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二章 城

あっさりと舞台は変わる

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赤くフカフカしたレッドカーペットが敷かれた長い長い廊下、アルさんは満面の笑みで進んでいく。


廊下ですれ違う侍女さんや侍従さんが目を丸くしながら道を開けて礼をする。

何でかって?、僕が聞きたいよ、……しいて言うなら。



「………アルギス、ラグーン君を抱き上げるのはやめてくれません? 端から見たら、大将軍が戦利品として子供攫ってきてると解釈されますよ?」

アルさんの後ろを歩いているミネルスさんから苦笑混じりの注意がとんでくる。


なんでこうなった………?




遡ること数時間、いや数分前。








「ざっとこんなものかな~……」


お昼に使った食器を片付け、しばらく家を空けるとアルさんに言われたから食材をアイテムボックスにぶちこむ、ついでに言うと、このアイテムボックスと僕の影は繋がってる………らしい。


パネルとして現れるステータス画面を開いて技能項目ををタップすると様々な説明が読める、その中で影がとても万能なことが判明。


例えば影を好きな形、物に変えられる、例として影を背中から翼の形して出せば空を飛べる。

とか。

近くにある木陰や日陰にある「影」を自由に操作ができてしまうんだとか。

意外にチートじゃね? と思うがそれに見合ったデメリットもある。

まず影を自由に変えられるが色を変えることはできないから真っ黒なままだし、食材の形にしても食べることはできない。



そしてもう一つは遠隔操作で影を刃の形にして切ることはできても腕の形にして持ち上げたりするときにかかる力は本体、つまり僕の持っている力に左右される。

僕の非力さでは重いものは持てないということだ。




「終わったか~? 」

そして退屈そうにテーブルに頬杖をついて貧乏揺すりをしているのは僕と結婚する気らしいアルさん。

男との結婚は正直微妙だがイケメンならギリギリいいかな? と思ってしまったりする。


改めて頭で整理してみたけど割とぶっ飛んでるよねー……。

流されやすい性格で良かった、拒否反応全開なら今頃ストレスが湯水の如く沸いてたよ………。


「行儀悪いですよ貴方、全く……ラグーン君、準備の方はよろしいですか?」



キラキラと笑顔でテーブルの上でぐでてるアルさん注意をしたミネルスさん。


そういえばこの人ずっと笑顔だな、

しかもなんかミネルスさんの笑顔の背景に吹雪吹いたりキラキラと星が舞ったり……。

少なくとも僕へ向ける笑顔とアルさんへの笑顔は違うと思う。


「俺とラグーンで態度違うだろ、お前」

「当たり前でしょう、そもそもサボリ魔で脳筋でゴリラの貴方にお前呼ばわりされるとは心外ですね」

笑顔で毒を吐いていらっしゃる……。。

アルさんはアルさんで言い返せないのか「ぐぬぬ」と唸っているし。




「はぁ、たく………ほれ、こっち来いラグーン」

椅子から立ち上がったアルさんは両手をこっちに伸ばしてくいくいと手を動かしてくるアルさん、 嫌な予感。


「え~…………」

「ほれ」

「…………」

「…………」



軽く沈、黙。


え? 何すんのこの人?


なんか腕こっちにむけて強い目で見てるけど……なんとなくだけど

こういう時は。


「イヤっす」

「あ゛? 」おおうドス声……威圧しないで、そして立ち上がってジリジリ近づいてこないぇ。


ジリジリとくるアルさんに合わせ僕も後ずさる。


「おい逃げんな」

「じゃあなんで近づいてくるんすか」

「ラグーンが言うこときかねえからだろ」

「じゃあまずその手を下ろしてくれます? 」

「断る」


話しているうちにあっというまに壁に到達してしまった、

逃げ場がない………、かくなる上は……!


「さあもう逃げ場ねえぞ、おとなしく俺に……あ? 」

「影よ、わたしの声に反応して、【影化】」


影化。


自分の体を影と同調……簡単に言うと影の中に入るということ、世界のほとんどには影が必ずしもあって無くなることなんてありえない、つまりどこにでもある。

極端に言えば、空が曇っていればそれでもうそこら一帯が影になる、家の中もその理論でいけば影、てことで僕はずぶずぶと水に入るような感覚で影に入っていく。



だが、下半身が埋まったあたりで突然視界が高くなる。そして目の前には眉間に皺を寄せたアルさん………。

抱き上げられてるやんけ。


「なぁに妙な術使ってんだ、ほれ、目閉じてろ」


むすっと言われた通りに目を閉じていると突然浮遊感が起りり先程までの外から聞こえるギヤーギャーと聞こえていた怪鳥の声が突然止む。


目を開けると。

なんか豪華な部屋にいた。








そして今に至る。

アルさんは上機嫌でそのお部屋を出ると、なんの迷いもなくこれまた洋風で豪華な廊下を歩き始める、後ろにはミネルスさんもついてきている。


「ここどこよ………」

思わず呟く。


「クロンパート城だ」

「だから何処よ……」

アルさんが質問に答えてくれるけど。

そん名前の城知らん。


「ああ………そういや大将軍とか言われてたね? 」

「おうよ、」


ふと考える、大将軍………将軍よりもたしか上………。


「もしかして………玉の輿? 」

これって玉の輿?

三色昼寝おやつ付きご飯お取り寄せライフ?


……これはちまたの女子なら良物件!!、てきゃーきゃー騒ぎそうだな……………。


「タマノコシ? んだそりゃ? 」

「いやこっちの話………、」

……つまり。


アルさん大将軍→強い→給料良い→金持ち→お買い得物件→イケメン→……………。


はっ!



「僕って何人目の嫁!? 」


そういえばこのゲーム多重婚OKだった、

洋風な史実をそのままぶっこんでるから半数以上の国では愛人妻がハーレム状態。


アルさんのことだからきっとたくさん………、 う、うらやましくなんてないからね!

すると怒ったような声が降ってきた。


「何いきなりアホなこと言ってやがる、他に嫁なんて作るかめんどくせえ……俺はお前だけを愛するつもりだが? 」

ヤダ………イケメン。


世の浮気男達見習って……!


「お前こそ俺以外にも夫とらなきゃだろ? 胸くそわりいがな……チッ」












……ゑ??







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