18 / 33
憩 い
しおりを挟む
直美の案内でテーマパークへ行く事になった。外国の映画を題材にしたアトラクションを堪能できる施設が満載である。実は、俺もここに来るのは始めてであった。人気のアトラクションは行列が出来ていて、ファムは並ぶことに抵抗を示したが、それも楽しみの一つだという直美の説明に納得していた。
「なんじゃこれは?! 人間界にも恐竜がまだいたのか?」ファムは立ち上がり身構えた。船に乗って作り物の恐竜の中を進むアトラクションで彼は興奮しているようだ。
「い、いえあれは、作りもので」彼は興奮して俺の言葉は耳に入っていないようであった。
次は車に乗ってタイムスリップ!
「おお、人間界はすごいのう!」無邪気に少年のように感動している。
女の子が風船を持って走ってくる。
「迷子になるから待ちなさい!」後ろから母親が追いかけてきた。
「あっ!」女の子の足が絡みころんだ。その弾みで風船を手放してしまった。「あーん!」彼女は泣いてしまった。結構高くまで飛んだ風船を、ファムがジャンプして掴み着地した。
「ほら!」彼は言いながら女の子に風船を返してやった。
「あ、ありがとう・・・・・・」女の子は顔を赤くしながらお辞儀した。
「すいません! 有難うございました」追いついた母親も頭を下げた。
「お、おう」ファムは少し照れたように返答した。
なんだか、魔王に抱いていたイメージと違っていたので驚いた。俺は初めて彼に会った時は冷酷無比の女好きの印象しかなかった。 まあ、今とは姿容も違っていたのだが・・・・・。
「どうした、コウ」また俺の尻をファムが撫でている。女好きには変わりないようだ。
「いかがですか? 人間界の感想は」神戸がファムに感想を聞いた。
「うむ、人間界は楽しいところじゃ! ワシは気に入ったぞ」ファムは満面の笑顔で返答した。キュー・・・・・・突然、ファムのお腹の虫が鳴いた。
「うふふふ、そろそろお腹が減りましたね、食事でもいかがですか」直美が提案をした。
「おお、飯か! 直美、でかしたぞ!」ファムは満面の笑顔を見せた。俺達は、テーマパークを後にして、ファミリーレストランに移動した。ハンバーグのセットを人数分注文する。
「魔王様と一緒に食事なんて・・・・・・」神戸は少し躊躇している様子であった。
「ワシは構わんぞ! むしろこういう食事に昔から憧れておったのじゃ」本当に嬉しそうであった。
注文した品が運ばれてきた。
「美味い、美味いぞ」ファムは美味しそうに食べる。 その様子を俺は微笑ましく感じた。
「お城では、もっと良いもの食べているんじゃないのですか?」俺は素直に疑問を言った。
「そうじゃな・・・・・・でも、肉はもっと硬いし、こんな味付けも初めて」そこまで言ったところでファムの表情が激変した。「やはり、来おったか!」彼は立ち上がると店の外に飛び出した。
「え、ファム?!一体なにが・・・・・・、 直美御免!」俺は彼の後を追いかける。会計はとりあえず、直美に任せることにした。
暗い人目につかないビルの間にファムは仁王立ちしている。
「一体、どうしたんですか?」真剣な顔で宙を見上げるファムに向かって聞いた。
「ワシを追って来たようだ!」ファムが見上げる辺りが美しく輝いた。 そこに人影が現れた。
「あ、あれは?!」見覚えのある顔であった。 たしか、魔界に行った時にファムの横にいた天使だ。
「あやつは、ワシの命を狙っておったのじゃ! 魔界では我に寝返ったふりをしていたが、やっと本性を現しよった」ファムはしてやったりという顔をしていた。
「魔王様、無用心ですぞ! お一人で外遊とは」美しい顔をして天使は言った。彼、いや彼女? 性別は良く解らない。姿は女のようであったが、声は明らかに男のものであった。胸は豊胸手術でもしているのではないかと疑う位巨大であった。
ファムは両手を頭の辺りでクロスして、手の平を開いた。強烈な光を発したかと思うと天使に向かって飛んでいく。彼はその攻撃を右手一つで軽くかわした。
「ありゃ?!」ファムは拍子抜けした声で呟いた。
