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第8章
第256話
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「それじゃあ、海に関しての説明をしていきますね。まず最初に注意してもらいたいのは、…………」
初めての海に対する様々な注意点を、分かりやすく丁寧に説明していく。大人である母親たちは海という場所に潜む危険性を理解してくれたが、子供たちにはやはり難しかった様で、こんなに綺麗な場所なのにと首を傾げている。そんな子供たちに、母親たちが子供にも分かる様に噛み砕いて、絶対に守ってほしい事を伝えていく。母親たちの真剣な表情と雰囲気から、子供たちも大事な話であると認識し、真面目に教えられた事を覚えようとしている。
〈あの様子ならば、小学生くらいの子や年長の子たちなら、好奇心から変な事はしないだろう。だが年少の子たちの場合は、肉体的にも精神的にも非常に幼い事から、どの様な動きをするのか分からない。とりあえず最初の内は全員で一緒に行動してもらう事にして、海という場所を色々理解したとサリエル様たちが判断したら、個別の行動などを解禁してもらう事にしよう〉
さらに言えば、目の前にいる三歳児や四歳児たちには、生まれ持った力がある。そう、天族として生まれ持った豊富で質の高い魔力だ。そこに、種族由来である魔術への非常に高い適性が組み合わされると、幼児たちの行動は色々と予想が出来ない。天才と呼ばれた先人の魔術師たちや、後の世に天才であると言われる魔術師たちであろうとも、生まれたばかりの時は真面に魔力制御など出来ない。例外があるとするならば、生まれた時から明確な自我を持つ俺たち転生者や、生まれながらの怪物と呼べる鬼才たちだけだ。
三歳や四歳の子供ともなれば感情の起伏が激しく、ふとした事で泣いたり笑ったりする。それと連動する様に、質の高い魔力によって周囲の物を浮かせたり、衝撃波などを放ったりする事もある。そして、負の感情の際に起こる無意識の魔力による現象は、正の感情の際に起こる魔力による現象に比べると、規模や威力が大きくなる。中には衝撃波だけでなく、火属性の魔力で火を生み出したり、水属性の魔力で水を生み出したりもする。それくらい負の感情というのは、魔力制御の出来ていない子供や幼児にとっては、強く大きな力の原動力となる。
「色々と理解してもらえたところで、次に進んでみましょう。まあ、いきなり海に入れという事が難しいのは俺も分かっています。ですので、最初は触れてみる事から始めていきましょうか」
「分かりました」(天族の母親)
「感触は湖や生活の上で触れる水、魔術で生み出した水と変わりません。ただ先程も注意した様に…………」
「海水を飲む事は禁止、ですよね。水を飲むなら、綺麗な川や湖の水か、水属性の魔力で生み出した水を飲む」(天族の母親)
「はい、そうです。ただ海に入っている際に、どうしても口に海水が入ったり、飲んでしまう事もあります。その際には落ち着いて海から出て、体調や気分が悪くないかをしっかりと確認しつつ、水分補給をしながら安静にしていてください。周りの人はその人の傍にいて状況を見守りつつ、回復魔術が使えるなら使っていき、その人を助けてあげてください」
『はい』(天族の母親たち)
『はい!!』(小学生くらいの子供たち)
「う~い」(年少の子供)
「うみ!!」(年少の子供)
「ははは、小さい子たちが興味津々ですね。それじゃあ色々と気を付けながら、海に触れていきましょうか」
『分かりました』(天族の母親たち)
母親たちと一緒に子供たちを微笑ましく見守りながら、波打ち際まで移動していく。年少や年長の子たちは楽しみといった様子で、小学生くらいの子たちは楽しみ半分緊張半分といった様子で、母親たちと一緒に歩いている。まあ初めて海に近づくのだから、緊張してしまうのも無理もないか。まだ小学生くらいとはいえ、年少や年長の子たち程、純粋にこの状況を楽しめる訳でもないしな。
