運命を知りたくないベータ

riiko

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日本編

10、ビリーとの重要会議

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 この数日色々あり、いろんな情報が入りすぎて正直疲れた。ホテルに戻るなり、類と二人きりのこの部屋がたまらなく安心した。

 でもそんなゆっくりもする間もなく、ビリーから打合せをしたいから、パソコンに向かってくれと連絡があったので、なんだろうと思いつつも、パソコンに向かった。

「ハイ! 二人ともエンジョイしているかい?」
「ビリー、久しぶりの日本でやること沢山あって、なんだかせわしないよ」

 なんだかビリーの顔を見たらイギリスにいるような気がしてきて、逆にホッとした。

「その割にはスッキリした顔をしているね、kaiカイ。あとルイ、早速で悪いけれど本題に移るよ」
「ビリーどうしたの?」

 両親に会えてすっきりしたのは確かだったから、ビリーの相変わらずの鋭さには驚いた。そして僕というより類と話したかったみたいで、真面目な顔で類に向き合うビリーに、類も背筋を伸ばした。

「君の父親から連絡があって、kaiカイの性別は今後公表するなと言われたよ、それとサクラジュエリーの専属にしたいとも」
「クソっ、ビリーごめん。それは聞かなくていい」
「お――、ルイみたいな貴公子からそんな汚い言葉が出るとは、相当親と揉めたのかな? ベータじゃ嫁にはいらないとか? 排他的なアルファの考えそうなことだよね」

 排他的……ビリーは類の親と友達じゃなかったのかな? ビリーは確かにバース性に理解が深いし、奥さんはベータ女性だった。ベータにも理解がある。

kaiカイ、イクゾウと話してどう思った? 今後の君のビジネスも絡むから君から意見を聞きたい」
「あ、はい。ビリーにも前に話したけど、僕とルイは結婚を機にバースを公表するつもりだった、だけどそれのせいで結婚ができないなら僕はどんなバースと世間に思われてもいいと思っている。大事な人達だけが僕の真実をわかってくれていれば、それにモデルとしての仕事を買われているなら、それだけでも光栄だって思うから、だからビリーが許してくれるならラノキリア以外で仕事もするのもありかなって思っているよ」
「そうか、kaiカイはすっかりプロになったね」

 類が僕を見て悔しそうな顔をした、ビリーはその姿を見て類に話しかけた。

「イクゾウは固いアルファだからな、でもビジネスの才能はある。だからこそkaiカイは認められたんだ。君のバースだけではなくて、実績も見てくれている。だけどルイはそれをいい方にとらえなかったみたいだね。ルイもまだまだ甘ちゃんだ」
「でも‼」
「仕事については、まぁ今はうちの専属だけど、僕はkaiカイのやりたいようにすればいいと思っているよ、バースにしてもそう。僕たちがそれを決める権利はない、たとえイクゾウにもね。だからkaiカイが思ったようにすればいいよ。僕からはそれを伝えたかった」

 ビリーは優しいな。

「ただもう一つ重要な話がある、君は大学を卒業したら日本に戻る予定だったね」
「ああ、でも今はkaiカイがいるから。俺の人生はkaiカイを中心に回りだした。だからkaiカイがいるところで俺は仕事を探す」
「サクラジュエリーはいいのか? あそこは代々家族経営で、君も役職に就くことは決まっていたよね?」

 えっ、そうなんだ。凄い、類はもう役職に就くのか。さすが御曹司だ、それにしても類の比重が僕を中心に回っているって、嬉しいけどそれでいいのかな?

「兄貴たちがいるし、今さら俺がいなくても大丈夫だろ。それにあんな親の会社に行く気はないよ、俺多分どこでだってやっていけるし、会社を起こしてもいいし」
「さすが、優秀なアルファだ。まだ恋愛に関してはヒヨッコみたいだけどね」
「わかっているよ、俺はkaiカイにいつでも必死だから」

 ほほえましい顔でビリーは笑った。

「そんなルイにいい話だよ、僕アジア進出考えていて、日本支社を作る予定だ。ルイ、そこの社長しちゃわない? 今ならkaiカイも連れていってもいいよ? 二人が今後日本を拠点にするつもりなら、日本支社は任せようと思っていたんだ。そっちでkaiカイをモデルで使ってくれても構わない」
「「えっ‼」」

 そんな大きなプロジェクトを、簡単に僕たちに預けようというの? 問題発言過ぎて僕たち二人は唖然とした。

「ちょ、ちょっと待ってよ、いくら俺とビリーが知り合いだからって、それは流石に凄いことじゃない!? ラノキリアだよ‼ イギリス、フランス、アメリカ、その次に日本なの!? しかもまだ俺十代だよ‼」
「いいじゃないか、サクラジュエリー御曹司がラノキリア社長なんて、派手にアピールできるし、もちろんうちの優秀なスタッフは連れていくから、しばらくは僕もサポートするしさ」
「えっ、でも、そんな大役いいの?」

 あっ、類は乗り気だ。

「うちの看板モデルを妻にするんだから、それくらいの肩書がないとむしろダメだろう。僕にとってkaiカイは、大事な可愛い我が子なんだ。親なら子供に盛大な結婚祝いを送るだろう?」
「ビリー……」

 僕は涙ぐんだ。きっと対面ならビリーに抱きついていたと思う。類は僕を後ろから抱きしめた。

「ありがとう、ビリー。俺kaiカイを幸せにするよ。その話、少しkaiカイと話し合ってもいいかな?」
「もちろんだよ、期限は一週間。それまでに答えを聞かせてくれ」
「うん、わかった」

 ビリーがいい笑顔で締めくくろうとした、僕はすかさず画面越しのビリーに話しかけた

「ビリー、イギリスに帰ったら、あなたにハグがしたい」
「ははっ、大歓迎だよ。そこにいるヒヨッコアルファが許してくれるならね」
「……悔しいけど、ビリーなら許す」
「ははは、じゃあまたイギリスでね。残りの日本楽しんでおいで」
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