67 / 68
5-09.決着
しおりを挟む
夏鈴は両足に魔力を集中させ、一気に解き放った。
「……ぁ、ぇ?」
普段の感覚ならば、その推進力は、ギリギリ大淫魔の居る上空に届く程度だった。しかし今のカリンは遥か上空まで飛び上がった。
「……マジ?」
一瞬、彼女の思考に空白が生まれた。
「カリン! 足場は俺が用意する!」
しかし、その声を聞き我に返った。
彼女の強化された視力は、大淫魔を取り囲むようにして現れた光の輪を見逃さない。
「ふふっ……おっと」
夏鈴は思わず笑みが零れたことに驚いた。
それは冥界人が持つ本能である。強い者と戦える時、または自分の力を発揮できる時、遺伝子に刻まれた「悦び」が沸き起こる。
「すぅぅ」
息を吐き、肺の中を空にする。
それから鋭く空気を吸い込んだ後、彼女は紫色の稲妻となった。
「一閃」
刹那の間に三度の斬撃が放たれる。
それは大淫魔の体に微かな焦げ目を作った。
「マジ? この程度?」
驚きながらも、斬撃を繰り返す。
それは普段の彼女ならば考えられない程に高速であり、一撃ごとに地上の彩音を悶えさせる程度の衝撃波を発している。
それが一秒の間に十六回。
今の彼女は間違いなく冥界最強だった。
「かゆい」
しかし、大淫魔はその動きに反応する。
夏鈴の動きにタイミングを合わせ、紫色の道筋を手で塞いだ。
「それは知ってる!」
夏鈴は相手の動きを読み、その手を回避した。
大淫魔の顔に微かな苛立ちの色が浮かび上がる。
「カリン!」
月影は叫んだ。
瞬間、大淫魔の全身から禍々しい触手が現れる。
それは、まるでひとつひとつが意思を持っているかのような動きをして、四方八方から夏鈴に襲い掛かった。
「それも、知ってる!」
しかし、夏鈴はその全てを回避する。
「……?」
大淫魔はさらに苛立った。
取るに足らないコバエだと思っていた少女が、思ったよりも鬱陶しい。
だが、圧倒的に優勢というわけでもない。
大淫魔に接近する度、実はダメージを受けている。その二割を肩代わりした彩音は獣のような嬌声と共にヒトの動きとは思えない程の痙攣を繰り返している。
「……ねぇ、それ大丈夫なの?」
ルリが言った。
「痛い、キツイは、気持ちいぃのウチィィ!」
「……そう」
ルリはあれを別の生物だと思うことにした。
「……ルリ」
胡桃が小さな声で言う。
「……なんでもない」
上手く言葉にできなかった。
しかし、ルリには十分だった。
「全部、終わってから」
「……うん」
片方の手はステッキに、そしてもう片方は互いの手に。二人の魔力が重なり、膨れ上がる。
ギロリと大淫魔の目が動いた。
一定以上に膨れ上がった魔力を感じ取り、それを脅威だと見なしたのだ。
触手が千切れ、無数の槍に変わる。
それは二人の魔法少女をめがけて一斉に放たれた。
「させない!」
紫電が舞い、全て撃ち落とされる。
大淫魔は苛立ちを募らせ、恨めしそうに月陰を睨みつけた。
(……案ずるな、直ぐに行く)
彼は心の中で返事をする。
その瞬間、
「準備できたよ!」
ルリが叫んだ。
「撃て!」
月影が答える。
ルリと胡桃は互いの目を見て、同時にそれを放出した。
「!?」
「クソ淫キャ野郎!?」
瞬間、その射線上に彼が入り込む。
しかし砲撃は止まらない。彼を消滅させた時よりも遥かに強力な光が、まさしく光の速さで彼に向かって放たれた。
彼は右手を差し出した。
光は全て吸収され、彼の陰茎がそそり勃つ。
それはドスケベ・フィールドによってダメージが快楽に変換された影響である。しかし、彼は絶頂には至らなかった。
「目を閉じていろ」
彼の下半身から三本の光が放たれる。
二本は翼となり、三本目は剣となった。
剣は、相手を斬り殺すための武器ではない。
「ここから先は、少しばかり刺激的だ!」
彼は剣を構え、スキルで生み出した足場を蹴る。
「あは♡」
大淫魔は笑った。
かつて彼女は世界を滅ぼしかけた。しかし、そこに悪意は存在しなかった。
たまたま世界を滅ぼせるだけの力を持った。たまたま、存在するだけで世界に悪影響を及ぼした。同族でさえも彼女に近寄ることは難しかった。
故に、彼は――
「二度目だな、大淫魔」
愛によって、彼女を滅ぼした。
「今度こそ、さよならだ」
二十メートル程の剣を一気に挿入する。
大淫魔は世界が割れるような嬌声を上げた。
「まだだ!」
挿入しただけでは終わらない。
彼は剣に淫力を込め、高速で振動させた。
そして――
「……ぁ、ぇ?」