暫く皆で歩いた後に、静かな波の音が聞こえる波打ち際へと到着した。近くまでくると、年少と年長の子たちがうずうずとしだし、今にも海に向かって走り出しそうだ。そんな年少と年長の子たちを、母親たちが焦ったように宥めている。今はまだ我慢が効いているが、その内抑えきれなくなりそうだ。
俺はチラリとサリエル様たちに視線を送り、サリエル様たちも視線を送った俺に向かって頷き返す。子供たちが海に向かって駆けだす前に、こちらが主導権を握った状態のまま進めたい。何より、これ以上母親たちに負担を掛けてしまうのは、俺やサリエル様たちの望む所ではない。
「じゃあまずは、軽く触れてみましょう。触れるだけなら、飲むだけと違って身体の中に直接害はありませんので、気軽に触れても大丈夫ですよ」
「分かりました。皆、ゆっくり慎重にね」(天族の母親)
「何か変化感じがしたら、直ぐに私たちに言うのよ」(天族の母親)
「うん、分かってる」(小学生くらいの天族の子供)
「何か感じたら、直ぐに言うよ」(小学生くらいの天族の子供)
「この子たちの事は私たちが見ていますので、貴女たちは小さい子たちの事を見ていてあげてください」(サリエル)
『分かりました』(天族の母親たち)
小学生くらいの子たちをサリエル様たちが見守りながら、海水を触らせに一緒に近づいていく。年長や年少の子たちの方は、母親たちが見守りながら一緒に近づいていく。俺はと言えば、一歩引いた視点で全体を見守るために、この場からは動かない。
母親たちは緊張しつつも、海水に触るのを何処か楽しみにしている様に見える。やはり大人といえども、知識でか知らなかった、想像する事しか出来なかった海が目の前に広がっている事に、興奮を隠しきれない様だ。
そして子供たちと母親たちは、初めての海水に触れていく。触った感触としては、川の水や湖の水とは変わらないはずだ。だが海水に触れているという未知の体験と、海という場所にいる事が相乗効果となり、皆の顔に楽しさから笑顔が浮かぶ。その光景を見ていると、たとえ慣れるまでの一時のものであったとしても、楽しんでくれているという事にこちらも嬉しくなる。
「皆さん、何か体調に変化があったり、気分が悪くなったりはしていませんか?」
「私たち大人は大丈夫です。皆はどう?気持ち悪かったり、何か感じたりするかしら?」(天族の母親)
「僕らの方も大丈夫だよ」(小学生くらいの天族の子供)
「肌がベタベタする~」(年長の子供)
「ね~、ベタベタするね~」(年長の子供)
「ぱしゃぱしゃ~!!」(年少の子供)
「べたべた?」(年少の子供)
「小さい子たちの方も、身体に影響はなさそうです。天族という種族であっても、他の種族と同じように海を楽しむ事が出来ます。後は……」(サリエル)
「後は?」
「皆の背にある翼、これが海水に触れるとどうなるかが分かれば、海は天族にとって問題の無い場所になります」(サリエル)
「でしたら、私たちが試してみます。せめて、これくらいの事はさせてください」(天族の母親)
「……分かりました。ではまず最初に、翼に海水をかけていく事から始めていきましょう。カイル殿、協力してください」(サリエル)
「了解です」
そこからは、天族の翼に海水が触れても大丈夫なのかを調べるために、天族の母親たちに協力してもらいながら色々と試していく。サリエル様たちからの情報によると、背に生える翼は子供と大人で大きさが違うだけで、性質などが成長によって変わる事はないとの事。なので、母親たちの翼で試してみて何も問題がなければ、子供たちも大丈夫だという事になる。
