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学園編
お忍びと山賊
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私達はそろそろフィレネーゼ領に入るかといったくらいまで帰ってきていた。ネロと店でしていた魔法談義の続きをしながら、私はゆったりと家までの時間を楽しんでいた。
「ごめんね、家まで送っていってもらっちゃって」
ルートヴェング領がうちとお隣さんだからと、彼は安定のスパダリさを発揮させて、途中で私の領に寄って下ろしてくれると言ってくれた。
すると、突然だった。あり得ないほどにガタンと大きく馬車が揺れた。……何事!? 王都からフィレネーゼ領の間には、一直線に石畳の道が通っているからこんな揺れるのはあり得ない。ネロも私と同じように思ったようで、怪訝な表情をして、カーテンをパラリと捲って外を見た。
「外に何かある?」
「あー、山賊というか何というか。貴族狙いのやつかな……」
下級貴族あたりの馬車を狙って、強奪するやつか。今の私達はあまり目立たないように馬車のランクを下げている。そのせいで狙われたのか。……フィレネーゼ領の近くでこんなのが出るなんて。セキュリティをもっと上げるために兵の配置をするようにお父様たちに提言しなければ、とカーテンの隙間から外を覗き見ながら考えていた。
「どうする? 魔法で追い払う?」
「だね。この辺りは人も少ないし、大抵のは使って大丈夫だよね」
「うん。ここはほぼほぼフィレネーゼ領のようなものだし、気にせずやっちゃって。なんなら私も適当に加勢するし……」
「それは駄目。馬車の中に……いや、僕の隣にいておいて」
お忍びで来たのが裏目に出ちゃったな……と彼はため息をついて馬車の扉を開けた。
「ミカエル。もう一度言っておくけど、絶対に前に出たり攻撃しにいったりしないでね」
「……分かってるって」
嘘である。本当は思いっきし加勢する予定だった。その方が早いと思うし。……なぜ読まれたんだろう。彼を見上げると、お見通しだというように少し呆れたように軽くデコピンされた。……痛い。そして解せぬ。
「さて、と。早くここを離れてくれたらなかったことにするから、さっさと立ち去れ」
彼は飄々とした余裕そうな表情で相手にそう告げる。……わ、かっこいい。
ほうっと彼の方を見つめていると、相手は野太い声でわめき始める。
「命令するんじゃねえ! 持ってる金目のもんは全部渡しやがれ! 貴族のお坊ちゃんは痛い目になんか合いたくないだろ? 早くしろ!」
彼はすうっと目を細める。口元は笑っているが、目は明らかに笑っていない。……あぁ、ご愁傷さま……
ネロは、この国で誰よりも魔法が使える天才だ。師団長である彼の兄よりも実力は上。超高等な呪文を必要とするような魔法でさえ無詠唱での発動が可能なほど。乙女ゲーム本編では自信がなく兄以上に実戦で役立つほどの能力はなかったが、ソフィの励ましなどなどのおかげで今の彼は自分の魔法の能力に自信を持ち日々修行に励んでいる。まず、こんな普通の人には負けるはずがない。
彼の手から水球が放たれる。ある程度強めの威力だったようで、真正面から当たった人は皆、気を失って倒れている。他の残りの人も、水の勢いで武器は取り落としてしまっている。
あぁ、もうこれなら反撃してくることはないだろうな。そう思って、私もネロも気を緩めたそのときだった。
ひとりがこちらに向かって突っ込んできたのだ。それもネロにではなく、まっすぐに私に向けて。
「ごめんね、家まで送っていってもらっちゃって」
ルートヴェング領がうちとお隣さんだからと、彼は安定のスパダリさを発揮させて、途中で私の領に寄って下ろしてくれると言ってくれた。
すると、突然だった。あり得ないほどにガタンと大きく馬車が揺れた。……何事!? 王都からフィレネーゼ領の間には、一直線に石畳の道が通っているからこんな揺れるのはあり得ない。ネロも私と同じように思ったようで、怪訝な表情をして、カーテンをパラリと捲って外を見た。
「外に何かある?」
「あー、山賊というか何というか。貴族狙いのやつかな……」
下級貴族あたりの馬車を狙って、強奪するやつか。今の私達はあまり目立たないように馬車のランクを下げている。そのせいで狙われたのか。……フィレネーゼ領の近くでこんなのが出るなんて。セキュリティをもっと上げるために兵の配置をするようにお父様たちに提言しなければ、とカーテンの隙間から外を覗き見ながら考えていた。
「どうする? 魔法で追い払う?」
「だね。この辺りは人も少ないし、大抵のは使って大丈夫だよね」
「うん。ここはほぼほぼフィレネーゼ領のようなものだし、気にせずやっちゃって。なんなら私も適当に加勢するし……」
「それは駄目。馬車の中に……いや、僕の隣にいておいて」
お忍びで来たのが裏目に出ちゃったな……と彼はため息をついて馬車の扉を開けた。
「ミカエル。もう一度言っておくけど、絶対に前に出たり攻撃しにいったりしないでね」
「……分かってるって」
嘘である。本当は思いっきし加勢する予定だった。その方が早いと思うし。……なぜ読まれたんだろう。彼を見上げると、お見通しだというように少し呆れたように軽くデコピンされた。……痛い。そして解せぬ。
「さて、と。早くここを離れてくれたらなかったことにするから、さっさと立ち去れ」
彼は飄々とした余裕そうな表情で相手にそう告げる。……わ、かっこいい。
ほうっと彼の方を見つめていると、相手は野太い声でわめき始める。
「命令するんじゃねえ! 持ってる金目のもんは全部渡しやがれ! 貴族のお坊ちゃんは痛い目になんか合いたくないだろ? 早くしろ!」
彼はすうっと目を細める。口元は笑っているが、目は明らかに笑っていない。……あぁ、ご愁傷さま……
ネロは、この国で誰よりも魔法が使える天才だ。師団長である彼の兄よりも実力は上。超高等な呪文を必要とするような魔法でさえ無詠唱での発動が可能なほど。乙女ゲーム本編では自信がなく兄以上に実戦で役立つほどの能力はなかったが、ソフィの励ましなどなどのおかげで今の彼は自分の魔法の能力に自信を持ち日々修行に励んでいる。まず、こんな普通の人には負けるはずがない。
彼の手から水球が放たれる。ある程度強めの威力だったようで、真正面から当たった人は皆、気を失って倒れている。他の残りの人も、水の勢いで武器は取り落としてしまっている。
あぁ、もうこれなら反撃してくることはないだろうな。そう思って、私もネロも気を緩めたそのときだった。
ひとりがこちらに向かって突っ込んできたのだ。それもネロにではなく、まっすぐに私に向けて。
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