普段の感覚ならば、その推進力は、ギリギリ大淫魔の居る上空に届く程度だった。しかし今のカリンは遥か上空まで飛び上がった。
「……マジ?」
一瞬、彼女の思考に空白が生まれた。
「カリン! 足場は俺が用意する!」
しかし、その声を聞き我に返った。
彼女の強化された視力は、大淫魔を取り囲むようにして現れた光の輪を見逃さない。
「ふふっ……おっと」
夏鈴は思わず笑みが零れたことに驚いた。
それは冥界人が持つ本能である。強い者と戦える時、または自分の力を発揮できる時、遺伝子に刻まれた「悦び」が沸き起こる。
「すぅぅ」
息を吐き、肺の中を空にする。
それから鋭く空気を吸い込んだ後、彼女は紫色の稲妻となった。
「一閃」
刹那の間に三度の斬撃が放たれる。
それは大淫魔の体に微かな焦げ目を作った。
「マジ? この程度?」
驚きながらも、斬撃を繰り返す。
それは普段の彼女ならば考えられない程に高速であり、一撃ごとに地上の彩音を悶えさせる程度の衝撃波を発している。
それが一秒の間に十六回。
今の彼女は間違いなく冥界最強だった。
「かゆい」
しかし、大淫魔はその動きに反応する。
夏鈴の動きにタイミングを合わせ、紫色の道筋を手で塞いだ。
「それは知ってる!」
夏鈴は相手の動きを読み、その手を回避した。
大淫魔の顔に微かな苛立ちの色が浮かび上がる。
「カリン!」
月影は叫んだ。
瞬間、大淫魔の全身から禍々しい触手が現れる。
それは、まるでひとつひとつが意思を持っているかのような動きをして、四方八方から夏鈴に襲い掛かった。
「それも、知ってる!」
しかし、夏鈴はその全てを回避する。
「……?」
大淫魔はさらに苛立った。
取るに足らないコバエだと思っていた少女が、思ったよりも鬱陶しい。
だが、圧倒的に優勢というわけでもない。
大淫魔に接近する度、実はダメージを受けている。その二割を肩代わりした彩音は獣のような嬌声と共にヒトの動きとは思えない程の痙攣を繰り返している。
「……ねぇ、それ大丈夫なの?」
ルリが言った。
「痛い、キツイは、気持ちいぃのウチィィ!」
「……そう」
ルリはあれを別の生物だと思うことにした。
「……ルリ」
胡桃が小さな声で言う。
「……なんでもない」
上手く言葉にできなかった。
しかし、ルリには十分だった。
「全部、終わってから」
「……うん」
片方の手はステッキに、そしてもう片方は互いの手に。二人の魔力が重なり、膨れ上がる。
ギロリと大淫魔の目が動いた。
一定以上に膨れ上がった魔力を感じ取り、それを脅威だと見なしたのだ。
触手が千切れ、無数の槍に変わる。
それは二人の魔法少女をめがけて一斉に放たれた。
「させない!」
紫電が舞い、全て撃ち落とされる。
大淫魔は苛立ちを募らせ、恨めしそうに月陰を睨みつけた。
(……案ずるな、直ぐに行く)
彼は心の中で返事をする。
その瞬間、
「準備できたよ!」
ルリが叫んだ。
「撃て!」
月影が答える。
ルリと胡桃は互いの目を見て、同時にそれを放出した。
「!?」
「クソ淫キャ野郎!?」
瞬間、その射線上に彼が入り込む。
しかし砲撃は止まらない。彼を消滅させた時よりも遥かに強力な光が、まさしく光の速さで彼に向かって放たれた。
彼は右手を差し出した。
光は全て吸収され、彼の陰茎がそそり勃つ。
それはドスケベ・フィールドによってダメージが快楽に変換された影響である。しかし、彼は絶頂には至らなかった。
「目を閉じていろ」
彼の下半身から三本の光が放たれる。
二本は翼となり、三本目は剣となった。
剣は、相手を斬り殺すための武器ではない。
「ここから先は、少しばかり刺激的だ!」
彼は剣を構え、スキルで生み出した足場を蹴る。
「あは♡」
大淫魔は笑った。
かつて彼女は世界を滅ぼしかけた。しかし、そこに悪意は存在しなかった。
たまたま世界を滅ぼせるだけの力を持った。たまたま、存在するだけで世界に悪影響を及ぼした。同族でさえも彼女に近寄ることは難しかった。
故に、彼は――
「二度目だな、大淫魔」
愛によって、彼女を滅ぼした。
「今度こそ、さよならだ」
二十メートル程の剣を一気に挿入する。
大淫魔は世界が割れるような嬌声を上げた。
「まだだ!」
挿入しただけでは終わらない。
彼は剣に淫力を込め、高速で振動させた。
そして――
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
101
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる