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私は馬車の中に入って座り、門番をしていた男性は御者台に座ったのを見てちょっと安心してしまった

あの人が親切なのはちょっとの間一緒に居てわかったけど、よく知らない人と密室にいるのは息苦しい

馬車に乗ってたのは数分ですぐに王宮についた

近くでみる王宮は大きくてとても綺麗だった

「シルビア様はお城を見るのは初めてですか?」

「多分、初めてだと思います。小さい頃はわからないですけど、記憶にある中では来た覚えはありませんから」

「そうなんですね。ならシルビア様は見るものすべてが新鮮ですね。シルビア様の年齢は幾つになられるんですか?」

「私ですか?7歳になりました」

私が自分の年齢を言うと、門番の男性はちょっとビックリした顔をしている

何であんなにビックリしてるの?

私ってもしかして年齢と見た目が合ってない?

お父様たちは私に興味はないけど、ご飯はちゃんと出ていたから成長が遅いとかはないと思うけど?

リディアともそんなに変わらないですし

「どうかしましたか?」

「あ……、いえ、見た目は7歳に見えますけど、すごく確りしているのでもっと上だと思ってたので正直驚きました」

あぁ、私の受け答えが実年齢と合わないってことね

それならエルザお母様にも気持ち悪いってよく言われた

7歳なのに子供らしくないって………

でも仕方ないと思うのよね

私は小さい頃からお母様に王族として、恥ずかしくないように教育されてきましたし、身近に子供はブルーノ兄様しかいなかった

今はリディアも居るけど、リディアは下町で育ったから私と似たような性格をしてる気がする

私とリディアの差は甘えるのが上手か下手かの差だと思う

「変ですか?」

「そんなことないぞ!?いやないです。私には子供は居ないですけど、甥っ子がいるんですよ。甥っ子はシルビア様と同い年で7歳になるんですけど、やんちゃで姉が毎日困ってるぐらいですよ」

「そうなんですね」

う~、会話が続かない……

すごく気不味いわ

共通の会話とか無いから話が弾まない

私みたいなのを社交性が無いっていうのかな?

門番の男性も気不味そうにしている

そう言えばこの人ってお母様を知ってるんだよね?

「あの~、おじさ……お兄さんにとって、私のお母様はどんな人だったんですか?」

「おじさんでいいですよ。私は今年で35になるんでお兄さんって年齢じゃないですよ。私にとってのカトリーヌ様ですか?」

「お母様の事を知りたいんです。お母様は毎日忙しそうにしている印象しかなくて、少しでも時間があったら私を可愛がってくれてましたけど」

お母様は侯爵夫人として色々していたけど、元王女としも色々やっていたから毎日忙しそうにしていた

家に帰ってきて時間があったら、私に王族として教育もしないといけなかったから、私の記憶にあるお母様は厳しい一面と優しい一面の両方だった

厳しいお母様だったけど、私が頑張ってる姿を見たらいっぱい褒めてくれた。

お母様が喜ぶ顔が見たかった私は、精一杯お母様の理想に近づけるように頑張っていた

「カトリーヌ様はどんな人が相手でも平等な方でした。カトリーヌ様が王宮で暮らしてた時の私はまだまだ下っ端でしたけど、すれ違うときに私の名前を呼んで労ってくれていました」

「お母様は王宮に居る人の名前をすべて覚えていたんですか?」

「おそらくそうだと思われますね。私は貴族ではなく庶民なので、そんな私の名前を覚えていてくれたってことは、そういう事だと思われますよ」

王宮なら何百人もの人が働いているはず、それなのにすべて覚えてるなんて凄すぎる

私には絶対に出来ないと思う

少しでもお母様に近付きたいって思ってたけど、私には無理かもしれない………

「シルビア様が何を考えてるのか私にはわかりませんが、シルビア様はシルビア様で出来ることを頑張ればいいと思いますよ。誰かを目標にするのは良いことだと思います。だけど目標は目標です。絶対に目標を達成しないといけないわけではないと思います」

「目標は達成しないといけないものではないの?」

「私は目標を目指して、どれだけ頑張れるかが大事だと思いますよ。もしも無理だったとしても、精一杯やってたら後悔はしないはずですからね。目標を達成することだけを目指していたら、もしも目標を達成したときに、次に何をすればいいのか分からなくなってしまうかもしれないですからね」

完璧じゃなくてもいいのかな?

お母様は私が出来なくても怒ることはなかったけど、お父様やブルーノ兄様は私がちょっとでも失敗すると、王族なのにそんなことも出来ないのかと馬鹿にしていた

だから私は王族は絶対に失敗をしてはいけない存在なんだと思っていた

「それにカトリーヌ様みたいになるのは大変ですよ。カトリーヌ様は女に生まれたのが勿体ないと言われるような人でしたから、もしも男性として生まれていたら、カトリーヌ様が国のトップになっていたかもしれません」

えっ!?

お母様ってそんなにすごい人だったの?

お母様が男に生まれてても、お母様にはお兄さんが居るんだから、国のトップになんて普通はなれないよね?

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