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二章 城

現実逃避ナウ

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炭酸のないコーラなど

    僕はコーラとは認めない………。





by現在絶賛現実逃避中のラグーン






拝啓、もとの世界にいるお父様、お元気ですか……私は今、なんかとても包み込まれる朝を体験しております……。



ああ、うん限界だわ、


………………なんでこんなどうでも良いような事を呟いてるんだっけ?





いやね……、アルさんたちのどうでもいい喧嘩をバックに昼寝したんだけどさ。


目が覚めたらなんか広いベッドに寝ていてなんか目の前にはアルさんの寝顔のドアップがあったんだよ?


いびき結構うるさいよ? 尚且つ僕のこと抱き枕にしてくれてるんだよ?


起きた瞬間びくってなったからね?

しかも律儀に僕の眼鏡外されて近くのテーブルに置かれている妙な優しさ。



それでさっきも言ったけどさ、僕抱き枕になってるからさ。


動けない。



アルさんの体全体で僕を抱えてくれてるから身動きが不可。

芋虫みたいにもぞもぞと抜け出そうとしてもがっちりと包容と言う名の拘束でミリ単位しか移動ができないと言う拷問…。


唯一自由に動かせる手で僕の背中に回ってる腕をぐいぐいと引っ張ってはみたが。

アルさんのぶっとい筋肉でできた腕相手に心なしか筋っぽい何かがついた僕の腕じゃあびくもとしない。


ちくしょう手が疲れたじゃないか。そういえば外暗いけど今何時なの?


「ちょっと、アルさん起きて」


アルさんの固い頬をぺちぺちと叩くがにやっとされて終わる、いやなんで笑うんだよ…………………。



ん゛?


アルさんのにやけ顔にあることに気づく。

ねえ……………。

この人起きてない?



試しに耳を引っ張れば手を掴まれて止められる。


「………………起きてるでしょアルさん」

恐る恐る聞くとアルさんはククっと笑いながらゆっくりと目を開けた。


「なんだ、ばれちまったか」

「目潰ししたげようか」

てへっ、みたいな顔しないでよ。


「さらっと怖いこと言うな、ラグが起きたときの反応が面白れえからつい、な?」

かっこいい笑顔で言われても全然うれしくないな………。


「な? じゃないよもう。じゃあ起きたんならいい加減はなしてくださいな、僕抱き枕とかいやよ」

「断る」


なんでそこはキリッとした顔でやるの………。


「即答やめい」

この人即答が板についてきてるのは何故だ………………。


「抱きしめた時に俺の体にすっぽりと納まるラグが可愛いし、しかもちっとひんやりとするから今の季節にゃ最高、あぁぁあああ可愛い……」


なにその後半のちょっとした商品説明みたいなの…………………。


というかその流れで行くと……………。


「てことは秋や冬は抱き枕的なものはないと? 」

夏限定抱き枕とかなにそれ………………。


「あ? なわけねえだろ。あちい時はラグを癒しにしてさみい時は冷たいラグを温めて今度は俺がラグの癒しになってやるぜ」

うゎ、神々しいまでのどや顔。


「単に僕が暑苦しいだけやん……………」

夏は抱きつかれて寝苦しく冬は包み込まれて息苦しいって僕を寝不足にする気か。

僕が半分諦めた感じで溜め息をつけばむすっとアルさんの額に皺が寄る。


「俺の愛情になに不満げにしてんだオイ」

いや不満とかそういう問題ではないと思う………いや、そもそもそれ以前に。


「……………うだうだ話すのはいいんだけどいい加減起き上がらない?」

さっきまでの会話はぜんぶ布団の上での事だし。


しかも僕はアルさんの腕のなかにいると言う近年希に見る本当になんなのこれって感じだ。

 いくら夜だからといって起きてからずっとごろごろするのはやだし。


ちょっとお腹すいてきたんだよね……………、そんな僕に対しアルさんはなんとも嫌そうな顔をする。 


「俺はもっとラグといちゃいちゃしてぇ……」

よっこらせとアルさんはおっさんくさい台詞と共に起き上がると胡座をかき、真ん中に僕を乗っけて落ち着く、いや落ち着くな。


「これの何処をどう見ればいちゃいちゃと取れるんだよ…………」

抵抗しても無駄なことは既に学習済みの僕は近くのテーブルに乗ってる眼鏡ケースを取ろうと手を伸ばすけど、テーブルにはぎりぎり届いても真ん中に置いてある眼鏡ケースまではかすりもしない。



アルさんちょっとあれ取っておくれ。


「あぁ? じゃあ逆に聞くがさっきまでのやりとりはなんだって言うんだよっ、と、ほれ眼鏡」

僕よりもでかいアルさんは少し手を伸ばすだけで眼鏡ケースを取ると僕の頭にぼふっとのせる。


「置く場所がおかしい…………」

これ以上突っ込んでたら身が持たないと思いながら眼鏡を着ける。


「で、今更だけど今何時? 」

腕を上に伸ばしてこきこきしてるアルさんに聞く。


「今か? 大体7時前位じゃねぇか?」 

7時……………あの王様の所にいたときは2時すぎだから5時間……………寝過ぎだよ僕、道理で寝覚めが最高な訳だよ……………。


「あ、そうだラグ」

なんすか……。


「9時にイウァンから夕飯の誘いが来てるから行くぞ~」


「はぁあ゛…………? 」

9時…………? あと2時間じゃん………、朝の通学的な状況になってる上に寝起きでご飯食べなきゃいけなくなる上に一緒に食べる相手がこの国の王様だしってそれ全部一旦おいといて。  


「言うのが遅いんだよ馬鹿! 」

「お? わりいわりい」


んな悪びれもなく言うな!!



僕の心の叫びは身仕度をし始めたアルギスに巻き込まれて口からでることはなかったとさ……………。







    
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