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二章 城

耳を塞いでもイイカナ?

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不老者


それは魔法や武術を極めたものが肉体が変化し、その者が何年歳を重ねても肉体が衰えることがなくなる。


その者らを総じて不老者と人々は言う。


不老者となるには生半可なことは実力ではなれない上に強い者の中でも一握りの者だけがなれる。


不老者は肉体の老化を止めるが、その者の実力がそこで止まると言うわけではなく、鍛練を続ければ更なる力を手にすることができる。



基本的に一つの国に不老者は一人いるかいないか、魔力が多いものや森で静かに暮らすエルフ等の寿命の多い種族もいるが、それでもゆっくりと歳をとっていき、長くても千年ほどでその生涯を終える。




数多くの国のある6つの大陸の中でも五本の指にはいる帝国、ゼンブレル、


ゼンブレルには不老者が五人いる、その中の一人アルギスは他の四人よりも群を抜いて強く、不老者の更なる力、特殊能力を開花させるなど、恐ろしいまでの力で周辺国から恐れられてる。


それが、我々人間が認識している限りの事です。



そんなアルギスも含めてそんな非の打ち所のない不老者たちだが一つだけ問題がある、そう。


婚活。


強さを極めた不老者達の恋愛対象は九割がた例外はあれど守りたくなる、自分よりも背が低く、弱い者たちのだが、そこで邪魔になるのは自身の老いない体、不老者達の恋愛対象になる人は当たり前なのだがほとんどが一般人。

ラグーン君のように華奢で守ってやりたくなるような不老者は滅多にいない。


そして、例え一般人と結婚をしても数十年後には不老者は愛する結婚相手を看取る側に付かなければいけない。


看取った不老者は哀しみに暮れ、有り余る自分の寿命という名の孤独と付き合って行かなければいけなくなる。


孤独と自分の強さを呪い、最終的に自害をする、それは国側としても放置できない事態、それをできるだけ防ぐため数百年前からいつの間にかできた決まり。


それは一人の嫁側の者に対し5人~10人の夫達がつくという、まぁぶっちゃけ逆ハーレムですねはい。


もちろん夫を持つときは嫁側の意見を優先するために望まれない結婚はしないから安心ですよ。




by ミネルス。





「てことで、わかりました? 」

ミネルスさんから有り難ーい説明をを聞きました………………はい。


「ノーコメント……」

その場でしゃがんで耳を塞ぎ現実逃避しか僕にはできません!。


いや、なんか暇になったから何気なーく質問したよ? なんでたくさん夫作るのと。


で、なに?なんなの?? アルさんだけならまだまぁいいでしょってなる気がするけど、ほかにも夫作るの!? おかしくない!?、 おかしくないっていうかなんで異世界に来て逆ハー築かないといけないの!?


い、いやいやいや根本的になんで僕が嫁側なの!?

いや。

アルさん相手に夫も嫌だけどいやいやいやいや!!



「百面相なんてして現実逃避をしても無駄ですからね? 」

笑顔で退路を塞がないで!!


「もうやだお家に帰る…………」

「帰ってもすぐにアルギスが迎えに向かいますよ? 」

「魔法阻害結界でも張って魔法じゃ入れないようにすれば………」

「あの脳筋なら魔法使わなくても走ってラグーン君の家のある森に行けますよ? 」

お、恐しや脳筋………、。


「……………逃げても無駄? 」


「はい」

にこっ、じゃないよ満面の笑みで言わないでってば。


「あぁ安心してください、私はラグーン君とは友人として扱わせてもらうので夫にはなりませんよ」

フォローの方向違うんですけど?


「なんかもうわけわかんなくなってきたわ…………」

「そんなに心配しなくてもアルギスならラグーン君を大事にしてくれますよ」


うずくまっている僕の背中を優しく撫でてミネルスさんは言ってくれるけど………。


アルさん…………?


そういえばこの王座みたいなのがある明らかに雰囲気の違う部屋に来てからアルさんは奥に行ったけど何してるんだろ?


立ち上がってアルさんの歩いていった方を見るとアルさんが誰かと怖い顔で口喧嘩してるみたい……こっちからだと声が反響しまくってよく聞こえない。


もっと近づいて見ようか。


「おや、あそこに行くんですか? 」

「そだよ?」

一歩歩いた所でミネルスさんに止められる。

「今あそこに行くのはあまりおすすめはしませんけどねぇ」

「なんで?」

ミネルスさんはアルさんのいる方を見て苦笑を浮かべた。


「今アルギスはこの国の王と話してるのですが今の状態ですと…………耳にかなり悪いですね」

「耳に悪いってなんぞや………」

「もう少し近づけば分かりますよ」

言われた通り、アルさんの方へ十歩くらい歩き、すぐ後悔した。


少し離れた所にいるアルさんは緑の宝石(エメラルドかな?)のついた金色の王冠をつけた二十代くらいの男性と話してるのだけど、二人とも凄い形相


「おまえ……! こっちが戦後処理で忙しいってのになにいけしゃあしゃあと嫁なんてつれてきてるんだ!!! 」

「戦争の後にサボるのはいつものこんたろうが!!、一々キレんなよ!!」

喧嘩してる……………、嫁って……


「俺がキレてるのは嫁を連れて来てる方だっ!! 戦利品として略奪でもしてきたんじゃないだろうな!? 略奪関係の手続きは面倒なんだぞ!? 」

「あっちの国の奴なんて持ってこねえわ!!森で拾って来たたけだっつーの!!」

拾って来たって…………。


「どちらにしろ誘拐じゃねえかこの野郎!! 」

うん、二人とも声が大きいからうるさい………。



とりあえず耳塞いどこ。







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