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私から夫を奪った事で、二重の苦しみを背負う羽目になった親友の末路──。
1話完結
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家に帰った私が見たものは、リビングのソファーで抱き合う夫と親友の姿だった。
私に気付いた夫は、オロオロとして居たが……彼女の方は堂々としたもので、ショックで動けない私に笑みを浮かべこう言った。
「またあなたの大事な人を奪う事になってしまったわね。でもそれもこれも、私が美しすぎるせい……。悪気があってこうなった訳じゃないから、どうか許してね──」
彼女はいつもこうだ。
自分の美しさに勝手に男が惑わされるだけで……自分は何も悪くないと信じ込んで居る。
家同士の関係もあり、彼女と縁を切る事が出来ず……表向きは親友としてここまでやって来たが、流石に夫を寝取られてはもう無理だ。
私はそんな彼女に対し、もうこの家には来ないでくれ……夫の前に現れないで欲しいと訴えた。
しかし、それに反論したのは夫だった。
「彼女に二度と会えないのは嫌だ……!お前には悪いが、俺は美しい彼女に心惹かれて居る。お前とは、所詮家同士の約束で結婚したまで……俺は、心から好きになったこの彼女を妻にしたいんだ」
するとそれを聞いた彼女は……少し前に離縁したばかりだから、喜んであなたの気持ちに応えると夫の手を取った。
夫はそんな彼女に歓喜し……最早、私の事など眼中にないようだった。
こうなったからには、これ以上彼と夫婦関係を続ける事は無理ね──。
私は、夫と離縁する事を決め……と同時に、親友である彼女との縁も切る事にしたのだった。
その後、私は夫の元を去ったが……それと入れ替わるように、親友である彼女があの家に入った。
それから暫くし、二人は再婚したようだが……その直後、元夫が新たな事業に手を出したものの失敗……それにより破産し、多額の借金を抱える事に──。
すると、押しかけて来た借金取りに美しい彼女は目を付けられ……すぐに娼婦として娼館に売られる事が決まってしまった。
そうなって、今度こそ幸せな結婚生活を送る事が出来ると思ったのに……またお金で苦労をする事になるとは思わなかったと彼女は嘆いた。
実は、彼女は前の夫との間に多額の借金を抱えて居た。
彼女は夫が居る身でありながら、その美貌であちこちの男と関係を持ち……それを維持する為に前夫の財産を使い込み、別れる時にそれを全額返すよう……更には慰謝料も払えと要求されて居たのだった。
彼女はそれを隠し、事業が上手く行きお金持ちとなって居た私の夫に目を付け私から略奪……その後は、彼にその借金等を払って貰うつもりで居たのだ。
なのにそれどころか私の元夫と再婚した途端、その彼のせいで新たな借金を抱え……その身で返済をする事になるなど、夢にも思わなかったらしい。
そして彼女は、泣く泣く娼館へと連れられて行ったのだが……その道中、私とばったり出くわす事に──。
彼女は、元親友のよしみで助けて欲しいと泣いて訴えて来たが……私は、そんな彼女を完全に拒否した。
と言うのも、私は再婚相手となる方とデートの真っ最中だったからだ。
その相手は、父の知り合いのご子息で……元夫よりも、家柄も容姿も格段に上の素敵な人だった。
何より、私だけを愛してくれる誠実で真面目な性格が一番の魅力だった。
私がそんな素敵な方と新たな縁を結んだ事を知った彼女は、その場で地団駄を踏み悔しがった。
地味なあなたより、美しい私の方が幸せになれないのはおかしい……今すぐその男を私によこせと叫ぶ彼女を、私の恋人はゴミを見るような目で見つめ……こんな頭のおかしい女にはもう関わらない方がいいと言い、私の手を取るとその場から連れ出してくれた。
彼は、本当に優しくて頼りになるわね──。
