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番外編
11、真山家の家族旅行2
しおりを挟む父さんも母さんまでも、部屋食だったからか、豪華な食事だったからか? 食事時にはいつも飲まないのに、二人とも日本酒を飲んで……つぶれてしまった?
早々と布団に寝かせてやったぜ!
俺が男で良かったな、ちょっと疲れたけど二人を無事にお布団に運んだら、汗をかいてしまった。よし、夜の風呂にでもいくか! そういえば父さん、家族風呂がどうとか言っていたけど、この分じゃ父さん朝までぐっすりだろうから無理だろな。
仕方ないから、一人で大浴場に行くか。
そういえば司から連絡が来ていたので、親が酒につぶれて寝ちゃったから、これから一人で大浴場にいってくるぜぃ――って返信だけして部屋を出た。
そして大浴場に行くと、すでに脱衣所にはたくさんの人がいた。そりゃそうだ、母さんは人気の宿だって言っていたから、人がいなかったあの時間は珍しかったのかもしれない。本来このくらいの宿泊客きているよね。
ゆかたを脱いで、風呂へ行った。内湯は人気で沢山人がいたから、ドアを開けて露天へと出るとそこには、若い男が二人しかいなかった。きっと友達同士なのだろう、楽しそうに話していた。入った時、一瞬見られたけど、すぐに端っこの方のお湯につかった。
ふわぁ――夜のちょっと冷えた風とあったかいお湯が気持ちいい。昼間の風呂もいいけど、やっぱ夜は格別だぜ!
一人ぼけ――っとしていたら、先にいた二人組が近寄ってきた。
「ねえ、一人で来ているの?」
「え、家族で来ています」
びっくりした。風呂で話しかけられたのは、まぁ初めてじゃない、よく銭湯とかではおじいちゃんが話しかけてくるから、有りは有りか?
「家族って? 彼氏じゃなくて?」
彼氏ってなんだよ、不躾じゃない?
「両親とですけど、」
「君は、高校生?」
「……はい」
なんだろ、なんか質問攻めだぞ、俺。二人して合間空かずに聞いてくる。勘弁してくれよぅ、俺はお風呂を静かに楽しみたいのに。
すると一人が先にあがるぞって言って出ていった。
その後も、残った一人がなんだかねちねちと色々話してくる、ここら辺の観光地はどこがいいとか、まぁそんな話だったけど、でも、なんか、目が怖い。それにさっきから外風呂に誰も来ないし、知らない人と二人はなんだか居心地が悪い、だったら混んでいる内湯の方がまだゆっくりできそう。
「あの、俺そろそろ出ますね」
「待って」
「えっ」
立ち上がったら、腕を掴まれた。嫌悪感しかなかった。
「君、オメガだろう、オメガがこんな場所で保護者もつけずに一人で裸なんて。男漁りに来たんでしょ、いいよ。俺たちの部屋に行こう」
「は?」
「やりたいんだろ?」
「は、はぁ!?」
なぜそうなる? なぜそういう思考になる? えっ、オメガって一人で風呂に来ちゃいけなかったの!?
「離せっ!」
「可愛いな、ちょっと慣れてない感じもいいけど、それ演技? 首輪してお風呂なんて、ヤッてくださいって言っているようなもんだよ?」
そうだった、俺は司と離れる時は首輪の着用を義務付けされているから、温泉旅行に行くってときに着けられたんだ。盗聴は近くにいなきゃできないって言っていたし、居場所は知ってもらっていても全く問題ないし、司がそれで安心するならと思って着けたから、一目でオメガとわかる。
どうしよう、どうしよう。怖いよ、怖い。
父さんが家族風呂を予約したっていうのは、そういうことだったのかな? あえて人がいない時間帯に一緒に風呂に入ったのも俺を守る為? 俺って成長してない。番を得たから、櫻井とのことも清算できたからすっかり安心しきっていた。
真山正樹、絶体絶命のピンチ! 助けて、司!
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