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12.悪役令嬢、理解する。

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ディネットは俺とメイディスをを見て、顔を青ざめている。見比べるように、見ていると、状況を理解したようか、頭を抱え、大声で叫ぶ。


「・・・私、ディネット・ライディスになっているの!?いやー!!これって、悪役令嬢じゃない!!」



・・・この転生者は、どうやらこの乙女ゲームを知っているようです。それだけは俺でも分かります。俺は、悪い予感がしたので、軽く防御体勢に入る。そうすると、彼女の叫びに呼応するかのように、水がどこからか俺達を襲う。俺は、流石に、炎魔法で水を蒸発させる。



メイディスを傷付けたら、俺が怒られるわ。彼女は水魔法を使用するのね。勉強になったわー。この時点で、すでにシナリオブレイク。悪役令嬢は学校に通う時、魔法を使用しない、普通の貴族科のクラスに所属する。しかし、今の状況で貴族科に所属するとは到底考えられない。というか、彼女がギルドにも所属するとは思えないし、魔法騎士隊に所属するとも思えない。どうしましょう?



「・・・大丈夫ですか?貴方は、水魔法を使用するのですね。これから、どうしましょう?メイディス王子。」


まず、彼女に言い聞かせてから、メイディスの方に振り向く。


「え?・・・そうですね。僕と同じように魔法騎士隊に所属させますか?」

「いや、それはないでしょう。あの修行に女性がついてこれるとお思いですか?・・・ちょっと、”望月”さんに聞いてみます。」



俺は医務室から離れようとすると、彼女が俺を見て、一言。


「貴方は私の・・・執事ですか?」


これには、メイディスが代わりに答えた。


「いえ?彼は僕達の護衛で、仕事をしていただけですよ?それは、貴方が一番ご存知じゃないですか?」

「・・・!?そ、そうですか・・・。」



彼女は覚えているのかな?俺が貴方の執事でない事を。それとも、記憶毎、転生者のものになってしまったのかな?俺は医務室を離れ、”望月”さんの元へ。”望月”さんこと、俺に上級魔術師の称号を与えてくれた人である。そう、魔術師の募集をしていた時に、試験官をしていたあのおじいさんである。



俺は”望月”さんの部屋に入ると、事情を軽く説明する。”望月”さんは後日国王陛下とライディス公爵とお話をするようだ。俺は医務室へと戻る。



ディネットの周りは暗い雰囲気が漂っており、いくらメイディスでもどうにもならなかったようだ。俺はディネットに声をかける。耳元で、俺が転生者である事を、漏らす。


「・・・大丈夫ですか?俺は貴方の執事ではないですが、貴方と同じ状況に置かれていた人間です。相談くらいは乗りますよ。」


ディネットはそれで、俺が転生者である事を確信したようで、肩を思いっきり揺さぶる。


「これって、どういう状況か説明してください!!私、よく分からないというか、理解したくないというか・・・とりあえず、私の分かる範囲で国の状況でも教えて下さい!!」


あぁ、確かに、その気持ちは分かるかもしれないな。


△△△△


とりあえず、ゲーム説明みたいな情報を口にする。その際、彼女の生い立ちも聞いたけどね!18歳の女子高生だったそうです!俺と同い年だね!どうやら、俺と同時期に亡くなった事が判明したけど、何で、この世界では8年もラグが生じたのだろう?そして、思いっきり、メイディスを置いてけぼりにしているが、まず彼女に事情を理解させる方が先決だろう。そして、最後、完全に状況を理解した時は、ディネットの周りだけ雨が降っているような状況で、父親登場。タイミング、悪っ!!



「ディネット!!どうしたんだい?そんな落ち込んで?」


俺達に非はない事を先に、言っておいた。


「まず、始めに彼女は属性魔法の発動で、気分が悪くなってしまったようです。一度、屋敷に戻られては?後日、”望月”の方から説明があると思いますので。」


そうすると、父親が状況を理解した。というか、本当に雨が降っているのだ、彼女の周りで。理解せざるを得ないだろう。というか、風邪をひくので、彼女には早く立ち直って欲しいのだが。今は無理か。



後日。

彼女は風邪をひいてしまったらしい。けれども、他に国王陛下との時間を作れなかった為、父親だけ王城にやってきた。俺はメイディスと一緒に呼ばれ、一同に説明をせざるを得なかった。その時、国王陛下は俺の正体に何となくだが、気付いた気がしたんだ。
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