守ってくれた彼にピタリと寄り添う私の耳に、元親友の醜い泣き声が聞こえて居たが……それもやがて遠くなり、彼女の声も姿も町の人ごみに紛れ消え去るのだった──。
私に気付いた夫は、オロオロとして居たが……彼女の方は堂々としたもので、ショックで動けない私に笑みを浮かべこう言った。
「またあなたの大事な人を奪う事になってしまったわね。でもそれもこれも、私が美しすぎるせい……。悪気があってこうなった訳じゃないから、どうか許してね──」
彼女はいつもこうだ。
自分の美しさに勝手に男が惑わされるだけで……自分は何も悪くないと信じ込んで居る。
家同士の関係もあり、彼女と縁を切る事が出来ず……表向きは親友としてここまでやって来たが、流石に夫を寝取られてはもう無理だ。
私はそんな彼女に対し、もうこの家には来ないでくれ……夫の前に現れないで欲しいと訴えた。
しかし、それに反論したのは夫だった。
「彼女に二度と会えないのは嫌だ……!お前には悪いが、俺は美しい彼女に心惹かれて居る。お前とは、所詮家同士の約束で結婚したまで……俺は、心から好きになったこの彼女を妻にしたいんだ」
するとそれを聞いた彼女は……少し前に離縁したばかりだから、喜んであなたの気持ちに応えると夫の手を取った。
夫はそんな彼女に歓喜し……最早、私の事など眼中にないようだった。
こうなったからには、これ以上彼と夫婦関係を続ける事は無理ね──。
私は、夫と離縁する事を決め……と同時に、親友である彼女との縁も切る事にしたのだった。
その後、私は夫の元を去ったが……それと入れ替わるように、親友である彼女があの家に入った。
それから暫くし、二人は再婚したようだが……その直後、元夫が新たな事業に手を出したものの失敗……それにより破産し、多額の借金を抱える事に──。
すると、押しかけて来た借金取りに美しい彼女は目を付けられ……すぐに娼婦として娼館に売られる事が決まってしまった。
そうなって、今度こそ幸せな結婚生活を送る事が出来ると思ったのに……またお金で苦労をする事になるとは思わなかったと彼女は嘆いた。
実は、彼女は前の夫との間に多額の借金を抱えて居た。
彼女は夫が居る身でありながら、その美貌であちこちの男と関係を持ち……それを維持する為に前夫の財産を使い込み、別れる時にそれを全額返すよう……更には慰謝料も払えと要求されて居たのだった。
彼女はそれを隠し、事業が上手く行きお金持ちとなって居た私の夫に目を付け私から略奪……その後は、彼にその借金等を払って貰うつもりで居たのだ。
なのにそれどころか私の元夫と再婚した途端、その彼のせいで新たな借金を抱え……その身で返済をする事になるなど、夢にも思わなかったらしい。
そして彼女は、泣く泣く娼館へと連れられて行ったのだが……その道中、私とばったり出くわす事に──。
彼女は、元親友のよしみで助けて欲しいと泣いて訴えて来たが……私は、そんな彼女を完全に拒否した。
と言うのも、私は再婚相手となる方とデートの真っ最中だったからだ。
その相手は、父の知り合いのご子息で……元夫よりも、家柄も容姿も格段に上の素敵な人だった。
何より、私だけを愛してくれる誠実で真面目な性格が一番の魅力だった。
私がそんな素敵な方と新たな縁を結んだ事を知った彼女は、その場で地団駄を踏み悔しがった。
地味なあなたより、美しい私の方が幸せになれないのはおかしい……今すぐその男を私によこせと叫ぶ彼女を、私の恋人はゴミを見るような目で見つめ……こんな頭のおかしい女にはもう関わらない方がいいと言い、私の手を取るとその場から連れ出してくれた。
彼は、本当に優しくて頼りになるわね──。
守ってくれた彼にピタリと寄り添う私の耳に、元親友の醜い泣き声が聞こえて居たが……それもやがて遠くなり、彼女の声も姿も町の人ごみに紛れ消え去るのだった──。
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