128 / 143
第五章
17
しおりを挟む陛下は最初に王妃様を連れてくるように指示をする。
理由は確実に魅了されてるのが予想できるのと、王妃様が元に戻れば同時進行で色々と行動できるようになるからでしょうね。
陛下と王妃様とユーリ様がそれぞれに指示が出せるようになったら、処理能力が上がり助かるかもしれない人が増える。
それに王妃様は頭脳派だから、陛下にとってユーリ様と同じぐらい頼りにしている。
女官長に連れられてきた王妃様は怪訝そうな顔をしてやってきた。
「緊急の用事だと聞いてきたのですけど、こんなに人が集まって何なのですか?」
テイラー伯爵令嬢が関わらなければ、いつも通りの王妃様に見えるのよね。
私にも攻撃的になるわけでもないみたいですし、そう考えるとミハイル様とはちょっと違うのかしら?
ミハイル様は私の顔を見た途端、喧嘩腰になるのよね。
ミハイル様からは小さい頃から嫌われてたけど、テイラー伯爵令嬢と関わる前は、わざわざ近づいて来て喧嘩を吹っかけては来なかった。
私の行動の邪魔はしていたみたいだけど、直接何かを言ってくることは、滅多になかった気がするのよね。
「お前に確認したいことがある。お前はテイラー伯爵令嬢をどう思っている?」
「リリヤ嬢のことですか?とても素直で素晴らしい子だと思ってますわ。ミハイルにはあのような子が相応しいと思っておりますの」
「それはあの娘を王太子妃にするつもりか?」
「勿論ですわ。ミハイルと結婚するならリリヤ嬢が王太子妃になるのが常識ですわ」
いつもの王妃様なら絶対にこんな発言はしないわね。
確実に魅了されてるわね。
「…………お前の考えは分かった」
「こんな事を確認したかったのですか?私も公務で忙しいのですからこんなことで呼ばないで下さい。それでは部屋に戻らせて頂きます」
「ちょっと待ちなさい。帰る前にこの水晶に手を乗せてくれ、理由は後で話す」
「これを触ればいいのですか?」
王妃様は何の疑いもなく水晶に触る。
すると王妃様の体から黒い靄が浮かび上がり、どんどん水晶に吸い込まれていく。
「な、何ですの!?手が離れない!?」
30秒ぐらい王妃様が水晶から離れようと格闘してるけど、絶対に離れることはなく、体から黒い靄が出なくなると簡単に手が離れる。
王妃様はやっと水晶から手が離れて安心した顔をするけど、すぐに体をブルブル震わせてから、陛下の目の前まで歩いていくと、陛下の服の襟を掴んでブンブン振り回す。
「あれは何ですの!!私に何をしましたの!!」
「お、落ち着きなさい」
「落ち着けるわけ無いでしょ!!私に何をしましたの!!」
大変な事になっちゃいました。
でも王妃様の反応が普通ですわよね。
「義姉さん落ち着いてください。兄上は義姉さんに危害を加えることはしてません。逆に義姉さんを助けるためにしたんです」
ユーリ様は慌てて2人の間に入り、王妃様の暴走を止めようとする。
王妃様はユーリ様の言葉にピタッと止まる。
「そうですわね。この人が私に危害を加えるわけがないですわね。お互いに恋愛感情はなくても、家族としての絆は育んで来たつもりですから」
「はぁ~~~~、誤解が解けたようで良かった。説明する前にお前にもう1度質問する。テイラー伯爵令嬢のことをどう思っている」
「ん?ミハイルの恋人のことですか?それは勿論…………、あれ?何で私はあんな半端者を好いていたのでしょうか?マナーもなってない。常識もない娘を………」
も、元に戻った~~~
良かった!!
魅了を解く魔導具だと日誌に書いてあったけど、ずっと不安だったのよね。
もしも効果がなかったら、どうしようもないと諦めるしかなかった。
「解放されたみたいだな。体に何か異常はないか?記憶がおかしいとか、何処か痛みを感じるとか、体が動かしづらいとか」
「特にありませんね。強いて言えば、何であの娘に好感を持ってたのか疑問なぐらいですわね」
「本当に良かった。お前に何が起きていたのか説明するぞ。信じられないような衝撃的な話だが、これは事実の話だ」
2,297
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる