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8章.神々の黄昏編
129話.前夜祭
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「アキナ??」
クロムは固まったまま反応を示さないアキナに問いかける。
一世一代の覚悟でプロポーズをした結果、アキナは微動だにせずただ沈黙しているのだから焦りもする。
「……!!
ごめん…… 嬉しすぎて……」
アキナは嬉しさのあまり、反応できなかっただけだった。
クロムはそんなアキナを愛おしく感じて、抱きしめる。
「そんなに喜んでくれて嬉しいよ。
でも出来たらちゃんとアキナから言葉で答えを聞かせてもらいたいな」
「う、うん……
私なんかで…… というのが本音だけど……
不束者ですが末永くお願いします!!!」
恥ずかしさで赤面しているアキナをさらにきつく抱きしめたクロムは、そっと口づけをした。
そして改めて永遠の愛を誓いあうのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
それからの2人は多忙を極めることとなった。
仲間たちはもちろん街のみんなにも結婚することを発表をしたことにより、それ以降街中がお祭り騒ぎなのである。
それは如何にクロムが皆に愛されているかというのを示すものでもあり、アキナとの婚姻が望まれていたことの現れでもあった。
ゆえに「クロムとアキナをお祝いしたい」という感情で街が多い尽くされた結果、お祭り状態になっていた。
その中、主役である二人は皆の気持ちに応えるためにも精力的に結婚式の準備を進めるのであった。
建国からまだ日も浅い国で国王が王妃を迎えるという国をあげての祝い事である、混乱しないようにするのは難しいことであった。
しかしクロムやアキナを中心にみんなが一丸となってまとまることにより、一ヶ月の準備期間を大きなトラブルもないまま終えることができた。
そして、ついに結婚式の前夜となった。
「国民のみんな、この一ヶ月ありがとう。
俺とアキナの結婚式のための準備もみんなのおかげで無事に終えることができた。
今夜は前夜祭としてみんなへのお礼を少しさせてくれ、本格的なお礼は明日の式が終わったあとでね」
準備を終えたみんなはクロムからの労いの言葉を喜び、そのまま前夜祭が始まった。
そして、その様子を遠巻きから微笑みながら眺めるクロムとアキナ。
多種多様な種族が皆仲良く笑いあい、楽しそうに過ごしている光景が嬉しくてたまらないのであった。
「クロムが目標としている光景そのものだね」
「そうだな、今はまだお祝いという特別な状況がこうさせているだけかもしれないけど……
でも一歩づつそこに向けて進んでる実感ができて嬉しいよ」
「うん、クロムなら大丈夫。
ちゃんとできるよ、もちろん私も手伝うしね」
その後も街のあちらこちらから歓喜の声とにぎやかな声が響きわたり続け、それらは太陽が登り始める頃まで続いていた。
クロムたちはそんな喧噪を聞きながら、明日の式のために早めに休みをとることにした。
翌朝少し早めの時間に目覚めたクロムは、式に向かう前にみんなの様子・街の様子を改めて見たくなり一人で街中の散歩を始めた。
ついさっきまで騒いでたことが容易に想像できるような光景、道端で酔いつぶれて寝ている人がいる光景などを苦笑しながらも微笑ましく眺めながらの散歩となった。
「騒ぎすぎだろとは思うけど……
それだけ平和ってことでもあるんだよな。
もっともっと自由に笑いあえる街にしていかないとな」
クロムは自分の理想を実現させることを改めて誓うとともに、そこに向けて進めていることに一定の満足感を得るのであった。
しかしそんな心満たされる散歩は、唐突に終わりを告げることになった。
「…… さすがに今仕掛けるのは無粋かの」
「!!!!!」
「今晩まで時間をくれてやる、今晩この先の岬までこい」
それだけを言い残すと、その者は姿を消した。
クロムは固まったまま反応を示さないアキナに問いかける。
一世一代の覚悟でプロポーズをした結果、アキナは微動だにせずただ沈黙しているのだから焦りもする。
「……!!
ごめん…… 嬉しすぎて……」
アキナは嬉しさのあまり、反応できなかっただけだった。
クロムはそんなアキナを愛おしく感じて、抱きしめる。
「そんなに喜んでくれて嬉しいよ。
でも出来たらちゃんとアキナから言葉で答えを聞かせてもらいたいな」
「う、うん……
私なんかで…… というのが本音だけど……
不束者ですが末永くお願いします!!!」
恥ずかしさで赤面しているアキナをさらにきつく抱きしめたクロムは、そっと口づけをした。
そして改めて永遠の愛を誓いあうのであった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
それからの2人は多忙を極めることとなった。
仲間たちはもちろん街のみんなにも結婚することを発表をしたことにより、それ以降街中がお祭り騒ぎなのである。
それは如何にクロムが皆に愛されているかというのを示すものでもあり、アキナとの婚姻が望まれていたことの現れでもあった。
ゆえに「クロムとアキナをお祝いしたい」という感情で街が多い尽くされた結果、お祭り状態になっていた。
その中、主役である二人は皆の気持ちに応えるためにも精力的に結婚式の準備を進めるのであった。
建国からまだ日も浅い国で国王が王妃を迎えるという国をあげての祝い事である、混乱しないようにするのは難しいことであった。
しかしクロムやアキナを中心にみんなが一丸となってまとまることにより、一ヶ月の準備期間を大きなトラブルもないまま終えることができた。
そして、ついに結婚式の前夜となった。
「国民のみんな、この一ヶ月ありがとう。
俺とアキナの結婚式のための準備もみんなのおかげで無事に終えることができた。
今夜は前夜祭としてみんなへのお礼を少しさせてくれ、本格的なお礼は明日の式が終わったあとでね」
準備を終えたみんなはクロムからの労いの言葉を喜び、そのまま前夜祭が始まった。
そして、その様子を遠巻きから微笑みながら眺めるクロムとアキナ。
多種多様な種族が皆仲良く笑いあい、楽しそうに過ごしている光景が嬉しくてたまらないのであった。
「クロムが目標としている光景そのものだね」
「そうだな、今はまだお祝いという特別な状況がこうさせているだけかもしれないけど……
でも一歩づつそこに向けて進んでる実感ができて嬉しいよ」
「うん、クロムなら大丈夫。
ちゃんとできるよ、もちろん私も手伝うしね」
その後も街のあちらこちらから歓喜の声とにぎやかな声が響きわたり続け、それらは太陽が登り始める頃まで続いていた。
クロムたちはそんな喧噪を聞きながら、明日の式のために早めに休みをとることにした。
翌朝少し早めの時間に目覚めたクロムは、式に向かう前にみんなの様子・街の様子を改めて見たくなり一人で街中の散歩を始めた。
ついさっきまで騒いでたことが容易に想像できるような光景、道端で酔いつぶれて寝ている人がいる光景などを苦笑しながらも微笑ましく眺めながらの散歩となった。
「騒ぎすぎだろとは思うけど……
それだけ平和ってことでもあるんだよな。
もっともっと自由に笑いあえる街にしていかないとな」
クロムは自分の理想を実現させることを改めて誓うとともに、そこに向けて進めていることに一定の満足感を得るのであった。
しかしそんな心満たされる散歩は、唐突に終わりを告げることになった。
「…… さすがに今仕掛けるのは無粋かの」
「!!!!!」
「今晩まで時間をくれてやる、今晩この先の岬までこい」
それだけを言い残すと、その者は姿を消した。
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