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不貞の子

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公爵家に戻るとお祭り騒ぎになっていた。

「お嬢様、婚約破棄万歳!」

使用人総出で拍手喝采の出迎えとは……!

妊婦の私を胴上げしようとして慌てて幼なじみであり隣国の王弟であり公爵令息であるラインハルト様が止めに入った。

「……お父様!悪ふざけが過ぎます!」

「いやー、ミリアちゃん!あのバカ王子がバカで本当に良かった!あちら有責で慰謝料取り放題!跡継ぎまで出来て最高!」

「……お父様。跡継ぎって…」

「……バカ王子からは国外追放と言われたんだろう?だから、ラインハルト君を呼んだんだよ。彼に事情を話したら転移魔法ですぐに来てくれたよ。ほらミリアちゃん!隣国にお嫁に行こう!」

「……け、結婚?」

「……何のためにラインハルト君が来たのさ。彼の両親もお腹の子供含め大歓迎だそうだ。そうだね、ラインハルト君?」

「もちろんです!お義父さん」

「……バカ王子と違って話の分かる賢い婿だ。ミリアちゃん!今すぐ荷物まとめて隣国に行きなさい。私たちも用意が出来たら公爵家ごと隣国にいくから安心してね!」

(あ、安心って……!)

つまり、国外追放を理由にしてラインハルト様と結婚せよ、と。

お父様の口振りでは、隣国と接している我が公爵家ごと隣国に亡命するつもりなのかも……!

(凄い展開すぎて我ながらついていけない…!)

「ラインハルト様は、その……訳ありすぎるわたくしなどでよろしいのでしょうか?」

「……私はその…以前からミリアが好きだったから何の問題もない。お腹の子供は、私たちの子供だ。一緒に育てよう」

「……ラインハルト様……!」

あまりの喜びに私はラインハルト様に抱きついてしまった。

(……ずっとずっと諦めていたラインハルト様と……!)

あのバカ王子との婚約がなければ、と何度涙したことか。

あのバカ王子からの婚約依頼だったはずなのに、10年も厳しい教育に耐え、挙げ句に純潔まで失い……。

ぼっと現れたどこぞの令嬢に鼻の下を伸ばすなんて本当に最低…!

挙げ句に不貞して妊娠させるなんて本当に有り得ない!

(王子としての能力も最低だけど、男としてもっと最低!)

「まあ、ミリアちゃんの子供は正真正銘の純粋な王家の血筋。あのどこぞの阿婆擦れちゃんのお腹の子供は果たしてどうかなあ?」

お父様はそのあたりも調べたのだろう。

「善は急げだ!ミリアちゃん!ラインハルト君と隣国に行けー!」

こうして私たちは隣国の公爵家にいき、すぐに結婚した。

安定期まで待ち、身内だけで結婚式も挙げた。

そして私は、バカ王子そっくりな男の子と、私そっくりな女の子の双子を出産。

双子はさずがサラブレッド。

すごい魔力に溢れた子供だった。

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