3 / 5
3話 〈ここから子供視点〉
しおりを挟む
目が覚めるとそこには真っ暗な部屋で今は深夜かというくらい何も見えない。
「…やっぱり夢じゃなかった。」
もう眠れそうもないのでそっとカーテンであろう布を引っ張ると痛いくらいに眩しい光が差した。
俺の名前は…なんだったか覚えていないし、正直記憶も曖昧だが間違いなくここの住人でないことは断言できる。
おそらく助けてくれたであろう吸血鬼……レグウィンさんはどこに行ったのだろうか。
逸話の話が本当なら日光がある今は、外に出られないので篭っているのだろう。
だからといって気まぐれでここに置かれているような状況で態々会いに行くほど勇敢ではないし、無謀でもない。
まあこの仮説が正しかったら夜には会うことになるのだろうけど。
それにしても、やっぱり夢なんかじゃないかと思うくらい現実味がない。俺が昨日読んだ漫画の世界にでも転生してしまったようだ。
それにレグウィンさんはびっくりするほど容姿が整っており、紅の瞳に燃えるような赤毛で見ているだけで熱くなってしまいそうだ。しかし、自分が寝る前に触れられた手は死人のように冷たく、やはり人間ではないのだとわからせられた。
ーー探検でもしようかな。
レグウィンさんは「ここにいろ。」と言っていただけで、特に何かを禁じるようなことは言わなかった。もし入ってはいけない所は鍵でも施されているだろう。
ここに居座るのはあまりにも知らなさすぎる。
改めて辺りを見渡すとここは貴族が住むような豪華な屋敷だ。しかし何年も前のようで……いや何百年?
とにかく手入れされてないのか蜘蛛の巣が張り巡られてあったり、血痕が残ってあったり、窓ガラスが割れていたりとなかなか悲惨な状況だ。
豪華なお化け屋敷と言ったところか。
ふと甘い香りと血生臭さに気がつき足を止める。恐る恐るそこを覗くと沢山の花びらや動物?(見たことはないけど)の亡骸が積まれていた。
「なんだろう…これ……ご飯?……俺の?」
「…いやそれは僕のだ。」
「うわっ!?」
と突如聞いたことのある声が後ろからして勢いよく倒れそうになるとこを寸前で支えてくれる。
「赤子よ……危ないだろう。」
「っ!だって急に後ろから現れるから!それに子供くらいの歳だと思うんですけど…。」
「ふむ…赤子は子供なのか。」
「…?」
ちょっと違う言葉の解釈をされてる感は否めないが、とりあえず訂正できたことに良しとする。そう頷いている間に、レグウィンさんはメモをしているようだった。多分俺のことだと思うが。
「寝てるのではなかったのですか。」
「もう陽はない。」
「え!?」
慌てて窓に近づけば本当に夜になっていた。まだそんなに経っていないはずなのに。
「僕が暗くした。君が動き始めたからね。」
発言的に完全に動物扱いだが、もう気にするのはやめた。終始ニコニコと楽しそうに笑っているのを見て怒る気力も、逆らう力さえない。
無駄に容姿が整いすぎているせいで、その顔に免じて許している節はあるかもしれない。
「人間は何を食べるだろう。花か?」
「いや、ここにあるのはちょっと……」
動物?の肉でグロテスクな上、結構暖かいから腐っている可能性もある。正直この年齢で見てはいけないものだろう。
「確実なのは精を取らせることだが…」
「せい?」
「そうだな接吻……口を合わせて僕の生命をわけるというーーー」
「っーー!!そっ、それってき、キスじゃないですか!」
「?」
何をそんなに恥ずかしがるのだろうかという顔をしているがたまったもんじゃない。まだファーストキスもまだだというのに、吸血鬼……しかも(多分だけど)男の人とだなんて真っ平ごめんだ。
「火を通せばこのお肉は食べられる気がしてきました…。」
「おお、人は火と肉を一緒に食すのか。なるほど」
また斜め上の解釈をされたが快く魔法のようなもので火を貸してくれたので焼いてみた。腐ってはなさそうで、味も鶏肉に近くとても美味しかった。
「…やっぱり夢じゃなかった。」
もう眠れそうもないのでそっとカーテンであろう布を引っ張ると痛いくらいに眩しい光が差した。
俺の名前は…なんだったか覚えていないし、正直記憶も曖昧だが間違いなくここの住人でないことは断言できる。
おそらく助けてくれたであろう吸血鬼……レグウィンさんはどこに行ったのだろうか。
逸話の話が本当なら日光がある今は、外に出られないので篭っているのだろう。
だからといって気まぐれでここに置かれているような状況で態々会いに行くほど勇敢ではないし、無謀でもない。
まあこの仮説が正しかったら夜には会うことになるのだろうけど。
それにしても、やっぱり夢なんかじゃないかと思うくらい現実味がない。俺が昨日読んだ漫画の世界にでも転生してしまったようだ。
それにレグウィンさんはびっくりするほど容姿が整っており、紅の瞳に燃えるような赤毛で見ているだけで熱くなってしまいそうだ。しかし、自分が寝る前に触れられた手は死人のように冷たく、やはり人間ではないのだとわからせられた。
ーー探検でもしようかな。
レグウィンさんは「ここにいろ。」と言っていただけで、特に何かを禁じるようなことは言わなかった。もし入ってはいけない所は鍵でも施されているだろう。
ここに居座るのはあまりにも知らなさすぎる。
改めて辺りを見渡すとここは貴族が住むような豪華な屋敷だ。しかし何年も前のようで……いや何百年?
とにかく手入れされてないのか蜘蛛の巣が張り巡られてあったり、血痕が残ってあったり、窓ガラスが割れていたりとなかなか悲惨な状況だ。
豪華なお化け屋敷と言ったところか。
ふと甘い香りと血生臭さに気がつき足を止める。恐る恐るそこを覗くと沢山の花びらや動物?(見たことはないけど)の亡骸が積まれていた。
「なんだろう…これ……ご飯?……俺の?」
「…いやそれは僕のだ。」
「うわっ!?」
と突如聞いたことのある声が後ろからして勢いよく倒れそうになるとこを寸前で支えてくれる。
「赤子よ……危ないだろう。」
「っ!だって急に後ろから現れるから!それに子供くらいの歳だと思うんですけど…。」
「ふむ…赤子は子供なのか。」
「…?」
ちょっと違う言葉の解釈をされてる感は否めないが、とりあえず訂正できたことに良しとする。そう頷いている間に、レグウィンさんはメモをしているようだった。多分俺のことだと思うが。
「寝てるのではなかったのですか。」
「もう陽はない。」
「え!?」
慌てて窓に近づけば本当に夜になっていた。まだそんなに経っていないはずなのに。
「僕が暗くした。君が動き始めたからね。」
発言的に完全に動物扱いだが、もう気にするのはやめた。終始ニコニコと楽しそうに笑っているのを見て怒る気力も、逆らう力さえない。
無駄に容姿が整いすぎているせいで、その顔に免じて許している節はあるかもしれない。
「人間は何を食べるだろう。花か?」
「いや、ここにあるのはちょっと……」
動物?の肉でグロテスクな上、結構暖かいから腐っている可能性もある。正直この年齢で見てはいけないものだろう。
「確実なのは精を取らせることだが…」
「せい?」
「そうだな接吻……口を合わせて僕の生命をわけるというーーー」
「っーー!!そっ、それってき、キスじゃないですか!」
「?」
何をそんなに恥ずかしがるのだろうかという顔をしているがたまったもんじゃない。まだファーストキスもまだだというのに、吸血鬼……しかも(多分だけど)男の人とだなんて真っ平ごめんだ。
「火を通せばこのお肉は食べられる気がしてきました…。」
「おお、人は火と肉を一緒に食すのか。なるほど」
また斜め上の解釈をされたが快く魔法のようなもので火を貸してくれたので焼いてみた。腐ってはなさそうで、味も鶏肉に近くとても美味しかった。
1
あなたにおすすめの小説
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる