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6章.ダイン獣王国編
103話.仲間たちの暗躍
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「カルロ、俺が頼んでいたこととその結果をダイン王に話してやってくれ」
クロムの発言の真意を測りかねているダインは黙ったまま、その視線をカルロのほうに向けた。
「…… 数日前になる、兄貴からカロライン王国の現在の王様とあそこの国の勇者であるカルートに伝言とその内容への承諾をとってほしいという依頼がきたんだ。
その伝言の内容は……
クロムが今後どこかで建国した場合は、それを承認すること。
もしも承認しない場合は、クロムとその仲間が全力でカロライン王国を滅ぼすという内容だった」
「……」
「さすがに最初はふざけるなといった反応だったけど、兄貴のでたらめさを特に勇者のほうは理解していたみたいでさ。
伝言を伝えた翌日には、クロムの建国について支援はしないが承認はするという書簡をもらうことができた」
そういうとカルロは胸元より一通の書簡を取り出してダインに見せ、押韻などからこれが本物の書簡であることがダインにはすぐに理解できるのだった。
そしてダインがこの書簡が持つ意味の大きさに言葉を失っていると、カルロの隣にいた女性が話を始めた。
「カルロさんがカロライン王国に旅立たれた時、私にも1つの依頼がクロムさんよりありました。
内容は自由自治国家ルインの自治議会の議長であるサラカ様、ギルド長であるダン様。
このお二人への伝言とその内容についての承認を得ることでした」
ダインはその後も続くルーナの話を静かに聞いていた。
ルーナが受けた依頼はクロムがどこかで建国した場合、ルインはその国と同盟を結びクロムに全面的に協力すること。
もしもそれを断った時はルインを武力で制圧するという内容であった。
簡単に言ってしまえばルインをクロムの保護下に入れるから従え、従わない場合は滅ぼすという内容である。
クロムの人柄と性格を把握しているサラカとダン。
ルーンは即答でクロムの依頼を受けいれるという回答を得ることができ、その翌日にもらった書簡をダインに手渡すのであった。
「根回しが早すぎるな……
なぜミレストンに向かう直前にこのようなことをした」
ダインの当然すぎる疑問をぶつけられたクロムは真剣な表情で答えた。
「神の差し金で大陸外からの侵攻が起こっている、そう推測しただけさ。
だから自分で侵攻自体は止めつつその後の対応の準備を仲間に依頼しておいた、何も不思議なことじゃないだろ」
ミレストンが悪魔に占拠された、その報告が届いたときダインは気を失っていた。
その重要なタイミングでクロムはそこまでの判断と決断をし、自分は不甲斐無く意識を失っていた。
その差が自身とクロムとの器の差であることをダインは嫌となるほど痛感するのだった。
「はぁ……、ここまで準備されては拒否もできぬわ……
わかった、ミレストンをクロムに譲渡し、そこに都市国家を建国することを承認することを獣王の名において宣言する」
「理解してくれて助かるよ」
「じゃが……
聖セイクリッド神国が黙ってはいないと思うがの」
「それなら心配ないと思うよ。
聖セイクリッド神国がミレストンを攻撃するためには、竜の牙を超えるかルインを通過するか海からくるか、のどれかしかない。
竜族が支配している竜の牙や海神ポセイドンが支配している海からくるほどのバカならほっとけばいい、自滅するだけだろうしな。
だから俺はルインを俺の保護下に収めたんだよ、聖セイクリッド神国を牽制するためにな」
「それであいつらはあんなことを……
鬼族のゴランとトーマがルイン南部の場所に簡単な砦を築くって言ってたから好きにさせておいたけど……、よかったよな?兄貴」
重要な話の事後承諾を求めるカルロのことを可愛らしいと感じたクロムは笑顔で返事しつつ、自分の仲間たちがそれぞれ考えて行動してくれていることに嬉しく思うのであった。
「とりあえずサタンの軍勢の相手は任せてくれ」