そして天族の母親たちに数十分かけて協力してもらい、色々と試していった結果、特に問題となる様な事はなかった。川の水や湖の水、空から降り注ぐ雨の水と同じように、海水もその翼を濡らすことなく弾いた。だがこれは、あくまで海水に触れるという段階での話だ。本格的に海の中へと潜る事になった時、翼がどの様な状態になるのかは分からない。
「どうしますか?まずは波打ち際で慣れてもらってから、海の中に入るという事を試してもらいますか?」
「そうですね……」(サリエル)
「やります。やらせてください」(天族の母親)
「ですが、貴女たちは今日初めて海に触れたんです。あまり無理をさせる訳には……」(サリエル)
「…………私たちがここで試す事で、他の者たちが安全に海を楽しめるなら、私たちは迷わず挑みます」(天族の母親)
「サリエル様、やらせてください」(天族の母親)
「……分かりました。では、海の中に潜ってみましょう。ただ私たちも、貴女たちの安全を確保するために一緒に潜ります。何か異変を感じたら、直ぐに私たちに合図を送ってください。いいですね?」(サリエル)
『はい』(天族の母親たち)
海の潜り方や注意点などを母親たちに分かりやすく教えた後、サリエル様たちによる万全の体制で、天族の母親たちがサリエル様たちと一緒に海の中へと潜っていく。そして、十五秒程で母親たちが海中から海面へと上がってくる。そのままサリエル様たちと一緒に、波打ち際まで戻ってきた。
「どうでした?」
「多少動きが鈍りますが、海の中でも動かす事が出来ます。それと、空を飛ぶ時と同じ様に翼を動かして、海の中を移動する事も出来ました」(天族の母親)
「なる程。それならば、海中では特に問題はなさそうですね。後は海中での呼吸の仕方を覚えてもらえれば、皆さん問題なさそうですね」
「それじゃあ……」(天族の母親)
「ええ、皆さんは海という場所を充分に楽しめます」
俺の言葉に、母親たちは嬉しさから歓声を上げる。それを見た子供たちも、同じく歓声を上げてはしゃいでいる。そんな喜ぶ母親や子供たちの姿を、俺もサリエル様たちも微笑みながら見ていた。この光景を見れただけも、この魔道具を作ってよかったと心から思った。
初めての海に対する様々な注意点を、分かりやすく丁寧に説明していく。大人である母親たちは海という場所に潜む危険性を理解してくれたが、子供たちにはやはり難しかった様で、こんなに綺麗な場所なのにと首を傾げている。そんな子供たちに、母親たちが子供にも分かる様に噛み砕いて、絶対に守ってほしい事を伝えていく。母親たちの真剣な表情と雰囲気から、子供たちも大事な話であると認識し、真面目に教えられた事を覚えようとしている。
〈あの様子ならば、小学生くらいの子や年長の子たちなら、好奇心から変な事はしないだろう。だが年少の子たちの場合は、肉体的にも精神的にも非常に幼い事から、どの様な動きをするのか分からない。とりあえず最初の内は全員で一緒に行動してもらう事にして、海という場所を色々理解したとサリエル様たちが判断したら、個別の行動などを解禁してもらう事にしよう〉
さらに言えば、目の前にいる三歳児や四歳児たちには、生まれ持った力がある。そう、天族として生まれ持った豊富で質の高い魔力だ。そこに、種族由来である魔術への非常に高い適性が組み合わされると、幼児たちの行動は色々と予想が出来ない。天才と呼ばれた先人の魔術師たちや、後の世に天才であると言われる魔術師たちであろうとも、生まれたばかりの時は真面に魔力制御など出来ない。例外があるとするならば、生まれた時から明確な自我を持つ俺たち転生者や、生まれながらの怪物と呼べる鬼才たちだけだ。
三歳や四歳の子供ともなれば感情の起伏が激しく、ふとした事で泣いたり笑ったりする。それと連動する様に、質の高い魔力によって周囲の物を浮かせたり、衝撃波などを放ったりする事もある。そして、負の感情の際に起こる無意識の魔力による現象は、正の感情の際に起こる魔力による現象に比べると、規模や威力が大きくなる。中には衝撃波だけでなく、火属性の魔力で火を生み出したり、水属性の魔力で水を生み出したりもする。それくらい負の感情というのは、魔力制御の出来ていない子供や幼児にとっては、強く大きな力の原動力となる。
