはそう言って俺の肩をポンと叩くと学校へ向かった。
俺は学校とは逆の方へと向かい当時、ノイルくんのお兄さんが経営していたノイルくんのバイト先でもある行きつけのカフェRossoへと向かった。
T「おはよ。」
N「おっはよ~って笑顔で出迎えてもらえると思ったら大間違いだぞ。」
バイト中のノイルくんはそう言って俺を見て呆れている。
T「ノイルくん…今日は優しくして…」
俺はそう言いながらいつもみんなで集まる席に1人で座る。
泣きそうになるのを堪えながらテーブルに伏せてみても、頭に思い浮かぶのはキイチとイオリの姿。
確かに俺はキイチに特別な感情を抱いていた。
でも、それは男同士で抱いてはいけない感情だと思い、俺は必死でその気持ちを押し殺そうとしていた。
なのに…イオリは俺の知らない間にキイチと付き合うようになっていた。
俺はいつもそう…
何をするにもイオリより少し遅い。
それもこれも日にちを跨いで生まれてきてしまったせいなのだろうか?
もし…もし万が一…
俺がイオリよりも先に生まれていたら…
今、キイチのそばにいて手を繋ぎ幸せそうに歩いてるのは俺だったかもしれない。
そんな無意味な考えをかき消すように頭を振りながら顔を上げると、ノイルくんがりんごジュースを出してくれた。
N「ミズキから聞いたよ。まぁ、あのキイチのことだから本気じゃないだろ。」
T「なんでノイルくんにそんなこと分かるんだよ。」
N「大人になったら分かるんだよ。」
T「3歳しか歳変わらないくせに。」
N「うるさい。」
そんなやり取りをしながらもノイルくんは俺のためにサンドイッチを作って出してくれた。
ダラダラと店内で過ごし、学校の終わる時間帯を見計らって親に学校をサボったことがバレないように帰宅した。
イオリが家に帰ってくる前に部屋へと閉じこもり、全てを忘れ去るかのように俺はパソコンゲームにのめり込んだ。
つづく
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