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「運命を知っているオメガ」×「運命を知りたくないベータ」
2、それぞれの幸せ2
しおりを挟む「正樹、近藤も久しぶりだな」
「おう! 櫻井元気そうだな」
近藤は櫻井とグーで挨拶した。
「おかげさまでね。みんな、この人は俺の恋人の海斗だよ」
櫻井がすかさず隣の美男子を紹介した。
「海斗、こちらは高校の時に仲良くした友人の、近藤と明と、そして正樹だよ」
「皆さんのことは類から聞いています。今後ともよろしくね」
「「よ、よろしくおねがいします!」」
明と近藤はめっちゃ姿勢正している。こいつら、美人に弱いからな。マジで美人だ……海斗さんは、くすっと笑った。大人の魅力! 俺はぼけっと見とれていると、その美人は俺に向き合った。
「君のことは類から全て聞いているよ」
「えっと、え?」
何を、全てを、全てってなんだ? ってか櫻井ってルイっていうんだった。名前まで王子様じゃねぇか!? ずっと櫻井呼びしていたから下の名前なんて忘れていたぜぇ!
「海斗、そんな嫉妬しなくても大丈夫だって言っただろう。正樹なんて俺との過去を忘れて今、何について言われているのかもわかってないから」
「はは、それ言えている。正樹はそういうやつだし、それに怖い番がいるから、こんなチョロ助のこと気にしなくて大丈夫ですよ! kaiさん、いえ海斗さん」
明がそう言って俺の頭をガシガシする。痛いな、コノヤロウ! そこで司が登場した。
「俺の最愛の頭を触るな、それにチョロ助は一生懸命に成長中だから、そこをあまりいじるな」
「やべっ、怖い旦那登場だ!」
なんだよ、チョロ助って。司までそんなこと言いやがって。司は俺を後ろから抱きしめてきた。まあ、落ち着くからいっか。頭をぽんぽんとたたいてやった。
「西条相変わらずだな、正樹に飽きられている頃かと思ったら、そうでもなくて安心したよ」
「そんな心配は一生いらない。それより、まぁ櫻井も元気そうだな、婚約おめでとう」
「ありがと」
司が二人の婚約のことを言うと、近藤と明は興奮した。
「ええっ! 婚約したの!? すげぇな櫻井、おめでと――」
「お前はいつか大物をとらえると思ったけど、まさか相手は、アジア最大のクールビューティーでバースも国籍も謎の大物モデルkaiだとは!」
ええ――! マジでそんな大物!?
「そんな有名人だったの!?」
「さすが正樹、そこも知らないのかよ。kaiって言ったら、老舗宝石メーカーの専属モデルで、kaiさんがモデルになるとそのアクセサリーがバカ売れするんだよ。バース別のアクセサリーモデルを全てこなしているから、kaiさんはカメレオンモデルと言われていてな。未だバースが謎のままなんだ」
「す、凄いね」
「お前の母さんにたまたま会った時さ、櫻井の恋人のバースは聞いてないのかって聞かれて。それで俺もネット見たらkaiの恋人は日本人アルファって、櫻井が出てるじゃん!? 驚きだったけど、百合子さんのネタが早かったのにはもっと驚いたぞ。お前からだと思っていたけど、違ったのな」
母さん知っていたのかよ!?
目の前で有名人に会って、近藤と明が興奮していたけどバースが謎? 確か櫻井の手紙ではベータと付き合っているってあったけど、ベータってこと公表してないのか?
「君たちは類の親友だって聞いたからバラしちゃうけど、僕は名前でもわかる通り日本人でベータなんだ。それでも類は僕を選んでくれて、僕も類に運命を感じたから」
「世間には結婚したときに、kaiの性別は発表するから、まだ誰にも言うなよ?」
二人は見つめあっていて、甘い雰囲気だった。そして秘密を暴露すると、近藤も明も頷いた。
「そうだったんだ。でも性別なんて所詮関係ないよ、人が人を好きになるって。人のバースを見て選ぶわけじゃないしな」
「ああ、そうだよ。俺だって今付き合っているの、オメガの男の子だし」
明がいいこと言った後に、近藤がぼそっとカミングアウトした。俺も初めて紹介されたときびっくりしたけど……だって近藤って女の子大好きだったと思っていたからな。でもお似合いな二人だった。
「え! 俺初耳だよ。明美ちゃんはどした!?」
「あ? もうとっくに別れたよ。いつの話だよ! 今はそいつとラブラブなわけだよ」
「マジか!? 俺がイギリスに行っている間にそんなことに……。でも良かったな!」
櫻井が驚いて近藤に突っ込むと、近藤は照れながら話した。すると明がわめきだしたよ。
「今フリーなの俺だけじゃねぇか! しかたねぇ。入江さんの知り合いの大人女子をゲットしてくるか!」
「お前は、今日が何の日かを思い出せ。ここはマッチング会場じゃねえ、俺らのマドンナ沙也加ちゃんの晴れの日だろ」
俺たちは笑った。いつもの俺たちのふざけた会話だった。
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