「色々と理解してもらえたところで、次に進んでみましょう。まあ、いきなり海に入れという事が難しいのは俺も分かっています。ですので、最初は触れてみる事から始めていきましょうか」
「分かりました」(天族の母親)
「感触は湖や生活の上で触れる水、魔術で生み出した水と変わりません。ただ先程も注意した様に…………」
「海水を飲む事は禁止、ですよね。水を飲むなら、綺麗な川や湖の水か、水属性の魔力で生み出した水を飲む」(天族の母親)
「はい、そうです。ただ海に入っている際に、どうしても口に海水が入ったり、飲んでしまう事もあります。その際には落ち着いて海から出て、体調や気分が悪くないかをしっかりと確認しつつ、水分補給をしながら安静にしていてください。周りの人はその人の傍にいて状況を見守りつつ、回復魔術が使えるなら使っていき、その人を助けてあげてください」
『はい』(天族の母親たち)
『はい!!』(小学生くらいの子供たち)
「う~い」(年少の子供)
「うみ!!」(年少の子供)
「ははは、小さい子たちが興味津々ですね。それじゃあ色々と気を付けながら、海に触れていきましょうか」
『分かりました』(天族の母親たち)
母親たちと一緒に子供たちを微笑ましく見守りながら、波打ち際まで移動していく。年少や年長の子たちは楽しみといった様子で、小学生くらいの子たちは楽しみ半分緊張半分といった様子で、母親たちと一緒に歩いている。まあ初めて海に近づくのだから、緊張してしまうのも無理もないか。まだ小学生くらいとはいえ、年少や年長の子たち程、純粋にこの状況を楽しめる訳でもないしな。
暫く皆で歩いた後に、静かな波の音が聞こえる波打ち際へと到着した。近くまでくると、年少と年長の子たちがうずうずとしだし、今にも海に向かって走り出しそうだ。そんな年少と年長の子たちを、母親たちが焦ったように宥めている。今はまだ我慢が効いているが、その内抑えきれなくなりそうだ。
俺はチラリとサリエル様たちに視線を送り、サリエル様たちも視線を送った俺に向かって頷き返す。子供たちが海に向かって駆けだす前に、こちらが主導権を握った状態のまま進めたい。何より、これ以上母親たちに負担を掛けてしまうのは、俺やサリエル様たちの望む所ではない。
「じゃあまずは、軽く触れてみましょう。触れるだけなら、飲むだけと違って身体の中に直接害はありませんので、気軽に触れても大丈夫ですよ」
「分かりました。皆、ゆっくり慎重にね」(天族の母親)
「何か変化感じがしたら、直ぐに私たちに言うのよ」(天族の母親)
「うん、分かってる」(小学生くらいの天族の子供)
「何か感じたら、直ぐに言うよ」(小学生くらいの天族の子供)
「この子たちの事は私たちが見ていますので、貴女たちは小さい子たちの事を見ていてあげてください」(サリエル)
『分かりました』(天族の母親たち)
小学生くらいの子たちをサリエル様たちが見守りながら、海水を触らせに一緒に近づいていく。年長や年少の子たちの方は、母親たちが見守りながら一緒に近づいていく。俺はと言えば、一歩引いた視点で全体を見守るために、この場からは動かない。
母親たちは緊張しつつも、海水に触るのを何処か楽しみにしている様に見える。やはり大人といえども、知識でか知らなかった、想像する事しか出来なかった海が目の前に広がっている事に、興奮を隠しきれない様だ。
そして子供たちと母親たちは、初めての海水に触れていく。触った感触としては、川の水や湖の水とは変わらないはずだ。だが海水に触れているという未知の体験と、海という場所にいる事が相乗効果となり、皆の顔に楽しさから笑顔が浮かぶ。その光景を見ていると、たとえ慣れるまでの一時のものであったとしても、楽しんでくれているという事にこちらも嬉しくなる。
