異世界帰りの元陰キャ、今は淫キャ

下城米雪

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エピローグ

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 朝、俺は勢い良くベッドから飛び起きた。

「ふははっ! 素晴らしい一日の始まりだ!」

 淫キャの朝は早い。
 日の出と共に起き、トレーニングを始める。

 全身の筋肉と会話を済ませた後はシャワーを浴び、制服に着替えて食事の用意をする。

「おはよぅ~」

 すっかりダメ人間にされた母が席に着いた。
 淫キャは乙女ゲームに出てくる執事のような動きで料理を並べ、愛する母をもてなす。

 食事の後は学校だ!
 淫キャは鞄を肩に担ぎ、家を出た。

「うぇーい!」

 大変だ、陽キャに絡まれた!
 陰キャ時代ならば「ぁ、ぅぃ、ぅぁ」と謎の鳴き声を発していたところだが、今の彼は普通に挨拶を返すことができる。
 
「おはよう! 先日の戦いでは随分と逝き狂っていたが、後遺症などは無いか?」
「……あのさぁ」

 今の彼は普通に挨拶を返すことができる!

「おはようございます。朝から元気ですね」

 清楚な委員長が横切った。
 
「およ? 委員長、なんか冷たくなーい?」
「……」

 委員長は陽キャを無視する。
 しかし、陽キャは一度や二度の無視では引かない。

「ちょいちょい、せっかく会ったんだから一緒に登校しようよ」
「近付かないでください!」
「……えぇぇ?」

 強く拒絶され、陽キャは仰け反る。
 清楚な委員長は両肩を抱き、息を荒げて言った。

「あなたには分からないでしょうね……私の役割、あの感覚……あなた達を見ると、蘇るような気がするんです!」
「……それは、ごめん。でも、ほら、世界の為じゃん?」
「声もやめてください! 思い出してお漏らししたらどうしてくれるんですかぁ!」
「……それを大声で言うのもどうかと思うよ?」

 二人が仲良く会話している。
 淫キャはその姿を愉し気に眺めていた。

 不意に淫キャの耳がピクリと動く。
 とある話し声を捉えた彼は、こっそり800メートルほど移動した。

「……ほぅ」

 淫キャは並んで歩く二人の姿を目にした。
 それはかつて魔法少女として世界の為に暗躍し、一度は離れ離れになった二人の姿だった。

「……ん?」

 背の低い方の少女が振り返った。
 
「どうしたの?」

 背の高い方も振り返る。
 しかし、その目には静かな街並みだけが映った。

「……あとで」

 その声は、一足先に学校まで辿り着いた淫キャの耳に、しっかりと届いていた。

「百合の間に入り込む男は馬に掘られろ、というやつだ」

 淫キャはしたり顔で靴を履き替える。
 そして廊下を歩く途中、猫背の少女を目にした。

 淫キャは少女の隣に立つ。
 少女は淫キャに気が付くと、不審そうな目をして、速足で距離を取った。

 彼女には、ここ最近の記憶が無い。
 大淫魔が消滅したことによる副作用みたいなものだ。

「おはよう」

 しかし、その程度でめげる淫キャではない。

「左の脇腹にほくろがある」
「っ!?」

 最低最悪の挨拶。
 ここからどうやって交友を深めるのか。

 その手段は、淫キャのみぞ知る。
 彼は今後も同級生に声をかけ、うっかり洗脳スキルを使ったりしながら、非日常に介入し、なんやかんやで相手を救うことになるのだろう。

 淫キャの物語は、まだまだこれからだ。





【あとがき】
 IQが下がりそうな物語を最後までお読み頂き、ありがとうございました。終盤、私は爆笑しながら執筆してましたが、皆さまは如何だったでしょうか。

 この作者の次回作はこちらです
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/9209158/317851867
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感想 2

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みんなの感想(2件)

A・l・m
2023.10.10 A・l・m

やはり防御結界持ってた。

解除
A・l・m
2023.10.10 A・l・m

なにかものすごいえろえろなのかと思ったら、エッチな用語などは多用するものの、かなり読みやすい冒険バトルもの……いや、ニチアサバトルもの?だった。(褒め言葉)


まあ、よく見たらR15だったし。

……ダメージ変換結界の応用でバリアとか張れないのかと思ったけど、精神ダメージまで変換したらすごくすごいかもしれないので要らないかも知れない……。
(オタクに優しいギャルの正体辺りでの感想)

解除

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