「考えが浅かったですね。貴方はその姿では、本来の力の半分も出せないようですね」天使が掌をかざすと、先ほどのファムより更に激しい光線を発射した。
「危ない!」俺は無我夢中でファムの前に飛び出て、両手を使い攻撃を弾き返した。光線は方向を変えて、上空に飛んでいった。俺は自分の力に驚愕する。
「ちっ、またあなたは邪魔をするのですか」天使は訳の解らないことを言いながら攻撃を繰り返す。その攻撃を俺は片っ端から上空に弾き飛ばした。
「コウ君!」直美と神戸が駆けつけてきた。 直美は指輪に触れると、魔法衣へと姿を変えて桃色の髪の少女へ変身した。
「おお、これは!」ファムは変身する直美の姿を食い入るように見た。
「きゃ!」ナオミは恥ずかしそうに両胸を覆った。
「ナオミさん! 魔法円を使って!」神戸が叫ぶ。
ナオミは自分の右手の手甲を確認すると宙に円を描いた。彼女の作った魔法円の中に二つの目が光る。
「な、なんだ!」中から巨大な蛇が飛び出して、天使の体に巻きついた。
「くっ! 召喚術ですか!」彼の体に蛇が食い込んでいく。
「コウ君、電撃よ!」神戸が叫んだ。彼女の合図に合わせて俺は人差し指から電撃を、天使を狙って発射した。
電撃が当たったかと思った瞬間に天使の体は四散して花びらに変わった。
「逃げおったか」ファムが苦笑いしながら呟いた。天使はどうやら電撃をかわす為に、姿を消したようであった。 ナオミの召喚した大蛇も魔法円の中に姿を消した。
「どうして、あの天使は貴方の仲間じゃなかったのですか?」俺は電撃を発した脱力感の襲われながら聞いた。
「あやつは天界を裏切ったふりをして、近づいて来てワシの命を狙っていたのじゃ。まあ、それなりに有意義な情報も引き出したし、そろそろ頃合かと思ってな。ワシが一人になれば狙ってくると踏んで人間界にきたのじゃが・・・・・・まさか、力が半減するとは誤算じゃったわ」呑気に反省の弁を述べた。
「それならそれで先に言ってくださいよ!」
「ワシ一人で決着をつけるつもりでおったからの。まあ、何とかなったのじゃからいいではないか」頭の後ろで両手を組みながらファムは笑った。
「なんじゃこれは?! 人間界にも恐竜がまだいたのか?」ファムは立ち上がり身構えた。船に乗って作り物の恐竜の中を進むアトラクションで彼は興奮しているようだ。
「い、いえあれは、作りもので」彼は興奮して俺の言葉は耳に入っていないようであった。
次は車に乗ってタイムスリップ!
「おお、人間界はすごいのう!」無邪気に少年のように感動している。
女の子が風船を持って走ってくる。
「迷子になるから待ちなさい!」後ろから母親が追いかけてきた。
「あっ!」女の子の足が絡みころんだ。その弾みで風船を手放してしまった。「あーん!」彼女は泣いてしまった。結構高くまで飛んだ風船を、ファムがジャンプして掴み着地した。
「ほら!」彼は言いながら女の子に風船を返してやった。
「あ、ありがとう・・・・・・」女の子は顔を赤くしながらお辞儀した。
「すいません! 有難うございました」追いついた母親も頭を下げた。
「お、おう」ファムは少し照れたように返答した。
なんだか、魔王に抱いていたイメージと違っていたので驚いた。俺は初めて彼に会った時は冷酷無比の女好きの印象しかなかった。 まあ、今とは姿容も違っていたのだが・・・・・。
「どうした、コウ」また俺の尻をファムが撫でている。女好きには変わりないようだ。
「いかがですか? 人間界の感想は」神戸がファムに感想を聞いた。
「うむ、人間界は楽しいところじゃ! ワシは気に入ったぞ」ファムは満面の笑顔で返答した。キュー・・・・・・突然、ファムのお腹の虫が鳴いた。
「うふふふ、そろそろお腹が減りましたね、食事でもいかがですか」直美が提案をした。
「おお、飯か! 直美、でかしたぞ!」ファムは満面の笑顔を見せた。俺達は、テーマパークを後にして、ファミリーレストランに移動した。ハンバーグのセットを人数分注文する。
「魔王様と一緒に食事なんて・・・・・・」神戸は少し躊躇している様子であった。