「皆さん、何か体調に変化があったり、気分が悪くなったりはしていませんか?」
「私たち大人は大丈夫です。皆はどう?気持ち悪かったり、何か感じたりするかしら?」(天族の母親)
「僕らの方も大丈夫だよ」(小学生くらいの天族の子供)
「肌がベタベタする~」(年長の子供)
「ね~、ベタベタするね~」(年長の子供)
「ぱしゃぱしゃ~!!」(年少の子供)
「べたべた?」(年少の子供)
「小さい子たちの方も、身体に影響はなさそうです。天族という種族であっても、他の種族と同じように海を楽しむ事が出来ます。後は……」(サリエル)
「後は?」
「皆の背にある翼、これが海水に触れるとどうなるかが分かれば、海は天族にとって問題の無い場所になります」(サリエル)
「でしたら、私たちが試してみます。せめて、これくらいの事はさせてください」(天族の母親)
「……分かりました。ではまず最初に、翼に海水をかけていく事から始めていきましょう。カイル殿、協力してください」(サリエル)
「了解です」
そこからは、天族の翼に海水が触れても大丈夫なのかを調べるために、天族の母親たちに協力してもらいながら色々と試していく。サリエル様たちからの情報によると、背に生える翼は子供と大人で大きさが違うだけで、性質などが成長によって変わる事はないとの事。なので、母親たちの翼で試してみて何も問題がなければ、子供たちも大丈夫だという事になる。
そして天族の母親たちに数十分かけて協力してもらい、色々と試していった結果、特に問題となる様な事はなかった。川の水や湖の水、空から降り注ぐ雨の水と同じように、海水もその翼を濡らすことなく弾いた。だがこれは、あくまで海水に触れるという段階での話だ。本格的に海の中へと潜る事になった時、翼がどの様な状態になるのかは分からない。
「どうしますか?まずは波打ち際で慣れてもらってから、海の中に入るという事を試してもらいますか?」
「そうですね……」(サリエル)
「やります。やらせてください」(天族の母親)
「ですが、貴女たちは今日初めて海に触れたんです。あまり無理をさせる訳には……」(サリエル)
「…………私たちがここで試す事で、他の者たちが安全に海を楽しめるなら、私たちは迷わず挑みます」(天族の母親)
「サリエル様、やらせてください」(天族の母親)
「……分かりました。では、海の中に潜ってみましょう。ただ私たちも、貴女たちの安全を確保するために一緒に潜ります。何か異変を感じたら、直ぐに私たちに合図を送ってください。いいですね?」(サリエル)
『はい』(天族の母親たち)
海の潜り方や注意点などを母親たちに分かりやすく教えた後、サリエル様たちによる万全の体制で、天族の母親たちがサリエル様たちと一緒に海の中へと潜っていく。そして、十五秒程で母親たちが海中から海面へと上がってくる。そのままサリエル様たちと一緒に、波打ち際まで戻ってきた。
「どうでした?」
「多少動きが鈍りますが、海の中でも動かす事が出来ます。それと、空を飛ぶ時と同じ様に翼を動かして、海の中を移動する事も出来ました」(天族の母親)
「なる程。それならば、海中では特に問題はなさそうですね。後は海中での呼吸の仕方を覚えてもらえれば、皆さん問題なさそうですね」
「それじゃあ……」(天族の母親)
「ええ、皆さんは海という場所を充分に楽しめます」
俺の言葉に、母親たちは嬉しさから歓声を上げる。それを見た子供たちも、同じく歓声を上げてはしゃいでいる。そんな喜ぶ母親や子供たちの姿を、俺もサリエル様たちも微笑みながら見ていた。この光景を見れただけも、この魔道具を作ってよかったと心から思った。
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