ラズとリドの大冒険

大森かおり

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 感情を昂らせながら、ラズが言った。
「だってようやく、ずっと心で描いていた私の夢が、叶おうとしているんだもの」
 これで、なんのわだかまりもなしに、ずっと行きたかった、冒険に行ける。
 なんでも見られる。どんな人にも会える。たくさん経験できる。
 ラズは喜びが爆発して、
「うれしい! 私、やっと冒険に行けるんだわ!」と、声高らかに、そう言った。
 リドはそんなラズを見て、満足した顔で、その場に座っていた。
「じゃがな、あの、小さな頃から可愛がっていたラズが、この村から出て行くとなると、本当に、寂しくなるのう……」
 ヨールおじいちゃんはうつむき、すっかり、肩を落としていた。
 そんなヨールおじいちゃんを見たラズは、とっさに、
「心配しないで、ヨールおじいちゃん」と言った。
「私、また一年後に、この村に帰ってくるわ。それだけじゃなくて、毎年、顔を見せに来るわよ」
 ラズの言葉を聞いたヨールおじいちゃんは、パッと顔を上げて、
「なに? 本当か? それは、うれしいことじゃのう」と、元気を取り戻しながら言った。
「なら喜んで、お前を送り出してやれるというものじゃわい」
「そうと決まったら、明日には冒険に出た方がいいと思うぜ。善は急げだ」
 自分とは関係ないにもかかわらず、リドはおせっかいにも、ラズにそう言って、急かしてきた。
 この時ラズは、冒険に行けることが嬉しくてたまらず、
「ええ。本当に、私、胸がワクワクしてきたわ!」と、相変わらず、喜びをあらわにしていた。
「オイラも、なんか楽しくなってきた!」
 ネルーピーが、ラズにつられて、そう言った。
「でも私、自分の船を持っていないわ。だから、船を造ってから、冒険に出ないといけない」
 突如、重要なことを思い出し、冷静になりながら、ラズが言った。
「それなら、俺の船に乗ればいい。俺の船に乗って、一緒に冒険に出よう」
 気軽にリドが、ラズを誘った。
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