そういってこの場を去るクロムたちをダインとタケルは複雑な感情を抱えながら見送ることしかできなかった。
クロムの発言の真意を測りかねているダインは黙ったまま、その視線をカルロのほうに向けた。
「…… 数日前になる、兄貴からカロライン王国の現在の王様とあそこの国の勇者であるカルートに伝言とその内容への承諾をとってほしいという依頼がきたんだ。
その伝言の内容は……
クロムが今後どこかで建国した場合は、それを承認すること。
もしも承認しない場合は、クロムとその仲間が全力でカロライン王国を滅ぼすという内容だった」
「……」
「さすがに最初はふざけるなといった反応だったけど、兄貴のでたらめさを特に勇者のほうは理解していたみたいでさ。
伝言を伝えた翌日には、クロムの建国について支援はしないが承認はするという書簡をもらうことができた」
そういうとカルロは胸元より一通の書簡を取り出してダインに見せ、押韻などからこれが本物の書簡であることがダインにはすぐに理解できるのだった。
そしてダインがこの書簡が持つ意味の大きさに言葉を失っていると、カルロの隣にいた女性が話を始めた。
「カルロさんがカロライン王国に旅立たれた時、私にも1つの依頼がクロムさんよりありました。
内容は自由自治国家ルインの自治議会の議長であるサラカ様、ギルド長であるダン様。
このお二人への伝言とその内容についての承認を得ることでした」
ダインはその後も続くルーナの話を静かに聞いていた。
ルーナが受けた依頼はクロムがどこかで建国した場合、ルインはその国と同盟を結びクロムに全面的に協力すること。
もしもそれを断った時はルインを武力で制圧するという内容であった。
簡単に言ってしまえばルインをクロムの保護下に入れるから従え、従わない場合は滅ぼすという内容である。
クロムの人柄と性格を把握しているサラカとダン。
ルーンは即答でクロムの依頼を受けいれるという回答を得ることができ、その翌日にもらった書簡をダインに手渡すのであった。
「根回しが早すぎるな……
なぜミレストンに向かう直前にこのようなことをした」
ダインの当然すぎる疑問をぶつけられたクロムは真剣な表情で答えた。
「神の差し金で大陸外からの侵攻が起こっている、そう推測しただけさ。
だから自分で侵攻自体は止めつつその後の対応の準備を仲間に依頼しておいた、何も不思議なことじゃないだろ」
ミレストンが悪魔に占拠された、その報告が届いたときダインは気を失っていた。
その重要なタイミングでクロムはそこまでの判断と決断をし、自分は不甲斐無く意識を失っていた。
その差が自身とクロムとの器の差であることをダインは嫌となるほど痛感するのだった。
「はぁ……、ここまで準備されては拒否もできぬわ……
わかった、ミレストンをクロムに譲渡し、そこに都市国家を建国することを承認することを獣王の名において宣言する」
「理解してくれて助かるよ」
「じゃが……
聖セイクリッド神国が黙ってはいないと思うがの」
「それなら心配ないと思うよ。
聖セイクリッド神国がミレストンを攻撃するためには、竜の牙を超えるかルインを通過するか海からくるか、のどれかしかない。
竜族が支配している竜の牙や海神ポセイドンが支配している海からくるほどのバカならほっとけばいい、自滅するだけだろうしな。
だから俺はルインを俺の保護下に収めたんだよ、聖セイクリッド神国を牽制するためにな」
「それであいつらはあんなことを……
鬼族のゴランとトーマがルイン南部の場所に簡単な砦を築くって言ってたから好きにさせておいたけど……、よかったよな?兄貴」
重要な話の事後承諾を求めるカルロのことを可愛らしいと感じたクロムは笑顔で返事しつつ、自分の仲間たちがそれぞれ考えて行動してくれていることに嬉しく思うのであった。
「とりあえずサタンの軍勢の相手は任せてくれ」
そういってこの場を去るクロムたちをダインとタケルは複雑な感情を抱えながら見送ることしかできなかった。
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