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序章、悪夢は唐突に
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【前書き】
執筆日 2022年3月25日
本編第一話、主役はクロウ
転生ハーレムもの?と見せかけてそうじゃない。
いつも悪夢にうなされる
炎の曲がった剣に突き刺されて悶絶するような痛みの中、そんな私を仮面の男が笑う
泣いてるのか嗤ってるのかわからぬ歌う赤ずきんの声
『おやすみ、我等の烏王様』
『おかえり、我等の偉大なる烏王様』
『ワタシノオトウサマ……ドウシテシンジャッタノ?』
(……なんと目覚めが悪い
ああ、起きていてもこの世界は地獄だったな)
俺の名はクロウ・シュデルハイト
漆黒の髪に緋色の眼を持つことから誰からも忌み嫌われて育った。
時折断片的に視るのは前世の記憶……らしい。
漆黒の髪が何故嫌われるのか。
それはかつて地上を荒廃においやったのが烏族(からすぞく)という魔物であり、彼等は漆黒の髪を持つからだ。
俺の生母はラシェル・シュデルハイト、彼女は烏では無いがまた忌み嫌われて魔女扱いされた女だ。
彼女は幼少期に亡くなっており、母の顔を俺は覚えていない
すぐに彼女の兄であるラギル・シュデルハイトに引き取られ、そこで従姉弟と過ごした。
俺の父親の話は……また今度にしよう。
正直俺にもわからないのだ。
ラギル伯父さんに聞いても怪訝な顔をする、気まずい食卓になるだけだ。
なんとなく察したのは父親の女癖が相当悪いのだろう、母は未婚で俺を産んだらしい。
従姉のシャノアとその弟であるシャッテン、年齢的に俺は真ん中にあたる。
最初は一つ上のシャノアを姉と呼ぶのが慣れなくて呼び捨てにしたらあの女、すぐ殴るし一発KOされた。
俺は目立つ黒髪をしていたから当然、街の人間から嫌われた。
烏と関係ないシャッテンまでいじめやがるからシャッテンを庇おうとしたらシャノアがガキ大将達を37564(ミナゴロシ)にしてくれた。実際に死んだ訳では無いが……
シャノアを『姉さん』と呼び出したのはその頃だ。
木刀で稽古つけてくれたりガサツだけど面倒見の良い姉だった。
彼女の母であるセシーリアは天然なお嬢様で、俺にはちょっと距離があった。
彼女の父であり俺の伯父にあたるラギルは根暗無愛想で、よく似た容姿のシャッテンも根暗生意気無愛想。
シャノアのガサツっぷりは誰に似たんだろうな。
幼馴染で親友のシャールも烏族であり、いじめられっ子仲間ってやつだ。
シャールは母親に大事に屋敷に軟禁されていたが、それを俺が連れ出したのがきっかけだ。
今でも引きこもりがちだが、時折屋敷を抜け出しては母に叱られて泣いている。
シャールの家は街外れの屋敷で高い塀に囲まれているから、むしろ俺が遊びに行く方が安全だった。
ちょっと女みたいな容姿でいかにもお坊ちゃんって感じだからか、ナルシストでいつも鏡にうっとりしている……烏なのにナルシとか羨ましいよ。
姉さんは海を越えた街まで嫁に行ってしまって、また村でいじめられる地獄の日々……
これからは一人でシャールとシャッテンを守れるようになりたい……そのつもりだった。
――――街外れにまで烏狩りの兵士がやってきて、現在進行形で絶望に打ちひしがれている……
「貴様、烏族だな!」
「人にあだなす烏族は殺せ!」
兵士達が俺を囲む
「……俺、別に何もしてないけど?
むしろ人間様とやらに迫害されて生きてきた人畜無害な生き物なんだけど?」
「兄さん、流石にそれは嘘だぜ」
俺の後ろでシャッテンがツッコミを入れる。
馬鹿かお前は……お前は人間なんだから、適当に隠れとけ。
多勢に無勢というのもあるが俺、こんな弱かったのか。
「そっちの紫のガキは弟か?
烏人間の可能性もあるから殺せ!」
兵士の一人がシャッテンに剣を向ける。
「……兄さんを殺す前に俺かそっちの烏をやりな」
「えっ!僕も?
