吸血鬼伝説の始まり

８世紀由来の石鹸と手洗い

Ａ王国学校の子供たちにマフラーのような白くて長い布が渡された。

使い方を先生が自ら使って見せて説明した。

要は、鼻と口を覆い隠すように撒き付けるのだった。

「流行り病は、いわば風邪の最も強い病ですから、
風邪が伝染した時ってみなさんは解りますか。
そうですね。
まずは風邪の症状である咳やくしゃみやを頻繁にしている人の近くにいると、たちまちうつってしまいますよね。
風邪は、このように風邪患者の咳やくしゃみから菌が出ていて、
我々に伝染すると考えられます。
昔の人は、風邪や疫病は、患者の身体から出る臭いを嗅いだり、
吸い込むと流行り病や疫病にうつるとも言われています。
ですから、予防の為に自分の鼻や口を塞ぐ、
この白い布を各自に渡しますので、
風邪の症状の人の前では特に使ってくださいね」

子供たちはそれぞれが、
先生が使用した感じで白い防疫マフラーを巻き付け始めた。

「遊びで、鬼ごっこ遊びがありますよね。
また、イジメはよくありませんが、
イジメの一つで、汚い不潔な友達をバイ菌とか言って囃し立てて、
苛めることもがありますが、これも元を正すと、
やはり流行り病や疫病が原因なんですね。
流行り病に罹った患者に近付いたり触ったりすると、
その人も罹ってしまいますよね。
そして、遂には熱を出して寝込んでしまい、
身体が流行り病に侵されて死んでしまう。
重篤な患者や、長い間、流行り病で死んで放置された人達は汚れて汚く、
流行り病の菌の温床となります。
ですから、Ａ王国では、常に身体を清潔に保ち、
手や身体が汚れたら、石鹸でよく洗ってくださいね。
Ａ王国では、
８世紀ごろにアラビアからスペイン経由でヨーロッパに入ってきた石鹸を、
Ａ王国内でも製造し始めましたので、
流行り病のこの時期は、
特にこまめに石鹸で手洗いしてください」