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三章 新たな生活

居心地は最高

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兵士が使う食堂と聞いて、学校の体育館並みに広いのかなと予想した僕。


兵士さんがごった返しになってて、なんていうか、全体的に西部劇の酒場的な、むさ苦しいイメージを持ちつついざ食堂にきて全体を見渡し僕は予想を裏切られ目を丸くする。



外から日がはいるように窓ガラスが多数ついて、壁や床は茶色と白を主とした爽やかな作り、テーブルは細長く繋がっているのかと思ったが丸いテーブルが別々に分けられ、シックな雰囲気の落ち着いたレストランのようになっていた。



「思ったよりずっと綺麗だね」

アイデンさんに手を引かれ窓際の席に座りながら意外な顔で僕が言うと隣に座ったアイデンさんが得意気な顔で答えた。


「食事する環境は楽しめるように配慮してあるからな、しかもここは副官以上の者のみが入れる食堂、他の場所よりもこだわって作られているぞ」

へ~、人が思ったほどいないのはそのせいか。

ん? ちょっとまって?


「そんな所に僕来ちゃっても大丈夫なの? 」 

副官処かここの兵士ですら無いよ僕。


怪訝な顔をした僕にアイデンさんはニヤリと笑うと僕の頭をポンと叩いた。


「何を言っている、俺がここに連れてきたんだ、駄目なわけが無いだろう」

ふむ?アイデンさんはアルさんと同じ大将軍で。

大将軍に逆らえるのは王様くらい?



……じゃあ大丈夫なのかな?

アイデンさんの横でターナーさんも頷いてるし、うん、多分オッケーだね。


「ところでお昼はなにたべるの? 」

「ん?あぁ説明するのを忘れていたな。ここは日替わりでそれぞれAの肉、Bの魚、Cの野菜がメインになっているセットが選べるがラグーンはどれにする?」

肉がAで魚がBで野菜がC? ほほう。


じゃあ、魚食べたい気分だし

「Bの魚のセットをお願いしようかな」

それを聞いたアイデンさんは席を立った。


「分かった、ならそこのカウンターで頼んでくるから少し待っていてくれ」

にこやかに言って行こうとしたアイデンさんだが、慌てて立ちあがったターナーさんが鬼気迫る顔でアイデンさんを止める。


「いえいえ! ここは私が行ってきますのでアイデン様はゆっくりしていてください!! 」

ターナーさんの焦りように圧されたアイデンさんは渋々と不満げな顔をしながらも座り直す。


「すまないな、なら俺はラグーンと一緒でBセットを頼む」

「了解しました! 」

アイデンがさんが座ったことにホッとしたターナーさんはにこやかに笑うとカウンターの方へと歩いて行った。



その背中をテーブルに肘をつきながら感心するように僕は眺める。


「真面目だね~あの人」

良くできた部下だねと言うと、アイデンさんは苦笑いをして頷いた。


「俺だって注文の一つや二つ簡単にできるんだがなあ…………」

「いやいや上司をパシりにする部下なんていないでしょうに」

逆ならあり得るけど、と付け加えるとアイデンさんは首を傾げた。


「そういうものか? 」

「そういうものでしょ」

こっちはこっちで良くできた上司だ、と思っていると注文を終えたターナーさんが戻ってきた。


「五分ほどで来るそうです! 」

牛丼売ってるお店並みに早いねぇ。


「中々早いね、ターナーさんはなに頼んだの?」

「私はCセットです、それと私のことは敬称呼びではなく呼び捨てで呼んでもらっても構いませんよ」

「人のこと呼び捨てするの無理だからさん付けで行くよ」

「? 何でだ? 」

アイデンさんが不思議そうな顔で僕の顔を覗きこんできた、仕方なく僕はため息をついて言った。


「人を呼び捨てなんて僕なんかがしてもいいのかという罪悪感でストレスが溜まるんだよ………」

部活の後輩だろうが同級生だろうが、それこそ友達に呼び捨てで呼べと言われたときも変えなかったね……、そう染々と言うと二人は苦笑する。


「どんな溜まり方だ………、ならアルギスのこともさん付けか?」

「うん、愛称も交ぜてアルさんって呼んでる」

「なら俺の事もそういう風に呼んでくれ、俺もラグーンに愛称呼びされたい」

「アイデンさんはアイデンさんで完結してるから愛称はないね」

「なっ…………! 」


ガーンという効果音がつきそうな程口をあんぐりと開けたアイデンさんを、あららと苦笑した僕ははそういえばと話を切り替える。


「ところで、アルさんはまだナパスさんと喧嘩してるのかね? 」

「………いや? あいつの気が近づいて来てるからもう少しで来るだろうな」

なんとか持ち直したアイデンさんは少し落ち込みながら言うとそれを聞いた僕は首を傾げる。


「ふーん、ん? 気が近づいてくる?」

なにそれ?。


僕が不思議そうな顔をするとアイデンさんも意外そうな顔をする。


「ラグーンはまだ分からないのか?人によって気、まぁ正確には魔力だが、その魔力の質が違うからな、感覚が鋭くなればその魔力の違いについて分かるぞ」

「へ~」

感覚が鋭く?難しそうだね…………?


「そら、噂をすれば来たぞ」

ん?


アイデンさんが入り口の方を指差し視線を言うのにつられ僕も入り口を見れば、そこには不機嫌さ全開のアルさんがのしのしと大股に歩いて来る所だった。


「何勝手にラグを連れていきやがるんだアイデン!! 」

その怒鳴り声を耳に入れながら僕は丁度運ばれてきた料理に興味が行くのだった………。


アルさんがなんか言ってるけどほっときゃいいよね。











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