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学園編
捜索(ネロ視点)
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「……ロ様! ネロ様!」
ガンガンと痛む頭を思わず手で押さえる。それを見て、隣でオロオロしている馬車の御者、エリックが僕に冷水を渡してくれる。それを飲み干すと、痛む頭が少しすきっとして、意識が段々とはっきりしてきた。
「そうだ! ミカエルは!?」
エリックは、横に首を振った。それから、攫われてしまったと僕に告げる。彼にとってのあるじは僕だから、薬で眠らされてしまった僕をここにこうやって置いておくわけにもいかないから、彼も動くに動けなかったんだろう。そのまま連れて行かれてしまったらしい。
……僕がしっかりしていなかったせいだ。お忍びなんて無用心なことをするから、エリック一人しかお付きを連れてこなかったから、彼女が攫われてしまうなんて事態になってしまった。彼女は滅多にいない「聖女の癒し」持ち。利用したいがゆえに狙う輩や、排除したい輩は絶対にたくさんいるだろう。前者はまだいいが、後者だった場合もう殺されてしまっている可能性まである。
「……っ、エリック! 今すぐフィレネーゼ家に行くから、置いていくね、ちょっとテレポートする」
「了解しました、」
エリックの返事を聞いてから、急いで魔法を発動し、フィレネーゼ家まで移動する。フィレネーゼ公爵と公爵夫人にこうなってしまった顛末を話して、協力要請を請わなくては。今は反省している場合じゃあない。
「ルートヴェング公爵子息様! どうされたのですか!?」
「緊急事態なんです。フィレネーゼ公爵に面会要請を今すぐしてもらえますか!?」
「了解しました! 今は屋敷にいるはずなので、フィレネーゼ公爵の元へ直接向かいましょう。ルートヴェング様なら、きっと通してくれるはずですから」
何度も家庭教師の際に話していた兵士は、それ以上何も言わずにすぐにフィレネーゼ公爵のもとへ直接案内すると走って中へ入れてくれる。僕もその後ろを急いで走る。
「フィレネーゼ公爵、ルートヴェング公爵子息から面会要請です、どうやら緊急事態らしく……」
彼は執務室のドアをコンコンとノックし、そう早口で告げる。すると、扉がガタンと音を立ててすぐに開かれた。
「お久しぶりね。私でよかったら、話を聞くわよー? 公爵は今、外出中なの」
「はい、助かります」
彼女はすぐに、執務室の中に招き入れてくれる。いつも優しそうに微笑む表情は、笑ってはいるものの明らかに硬い。
「で、何があったのー? あなたが来たということは、ミカエルちゃん絡みよね。ソフィちゃんから、一緒に外出しているとは聞いていたけど……」
「……ミカエルが、攫われました。犯人は分かりません。僕が、彼女と馬車で帰っている最中に襲われて、そのまま……」
彼女が、目を見開いた。
「なんてこと……!」
「本当に、すいませんでした。絶対にミカエルを助け出すので、どうかフィレネーゼが保有している兵を貸してはいただけないでしょうか」
「分かったわ、今すぐにでも救援部隊を出して、王都の方にも知らせましょう」
……絶対に助け出す。僕はぐっと手を握りしめた。
ガンガンと痛む頭を思わず手で押さえる。それを見て、隣でオロオロしている馬車の御者、エリックが僕に冷水を渡してくれる。それを飲み干すと、痛む頭が少しすきっとして、意識が段々とはっきりしてきた。
「そうだ! ミカエルは!?」
エリックは、横に首を振った。それから、攫われてしまったと僕に告げる。彼にとってのあるじは僕だから、薬で眠らされてしまった僕をここにこうやって置いておくわけにもいかないから、彼も動くに動けなかったんだろう。そのまま連れて行かれてしまったらしい。
……僕がしっかりしていなかったせいだ。お忍びなんて無用心なことをするから、エリック一人しかお付きを連れてこなかったから、彼女が攫われてしまうなんて事態になってしまった。彼女は滅多にいない「聖女の癒し」持ち。利用したいがゆえに狙う輩や、排除したい輩は絶対にたくさんいるだろう。前者はまだいいが、後者だった場合もう殺されてしまっている可能性まである。
「……っ、エリック! 今すぐフィレネーゼ家に行くから、置いていくね、ちょっとテレポートする」
「了解しました、」
エリックの返事を聞いてから、急いで魔法を発動し、フィレネーゼ家まで移動する。フィレネーゼ公爵と公爵夫人にこうなってしまった顛末を話して、協力要請を請わなくては。今は反省している場合じゃあない。
「ルートヴェング公爵子息様! どうされたのですか!?」
「緊急事態なんです。フィレネーゼ公爵に面会要請を今すぐしてもらえますか!?」
「了解しました! 今は屋敷にいるはずなので、フィレネーゼ公爵の元へ直接向かいましょう。ルートヴェング様なら、きっと通してくれるはずですから」
何度も家庭教師の際に話していた兵士は、それ以上何も言わずにすぐにフィレネーゼ公爵のもとへ直接案内すると走って中へ入れてくれる。僕もその後ろを急いで走る。
「フィレネーゼ公爵、ルートヴェング公爵子息から面会要請です、どうやら緊急事態らしく……」
彼は執務室のドアをコンコンとノックし、そう早口で告げる。すると、扉がガタンと音を立ててすぐに開かれた。
「お久しぶりね。私でよかったら、話を聞くわよー? 公爵は今、外出中なの」
「はい、助かります」
彼女はすぐに、執務室の中に招き入れてくれる。いつも優しそうに微笑む表情は、笑ってはいるものの明らかに硬い。
「で、何があったのー? あなたが来たということは、ミカエルちゃん絡みよね。ソフィちゃんから、一緒に外出しているとは聞いていたけど……」
「……ミカエルが、攫われました。犯人は分かりません。僕が、彼女と馬車で帰っている最中に襲われて、そのまま……」
彼女が、目を見開いた。
「なんてこと……!」
「本当に、すいませんでした。絶対にミカエルを助け出すので、どうかフィレネーゼが保有している兵を貸してはいただけないでしょうか」
「分かったわ、今すぐにでも救援部隊を出して、王都の方にも知らせましょう」
……絶対に助け出す。僕はぐっと手を握りしめた。
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