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第四章
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しおりを挟む私の発言で陛下とユーリ様が困った顔をしている。
やっぱり拙かったかしら?
第2王子のことを知ってる人は少ないって、お兄様から聞いてたのに今後どうなるか不安でつい聞いてしまった。
「私のもう一人の子供のことを知っているのだな」
「私が特進クラスに決まった時に、兄から第2王子の存在を教えてもらいました。第2王子も特進クラスを選ぶ可能性があるから、知っておいたほうが良いと判断したみたいです。兄も王宮でメイド達の話を聞いて、第2王子の存在を知ったそうです」
お父様にお咎めが無いようにフォローする。
第2王子の話はトップシークレットだろうから、もしもお父様が自分の子供に話したって思われたら、色々と信用問題になるわよね。
「言い方が悪かったな。責めてないから安心してくれ。イリーナ嬢はユーリの嫁になるのだから、いつかは話さないとイケない話だから逆に良かった」
「兄上はいつ話すか迷ってましたからね。でも問題は人通りがある場所で、王族の機密情報をべらべら話してたメイド達ですね。誰か分かればいいのですけど」
確かに良く考えたら、お兄様が第2王子の存在を知る切っ掛けになったメイドは問題よね。
王宮で働いてたら機密情報を知ってしまう機会は多いはず、それなのに口の軽いメイドが居るなんて大問題になる。
「覚えてるかも微妙ですけど、兄に相手の特徴を聞いておきますか?」
「お願い出来るかな?はぁ~、問題が山積み過ぎる。ミハイルの事でも色々と頭が痛いのに、口の軽い使用人が紛れ込んでるなんて」
王宮で働く者の人選は厳しいだろうから、問題ある人物が紛れ込んでるなんて、胃に穴が開くぐらいの大問題よね。
「それで兄上は次の王太子に第2王子を選ぶつもりなのですか?」
「いや………、本人に断られたよ。今の生活に満足らしい。それに恋人が居るらしいんだが、身分を考えたら王太子妃には出来ないから、絶対に嫌だと言われてしまった」
第2王子に恋人?
学園で全然関わってないけど、同じクラスだから毎日会うけど、それらしき人は1人も居ないわよね?
特定の女性と仲良くしてるのを見たことがない。
「王太子妃には出来ない身分ですか?」
「庶民らしい。ブリジット辺境伯で雇われてる庭師の孫らしい。あそこは特殊な土地だから、妻や夫が絶対に貴族じゃないとイケないとかではないんだよ。いつも命懸けだからこそ配偶者には愛するものを選ぶ。癒やしを求めるんだろうな」
そんな環境で育ったなら、王都での暮らしは苦痛でしょうね。
王様になれるって言われても惹かれたりしないのがわかる。
「第2王子は真実を知って動揺されたりしてなかったのですか?」
「驚いてはいたけどショック等は受けてなかったな。辺境伯殿に愛情たっぷり育てられていたからだろうな。王宮で育っていたらあんなふうには育たなかっただろうな」
陛下はミハイル様を思い出したのか悲しそうな顔をする。
確かに私から見た第2王子はとても人格者なのが分かる。
貴族や庶民などで態度を変えたりせず、同じクラスにいる庶民に自分から1番進んで声をかけてるのがあの方だった。
あの方のお陰でクラスの雰囲気もとても良いのよね。
私は公爵令嬢って肩書があるせいで、エリー以外の庶民からは距離を置かれている。
彼らの気持ちも分からなくはない。
「第2王子が王宮で育っていたとしても、愛情を感じることは出来たと思いますわ。陛下や王妃様はとても愛情深い方たちですから、私がまだミハイル様の婚約者候補だったときも、お2人は忙しいので短い時間しか一緒に過ごせませんでしたが、会う度にとても優しくして頂きましたから」
「そうだと良いが………、どうしても跡取りとそうじゃない者では差が出てしまう。ミハイルとリカムではミハイルを優先していたと思う」
それは仕方ないのかもしれない。
跡取りとそうじゃない者の差が出るのは仕方ない。
これは王族だけではなく、貴族も同じようなものよね。
私とお兄様だって差があった。
お兄様は跡取りとして、教育の面ではとても厳しくされている。
私はお兄様が潰れてしまわないか心配になることが何回もあった。
そういう兄弟を見た時に、心配するのか、嫉妬するのかは、本人の資質よね。
厳しくされない=期待されてないと思って劣等感を感じるのか、頑張ってる兄を支えようとするのかは、育つ環境よりも本人の生まれ持った性格で決まってしまう気がする。
「リカム本人が拒否をしてるから、ミハイルが廃嫡になったらユーリに王太子になってもらうぞ。イリーナ嬢は王太子妃教育はほぼ終わってるから安心だ」
…………結局私は王太子妃になってしまうの?
重圧から開放されて、開放感を味わっていたのに
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