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公爵様が私たちが戻って来たのに気づいて近寄ってきた。
「どうでしたか?」
「すごいな。公爵、私も領内学校建設の依頼をしたところだ。」
「フレデリック様、ご自分の身分と領地の場所は伝えましたか?」
「そう言えば、まだだった。私は、王太子のフレデリックだ。学校を作りたいのは、王家の直轄領。」
知らないことにしているので、ここは驚かないとまずいだろう。
「王太子殿下なんですか?失礼いたしました。私のような者が口出ししても良いのですか?」
私は今日初めて会ったばかり。王太子殿下だと今知ったばかり。心の中で呪文のように繰り返す。
「もちろんだ。こちらで準備が出来次第、迎えをよこす。」
「かしこまりました。」
王太子殿下がお忍びとは言え、我が領内に来たとなれば、お父様が歓待しなくてはならない。
お父様を呼び出し、接待を依頼する。いつもの野菜スープにパンとお母様の作るアップルパイくらいしかないが、質素な生活をしていると話したばかりなので、許してもらおう。
「王太子殿下、大したおもてなしもできませんが、伯爵家にお越し下さい。公爵閣下もお越し下さい。」
「伯爵、私はセリーナと少しうちの領地学校の話をしてからうかがうので、先に殿下の案内を頼む。」
「はい。お待ちしております。」
王太子殿下とお父様が離れたのを見計らって公爵様が話し始めた。
「フレデリック様は、あれからアイリスが候補から外れるなら、候補からの妃選びを白紙にするとおっしゃって、執務に励むことでまわりの口出しをさせずに来たんだ。
今回、開校式のために王都を留守にすると挨拶に伺ったら、学校に興味を示して一緒に来たいと言い出したのだが、途中公爵領に寄る話をしたらアイリスにも会いたいとおっしゃって…よほどセリーナが気に入っていたんだな。」
「本当ならお会いすることがあるはずなかった方ですわ。アイリス様があの頃と別人のようだとおっしゃっていましたから、そのままそう思っていていただければ。」
「セリーナ、君はそれでいいのか?」
「殿下が好きなのはアイリス様ですよ。私はただの伯爵令嬢です。そろそろ参りましょう。皆さんお待ちですから。」
「どうでしたか?」
「すごいな。公爵、私も領内学校建設の依頼をしたところだ。」
「フレデリック様、ご自分の身分と領地の場所は伝えましたか?」
「そう言えば、まだだった。私は、王太子のフレデリックだ。学校を作りたいのは、王家の直轄領。」
知らないことにしているので、ここは驚かないとまずいだろう。
「王太子殿下なんですか?失礼いたしました。私のような者が口出ししても良いのですか?」
私は今日初めて会ったばかり。王太子殿下だと今知ったばかり。心の中で呪文のように繰り返す。
「もちろんだ。こちらで準備が出来次第、迎えをよこす。」
「かしこまりました。」
王太子殿下がお忍びとは言え、我が領内に来たとなれば、お父様が歓待しなくてはならない。
お父様を呼び出し、接待を依頼する。いつもの野菜スープにパンとお母様の作るアップルパイくらいしかないが、質素な生活をしていると話したばかりなので、許してもらおう。
「王太子殿下、大したおもてなしもできませんが、伯爵家にお越し下さい。公爵閣下もお越し下さい。」
「伯爵、私はセリーナと少しうちの領地学校の話をしてからうかがうので、先に殿下の案内を頼む。」
「はい。お待ちしております。」
王太子殿下とお父様が離れたのを見計らって公爵様が話し始めた。
「フレデリック様は、あれからアイリスが候補から外れるなら、候補からの妃選びを白紙にするとおっしゃって、執務に励むことでまわりの口出しをさせずに来たんだ。
今回、開校式のために王都を留守にすると挨拶に伺ったら、学校に興味を示して一緒に来たいと言い出したのだが、途中公爵領に寄る話をしたらアイリスにも会いたいとおっしゃって…よほどセリーナが気に入っていたんだな。」
「本当ならお会いすることがあるはずなかった方ですわ。アイリス様があの頃と別人のようだとおっしゃっていましたから、そのままそう思っていていただければ。」
「セリーナ、君はそれでいいのか?」
「殿下が好きなのはアイリス様ですよ。私はただの伯爵令嬢です。そろそろ参りましょう。皆さんお待ちですから。」
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