とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件

紅位碧子 kurenaiaoko

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隣国

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 父親と心の決別をした翌日、私とアレク様、カイル様でミリオニアを目指して出発する。
 
 レイは玄関まで見送りに来てくれ耳元で「……とっておきの秘策があるから楽しみにしていて」とつぶやきローナンと颯爽と消えていった。
 
(秘策って何だ?)
 
 よく分からないが、私がいない間に何かを仕掛けるのだろう。
 
 昨晩、お父様が使用人棟を訪ねてきたことも二人に告げた。今後のお父様の出方が分からないため、念のため警備強化もお願いしておいたし、何かあれば、使用人仲間のエマを連絡係りにして欲しいとも伝えた。

「リリー、そろそろ出発するよ」
 
 アレク様が私の背中を押して馬車へと押し込む。
 
「……ん?馬車、私とアレク様だけなんですか?」
 
 二人が乗り込むと御者がすぐに出発した。
 
「……カイルたちは、もう一台の馬車だ」
 
「……えっ……?」
 
「……当然だ。ようやく二人きりになれるのだからな」
 
「……アレク様」
 
 その熱を含んだ視線から逃れようとするが、逃げないで、と手をとられアレク様の隣に体を引き寄せられる。いきなりのことでアレク様の胸に顔を埋める形になりとっても恥ずかしい。
 
「……リリーの匂いがする。ああ、いい匂いだ」
 
「……あの、アレク様……。えっと……。失礼ながら今回は、カイル様のところでお世話になるのでしょうか」
 
 今回の宿泊先に関することなのだが、まさか婚約者でもないため王宮に泊まることはないと思っていて、そうでなければカイル様のところかもしくはあどこかの宿泊先かな、と。ただ、たびたびアレク様がお見えになるようなら警備の都合上、やはりカイル様のところが一番ベストなのではないかと勝手に推測していた。
 
「なんでカイルのところに?」
 
 私が理由を説明するも、頭から否定してくる。
 
「いやいやいや、もちろん今回は王宮で丁重なおもてなしをさせてもらうよ?もう陛下にも許可はとってるし、何ら問題はない。リリーは私の大切な客人だからな」
 
「……王宮に。私、大丈夫でしょうか?」
 
 既に陛下にまで許可って。
 
 どんだけ手回しが良いの?アレク様!
 
「全く気にしないでくれ。逆に、母上なんて今まで誰も大切な客人を連れてきたことがないから、大層喜んでるよ」
 
 おおお、王妃様まで?
 ひょえー!リリー、大ピンチ!
 心臓持つかな?私……。
 まあこれも経験!人生初のミリオニア国の王宮。
 
 楽しませて頂きます!
 
「そういう訳で、まずは王宮に案内させてもらう」
 
 ハイ、カシコマリマシタ!
 
 私は気持ちを切り替え、アレク様を知ること。そして、人生初の体験を楽しもうと気持ちを切り替えた。
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