「ワシは構わんぞ! むしろこういう食事に昔から憧れておったのじゃ」本当に嬉しそうであった。
注文した品が運ばれてきた。
「美味い、美味いぞ」ファムは美味しそうに食べる。 その様子を俺は微笑ましく感じた。
「お城では、もっと良いもの食べているんじゃないのですか?」俺は素直に疑問を言った。
「そうじゃな・・・・・・でも、肉はもっと硬いし、こんな味付けも初めて」そこまで言ったところでファムの表情が激変した。「やはり、来おったか!」彼は立ち上がると店の外に飛び出した。
「え、ファム?!一体なにが・・・・・・、 直美御免!」俺は彼の後を追いかける。会計はとりあえず、直美に任せることにした。
暗い人目につかないビルの間にファムは仁王立ちしている。
「一体、どうしたんですか?」真剣な顔で宙を見上げるファムに向かって聞いた。
「ワシを追って来たようだ!」ファムが見上げる辺りが美しく輝いた。 そこに人影が現れた。
「あ、あれは?!」見覚えのある顔であった。 たしか、魔界に行った時にファムの横にいた天使だ。
「あやつは、ワシの命を狙っておったのじゃ! 魔界では我に寝返ったふりをしていたが、やっと本性を現しよった」ファムはしてやったりという顔をしていた。
「魔王様、無用心ですぞ! お一人で外遊とは」美しい顔をして天使は言った。彼、いや彼女? 性別は良く解らない。姿は女のようであったが、声は明らかに男のものであった。胸は豊胸手術でもしているのではないかと疑う位巨大であった。
ファムは両手を頭の辺りでクロスして、手の平を開いた。強烈な光を発したかと思うと天使に向かって飛んでいく。彼はその攻撃を右手一つで軽くかわした。
「ありゃ?!」ファムは拍子抜けした声で呟いた。
「考えが浅かったですね。貴方はその姿では、本来の力の半分も出せないようですね」天使が掌をかざすと、先ほどのファムより更に激しい光線を発射した。
「危ない!」俺は無我夢中でファムの前に飛び出て、両手を使い攻撃を弾き返した。光線は方向を変えて、上空に飛んでいった。俺は自分の力に驚愕する。
「ちっ、またあなたは邪魔をするのですか」天使は訳の解らないことを言いながら攻撃を繰り返す。その攻撃を俺は片っ端から上空に弾き飛ばした。
「コウ君!」直美と神戸が駆けつけてきた。 直美は指輪に触れると、魔法衣へと姿を変えて桃色の髪の少女へ変身した。
「おお、これは!」ファムは変身する直美の姿を食い入るように見た。
「きゃ!」ナオミは恥ずかしそうに両胸を覆った。
「ナオミさん! 魔法円を使って!」神戸が叫ぶ。
ナオミは自分の右手の手甲を確認すると宙に円を描いた。彼女の作った魔法円の中に二つの目が光る。
「な、なんだ!」中から巨大な蛇が飛び出して、天使の体に巻きついた。
「くっ! 召喚術ですか!」彼の体に蛇が食い込んでいく。
「コウ君、電撃よ!」神戸が叫んだ。彼女の合図に合わせて俺は人差し指から電撃を、天使を狙って発射した。
電撃が当たったかと思った瞬間に天使の体は四散して花びらに変わった。
「逃げおったか」ファムが苦笑いしながら呟いた。天使はどうやら電撃をかわす為に、姿を消したようであった。 ナオミの召喚した大蛇も魔法円の中に姿を消した。
「どうして、あの天使は貴方の仲間じゃなかったのですか?」俺は電撃を発した脱力感の襲われながら聞いた。
「あやつは天界を裏切ったふりをして、近づいて来てワシの命を狙っていたのじゃ。まあ、それなりに有意義な情報も引き出したし、そろそろ頃合かと思ってな。ワシが一人になれば狙ってくると踏んで人間界にきたのじゃが・・・・・・まさか、力が半減するとは誤算じゃったわ」呑気に反省の弁を述べた。
「それならそれで先に言ってくださいよ!」
「ワシ一人で決着をつけるつもりでおったからの。まあ、何とかなったのじゃからいいではないか」頭の後ろで両手を組みながらファムは笑った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる