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19 アイシャ
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最近の陸斗の指導にもやもやしていた僕のところに、いきなり弟が訪ねてきた。
「え、どうしたの?」
「リクが元気にやってるか見にきたの。お父様も心配してたし」
「そうなんだ、わざわざありがとう!」
ラミラス様は、仕事を抑えるようになっていたけれど、やはりやることはあるので日中少しだけ王宮に行き、でも午後には帰ってきて僕と過ごしてくれている。毎日が幸せだった。ただ庭を歩いたりするだけでも、僕は彼の隣にいる自分が好きだった。とても穏やかで、優しい時間。昼間のラミラス様は、とても尊くて、僕を真剣に愛してくれている。夜になると、なぜか急変した僕に翻弄されているラミラス様。
ねぇ、まだ僕が夜だけ違う人になっていることに気がつかないの?
ラミラス様は着実とレベルアップされていた。陸斗の指導の下、なんとラミラス様の大きな指で下準備ができるほどになった。要は、だいぶ拡張できて陸斗は感じていたということだった。それでも陸斗からは許可がでないので、ラミラス様のマグナムというものは使用されないままだった。陸斗がたまにマグナム美味しいと言って、咥えていたけど。僕は最近、二人の夜の営みを見るのが苦痛だった。僕も、僕だって、ラミラス様のマグナムを可愛がって差し上げたい。僕の思考は以前では考えられないものとなっていった。
「ねぇ、噂の野獣大公は?」
「こら、アイシャ。そんな言い方は良くないよ、それに僕の旦那様なんだからね」
「へぇ、リク、上手くやってるんだ? 夜に無体なことされてない?」
「そういうことは、他の人に言うことじゃないからね。夫夫のことだし、僕は幸せだよ」
「え、そうなの?」
アイシャが驚いた顔をしていた。今、アイシャと僕で大公家の庭でティーパーティーをしていた。みんなが身内がきたということで、張り切ってお茶やお菓子を並べてくれていた。
「それにしても、イメージと違って、随分と美しい場所なんだね。それにこんな可愛らしいお菓子がでてくるとは思わなかった」
「アイシャはいったい、大公家にどんなイメージだったわけ?」
「ほら、コワモテ軍団って感じだからさ、家も古い調度品ばかりがあって硬い感じかなって、でもここはリクが好きそうなメルヘンだよね」
「う、アイシャは変なところで敏いよね。メルヘンっていうか……」
「そう! リリテラスの白い花が沢山あって、リクが好きそうな庭ってことだよ」
「うん、僕のために旦那様がリリテラスで埋め尽くしてくれたんだ、へへ」
アイシャがまた驚いた顔をしていた。
「え、本気で、ふたり上手くいってるの? 僕実家の仕事が嫌になってきたから、リクに帰ってきてほしかったんだよね。そろそろ二人は離縁でもするかなと思って期待してきたんだけどさ」
「帰らないよ、もうアイシャがブラコニア伯爵家を引き継ぐことになったんだから、頑張って。わからないことがあれば僕も支えるけど、僕はもうこの大公家のことを一番に考えるべき立場だからね」
「え――、やだやだやだぁ。だって、このままじゃお父様が年上の仕事をできる女性を嫁に迎えるって言って、釣書みたら、不細工ばかりで、僕の好みは妖艶な女性なのに!」
なんと、そんなことになっていたのか。たしかにアイシャに仕事を任せたら、無理かもしれない。お父様は早めにアイシャに見切りをつけて、デキる嫁を迎え入れることにしたのか。
「アイシャ、お父様が決めたなら従わないと。でも、良かったじゃない。デキるお嫁さんが仕事をしてくれたら、アイシャはサポートするだけでいいんだから。あ、カタリーナ様は優秀だよ、よくお仕事で話すことあったけど、彼女が来てくれるなら伯爵家も安泰だよ」
釣書に知っている女性が見えた。
「うわっ、カタリーナなんて、二の腕に太ももがついてる人でしょ。うわっ、うわっ、うわっ、僕こういうふくよかな人だめなんだよね」
「え、でもとてもできた女性だよ」
「見た目が重要なの! リクみたいに見た目汚い野獣に嫁げるような人と違うの!」
「人の旦那様を野獣だんて……」
侍女がお茶を淹れてくれているから、聞かれてるでしょ。もう、アイシャの素直さはときにやっかいだった。心を隠さず話すことは、貴族の中ではタブーなのに。やはり、優秀な嫁をもらうしか伯爵家が生き残ることはできないだろうな。お父様はアイシャを溺愛しているけど、それ以前に伯爵家のことを考えている人だから、お父様の目が黒いうちは間違いは起こらないだろう。アイシャもそれを理解して、僕に相談しにわざわざ大公家にまで来たんだろうと思った。
そこで、向こうから僕の旦那様がきた。ああ、仕事を早く終わらせて今日も帰ってきてくれた。僕はニコニコとしたら、アイシャが僕の視線に気づいたようで、僕の視線の先の人を見て、またまた今日何度目かの驚いた顔をしていた。
「う、うそ。あれが野獣?」
またアイシャの失言。
侍女が白い目でアイシャを見るから、僕は侍女にごめんという視線を送ると、微笑んでくれた。ここの人たちは、アイシャという美しい男ではなく、僕に優しくしてくれる。大公家に来てから、ここの人たちの温かさにいつも救われる。実家の伯爵家では、つねに弟を優先させる侍女たちだったから、ここではまるで真逆の対応でくすぐったいけれど、嬉しかった。人生で僕を優先してくれる人たちに初めて出会えた。
そして真っ先に僕を想ってくれる旦那様が、僕に微笑んだ。
「リク! 愛しい人、会いたかった。仕事を終わらせたから、午後はずっと一緒だ」
「ラミラス様……」
ラミラス様が座っている僕の元にきて、おでこにキスをした。そしてアイシャに気づき、挨拶をする。
「あなたは、リクの弟のアイシャ殿? よくここまで来られた」
「え、あ、あの、アイシャです。大公閣下」
「リクに会いに来られたのだな。できれば愛しい妻を返してもらいたいところだが、たったひとりの弟が来てくれたのなら、歓迎せねばならんな? リク」
僕の隣に自然に座るラミラス様。そして侍女のラミラス様のお茶を淹れた。驚くアイシャ。
「聞いていた話と、違う……」
「アイシャ?」
ラミラス様は聞こえなかったふりをして、お茶を飲んでいたけれど、きっと聞こえている。それにしたやったりという顔をしていた。アイシャを騙したこと、ここでその成果が見れて楽しいのだろう。
アイシャはいきなり、席を立ち、ラミラス様の隣にきた。
「僕、ブラコニア伯爵家の次男なので、本当は僕がここにお嫁にくるはずだったんです。でもリクが来てしまって、大公殿下もリクで満足できていないでしょう? いまから僕が嫁を変わりましょうか?」
「え……」
アイシャがいきなり、何を。
「それにしても、大公殿下がこんなにも素敵な方だなんて知らなかった。王都のパーティーに来ないから、どんな方か知らなくて、こんなカッコいい方だって知っていたら、何がなんでも僕が嫁にきたのになぁ」
「……」
アイシャが上目づかいでラミラス様を見た。ラミラス様もアイシャを凝視している。そんな可愛い顔をされて落ちない男はいないと思う。僕の胸はぎゅうっとなった。
「え、どうしたの?」
「リクが元気にやってるか見にきたの。お父様も心配してたし」
「そうなんだ、わざわざありがとう!」
ラミラス様は、仕事を抑えるようになっていたけれど、やはりやることはあるので日中少しだけ王宮に行き、でも午後には帰ってきて僕と過ごしてくれている。毎日が幸せだった。ただ庭を歩いたりするだけでも、僕は彼の隣にいる自分が好きだった。とても穏やかで、優しい時間。昼間のラミラス様は、とても尊くて、僕を真剣に愛してくれている。夜になると、なぜか急変した僕に翻弄されているラミラス様。
ねぇ、まだ僕が夜だけ違う人になっていることに気がつかないの?
ラミラス様は着実とレベルアップされていた。陸斗の指導の下、なんとラミラス様の大きな指で下準備ができるほどになった。要は、だいぶ拡張できて陸斗は感じていたということだった。それでも陸斗からは許可がでないので、ラミラス様のマグナムというものは使用されないままだった。陸斗がたまにマグナム美味しいと言って、咥えていたけど。僕は最近、二人の夜の営みを見るのが苦痛だった。僕も、僕だって、ラミラス様のマグナムを可愛がって差し上げたい。僕の思考は以前では考えられないものとなっていった。
「ねぇ、噂の野獣大公は?」
「こら、アイシャ。そんな言い方は良くないよ、それに僕の旦那様なんだからね」
「へぇ、リク、上手くやってるんだ? 夜に無体なことされてない?」
「そういうことは、他の人に言うことじゃないからね。夫夫のことだし、僕は幸せだよ」
「え、そうなの?」
アイシャが驚いた顔をしていた。今、アイシャと僕で大公家の庭でティーパーティーをしていた。みんなが身内がきたということで、張り切ってお茶やお菓子を並べてくれていた。
「それにしても、イメージと違って、随分と美しい場所なんだね。それにこんな可愛らしいお菓子がでてくるとは思わなかった」
「アイシャはいったい、大公家にどんなイメージだったわけ?」
「ほら、コワモテ軍団って感じだからさ、家も古い調度品ばかりがあって硬い感じかなって、でもここはリクが好きそうなメルヘンだよね」
「う、アイシャは変なところで敏いよね。メルヘンっていうか……」
「そう! リリテラスの白い花が沢山あって、リクが好きそうな庭ってことだよ」
「うん、僕のために旦那様がリリテラスで埋め尽くしてくれたんだ、へへ」
アイシャがまた驚いた顔をしていた。
「え、本気で、ふたり上手くいってるの? 僕実家の仕事が嫌になってきたから、リクに帰ってきてほしかったんだよね。そろそろ二人は離縁でもするかなと思って期待してきたんだけどさ」
「帰らないよ、もうアイシャがブラコニア伯爵家を引き継ぐことになったんだから、頑張って。わからないことがあれば僕も支えるけど、僕はもうこの大公家のことを一番に考えるべき立場だからね」
「え――、やだやだやだぁ。だって、このままじゃお父様が年上の仕事をできる女性を嫁に迎えるって言って、釣書みたら、不細工ばかりで、僕の好みは妖艶な女性なのに!」
なんと、そんなことになっていたのか。たしかにアイシャに仕事を任せたら、無理かもしれない。お父様は早めにアイシャに見切りをつけて、デキる嫁を迎え入れることにしたのか。
「アイシャ、お父様が決めたなら従わないと。でも、良かったじゃない。デキるお嫁さんが仕事をしてくれたら、アイシャはサポートするだけでいいんだから。あ、カタリーナ様は優秀だよ、よくお仕事で話すことあったけど、彼女が来てくれるなら伯爵家も安泰だよ」
釣書に知っている女性が見えた。
「うわっ、カタリーナなんて、二の腕に太ももがついてる人でしょ。うわっ、うわっ、うわっ、僕こういうふくよかな人だめなんだよね」
「え、でもとてもできた女性だよ」
「見た目が重要なの! リクみたいに見た目汚い野獣に嫁げるような人と違うの!」
「人の旦那様を野獣だんて……」
侍女がお茶を淹れてくれているから、聞かれてるでしょ。もう、アイシャの素直さはときにやっかいだった。心を隠さず話すことは、貴族の中ではタブーなのに。やはり、優秀な嫁をもらうしか伯爵家が生き残ることはできないだろうな。お父様はアイシャを溺愛しているけど、それ以前に伯爵家のことを考えている人だから、お父様の目が黒いうちは間違いは起こらないだろう。アイシャもそれを理解して、僕に相談しにわざわざ大公家にまで来たんだろうと思った。
そこで、向こうから僕の旦那様がきた。ああ、仕事を早く終わらせて今日も帰ってきてくれた。僕はニコニコとしたら、アイシャが僕の視線に気づいたようで、僕の視線の先の人を見て、またまた今日何度目かの驚いた顔をしていた。
「う、うそ。あれが野獣?」
またアイシャの失言。
侍女が白い目でアイシャを見るから、僕は侍女にごめんという視線を送ると、微笑んでくれた。ここの人たちは、アイシャという美しい男ではなく、僕に優しくしてくれる。大公家に来てから、ここの人たちの温かさにいつも救われる。実家の伯爵家では、つねに弟を優先させる侍女たちだったから、ここではまるで真逆の対応でくすぐったいけれど、嬉しかった。人生で僕を優先してくれる人たちに初めて出会えた。
そして真っ先に僕を想ってくれる旦那様が、僕に微笑んだ。
「リク! 愛しい人、会いたかった。仕事を終わらせたから、午後はずっと一緒だ」
「ラミラス様……」
ラミラス様が座っている僕の元にきて、おでこにキスをした。そしてアイシャに気づき、挨拶をする。
「あなたは、リクの弟のアイシャ殿? よくここまで来られた」
「え、あ、あの、アイシャです。大公閣下」
「リクに会いに来られたのだな。できれば愛しい妻を返してもらいたいところだが、たったひとりの弟が来てくれたのなら、歓迎せねばならんな? リク」
僕の隣に自然に座るラミラス様。そして侍女のラミラス様のお茶を淹れた。驚くアイシャ。
「聞いていた話と、違う……」
「アイシャ?」
ラミラス様は聞こえなかったふりをして、お茶を飲んでいたけれど、きっと聞こえている。それにしたやったりという顔をしていた。アイシャを騙したこと、ここでその成果が見れて楽しいのだろう。
アイシャはいきなり、席を立ち、ラミラス様の隣にきた。
「僕、ブラコニア伯爵家の次男なので、本当は僕がここにお嫁にくるはずだったんです。でもリクが来てしまって、大公殿下もリクで満足できていないでしょう? いまから僕が嫁を変わりましょうか?」
「え……」
アイシャがいきなり、何を。
「それにしても、大公殿下がこんなにも素敵な方だなんて知らなかった。王都のパーティーに来ないから、どんな方か知らなくて、こんなカッコいい方だって知っていたら、何がなんでも僕が嫁にきたのになぁ」
「……」
アイシャが上目づかいでラミラス様を見た。ラミラス様もアイシャを凝視している。そんな可愛い顔をされて落ちない男はいないと思う。僕の胸はぎゅうっとなった。
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