クロウ……ごめんね、僕たち最後まで足手纏いで……」
諦めモードに入んなよシャール……
やりきった感出してるけどお前たちほとんど詠唱しようとして邪魔されての繰り返しでなんにもやってなかったからな。
「……ここで、終わるのか?」
(俺はこんなところで死ぬのか
まだなんにもしてないのに、街からほとんど出たことが無いのに
なんの為に生まれ……)
燃やされた小屋に追い詰められたが途端、外から兵士達の断末魔が響いた。
「なんだ!? 何が起こっているんだ!?」
兵士達はクソ雑魚な俺たち三人を放置して外に応援に戻ったようだ。
俺も外に出たが、燃え盛る炎の中で兵士達の屍の真ん中に、俺達と同じ黒髪の少女が血に染まりながら佇んでいた……
<続く……>
【後書き】
初の長編?中編です。しかも本編です。
私はお話の後ろから書くのが好きなので序章を書くのが一番苦手なんですね…筆が乗ったので勢いで書きました。
クロウの一人称がたまに私になってるのはわざとです。
執筆日 2022年3月25日
本編第一話、主役はクロウ
転生ハーレムもの?と見せかけてそうじゃない。
いつも悪夢にうなされる
炎の曲がった剣に突き刺されて悶絶するような痛みの中、そんな私を仮面の男が笑う
泣いてるのか嗤ってるのかわからぬ歌う赤ずきんの声
『おやすみ、我等の烏王様』
『おかえり、我等の偉大なる烏王様』
『ワタシノオトウサマ……ドウシテシンジャッタノ?』
(……なんと目覚めが悪い
ああ、起きていてもこの世界は地獄だったな)
俺の名はクロウ・シュデルハイト
漆黒の髪に緋色の眼を持つことから誰からも忌み嫌われて育った。
時折断片的に視るのは前世の記憶……らしい。
漆黒の髪が何故嫌われるのか。
それはかつて地上を荒廃においやったのが烏族(からすぞく)という魔物であり、彼等は漆黒の髪を持つからだ。
俺の生母はラシェル・シュデルハイト、彼女は烏では無いがまた忌み嫌われて魔女扱いされた女だ。
彼女は幼少期に亡くなっており、母の顔を俺は覚えていない
すぐに彼女の兄であるラギル・シュデルハイトに引き取られ、そこで従姉弟と過ごした。
俺の父親の話は……また今度にしよう。
正直俺にもわからないのだ。
ラギル伯父さんに聞いても怪訝な顔をする、気まずい食卓になるだけだ。
なんとなく察したのは父親の女癖が相当悪いのだろう、母は未婚で俺を産んだらしい。
従姉のシャノアとその弟であるシャッテン、年齢的に俺は真ん中にあたる。
最初は一つ上のシャノアを姉と呼ぶのが慣れなくて呼び捨てにしたらあの女、すぐ殴るし一発KOされた。
俺は目立つ黒髪をしていたから当然、街の人間から嫌われた。
烏と関係ないシャッテンまでいじめやがるからシャッテンを庇おうとしたらシャノアがガキ大将達を37564(ミナゴロシ)にしてくれた。実際に死んだ訳では無いが……
シャノアを『姉さん』と呼び出したのはその頃だ。
木刀で稽古つけてくれたりガサツだけど面倒見の良い姉だった。
彼女の母であるセシーリアは天然なお嬢様で、俺にはちょっと距離があった。
彼女の父であり俺の伯父にあたるラギルは根暗無愛想で、よく似た容姿のシャッテンも根暗生意気無愛想。
シャノアのガサツっぷりは誰に似たんだろうな。
幼馴染で親友のシャールも烏族であり、いじめられっ子仲間ってやつだ。
シャールは母親に大事に屋敷に軟禁されていたが、それを俺が連れ出したのがきっかけだ。
今でも引きこもりがちだが、時折屋敷を抜け出しては母に叱られて泣いている。
シャールの家は街外れの屋敷で高い塀に囲まれているから、むしろ俺が遊びに行く方が安全だった。
ちょっと女みたいな容姿でいかにもお坊ちゃんって感じだからか、ナルシストでいつも鏡にうっとりしている……烏なのにナルシとか羨ましいよ。
姉さんは海を越えた街まで嫁に行ってしまって、また村でいじめられる地獄の日々……
これからは一人でシャールとシャッテンを守れるようになりたい……そのつもりだった。
――――街外れにまで烏狩りの兵士がやってきて、現在進行形で絶望に打ちひしがれている……
「貴様、烏族だな!」
「人にあだなす烏族は殺せ!」
兵士達が俺を囲む
「……俺、別に何もしてないけど?
むしろ人間様とやらに迫害されて生きてきた人畜無害な生き物なんだけど?」
「兄さん、流石にそれは嘘だぜ」
俺の後ろでシャッテンがツッコミを入れる。
馬鹿かお前は……お前は人間なんだから、適当に隠れとけ。
多勢に無勢というのもあるが俺、こんな弱かったのか。
「そっちの紫のガキは弟か?
烏人間の可能性もあるから殺せ!」
兵士の一人がシャッテンに剣を向ける。
「……兄さんを殺す前に俺かそっちの烏をやりな」
「えっ!僕も?
クロウ……ごめんね、僕たち最後まで足手纏いで……」
諦めモードに入んなよシャール……
やりきった感出してるけどお前たちほとんど詠唱しようとして邪魔されての繰り返しでなんにもやってなかったからな。
「……ここで、終わるのか?」
(俺はこんなところで死ぬのか
まだなんにもしてないのに、街からほとんど出たことが無いのに
なんの為に生まれ……)
燃やされた小屋に追い詰められたが途端、外から兵士達の断末魔が響いた。
「なんだ!? 何が起こっているんだ!?」
兵士達はクソ雑魚な俺たち三人を放置して外に応援に戻ったようだ。
俺も外に出たが、燃え盛る炎の中で兵士達の屍の真ん中に、俺達と同じ黒髪の少女が血に染まりながら佇んでいた……
<続く……>
【後書き】
初の長編?中編です。しかも本編です。
私はお話の後ろから書くのが好きなので序章を書くのが一番苦手なんですね…筆が乗ったので勢いで書きました。
クロウの一人称がたまに私になってるのはわざとです。
応援ありがとうございます!
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