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第四章

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 本当に私はここに居て良いのかしら?

 とんでもない話を聞いてるわよね?

「ミハイル様が廃嫡になるのはもう決定してることなのですか?」

「何があっても覆すつもりはない。息子は王になる資質がなかったんだ。私達の教育が悪かったのかもしれないが、ユーリと同じような教育をしてきたんだが」

 先代の王妃様が甘やかしていたと聞いたけど、ユーリ様と同じような教育をされてたのに、こんなにも差が出るものなのね。

「兄上はこれからミハイルをどうするつもりなのですか?廃嫡するってことは、王族の籍からも抜くってことですよね?」

「本来なら領地を与えるのだろうけど、ミハイルに領地を与えたら、その領地に住んでる者達が苦労する。何処かの家に婿養子に出しても同じ結果なんだよな」

 王族ではなくなるミハイル様を欲しがる人は居るのかしら?

 リリヤは絶対に離れて行くと思う。

「ミハイル様をどんな理由で廃嫡するつもりなのですか?過去にも婚約者と婚約破棄をして、他の女性と結婚した王も居ますから、テイラー伯爵令嬢のことで廃嫡するのは難しいですよね?今回は正式に婚約者が決まっていたわけではありませんし」

「すぐには廃嫡は無理だろうな。テイラー伯爵令嬢と婚約するつもりなら、令嬢には王太子妃教育を3年以内に終わらせるのが条件にするつもりだ。3年で終わらなかったり、3年以内にの令嬢が何か問題を起こしたら、その責任をミハイルが取るように指示するつもりだ。もしも3年以内に終わらなかったら、ミハイルも責任を取らせて廃嫡にする」

 3年以内にあの内容を全て覚えるの!?

 休み無しで朝から晩まで詰め込んだら、何とか終わる計画かしら?

 私なら絶対に耐えられないわ。

 ご愁傷さま………

「兄上は絶対に無理だって思ってるんですね。でもミハイルが途中で婚約する相手を変えると言ってきたらどうするつもりですか?今残ってる婚約候補者から選ぶって言ったら、許すつもりですか?」

「それはもう無理だ。今日のパーティーでお揃いの衣装を着たのだから後戻りは出来ない。私は何度も止めたけど強行したのはバカ息子だ。それに3人は許せないことを言っていたからな」

 許せないこと?

 陛下がこんなに怒ってるの初めて見たわね。

 そんなに拙い事を言っていたの?

「………聞くのが怖いんですけど、その内容は我々が知っていたほうがいい内容ですか?」

「今回、お前たちをここに呼んだ1番の理由は、あの発言を知らせるためだ。ミハイル達はイリーナ嬢を側室にするつもりだ」

「そんなのあり得ませんよ。ミハイル様は私のことを嫌ってますし、テイラー伯爵令嬢が認めるとは思えません」

 あの子は私のことを嫌ってるのは確実だから、自分のほうが立場は上になるとしても、側室として受け入れるとは思えない。

「側室と言っても形だけだ。イリーナ嬢に仕事を全て押し付けるつもりらしい。ミハイルがあの子を王宮に連れてきたときに、彼女がミハイルを狙ってるのが分かったから、軽くだけど次期王妃になったらどんな生活が待ってるか話したんだ」

「それを私を側室にするのを提案したのは誰ですか?」

「テイラー伯爵令嬢だよ。ミハイルを共有するのは辛いけど、自分には難しくて出来ないから我慢するって言ってたな」

 それって側室という名の奴隷よね?

 嫌なことは全部私に押し付けるってこと?

 ミハイル様が私を愛することは絶対にないから、自分はミハイル様に愛されて幸せになってるのを、私に見せつけながら嫌な仕事を押し付けるって考えね。

「兄上は反対してくれたんですよね?」

「当たり前だろ。イリーナ嬢はお前の婚約者だ。それにあんなのを認めたら、イリーナ嬢が不幸にしかならないだろ。イリーナ嬢も私が守るべき大切な国民だ」

「良かった。義姉さんは身勝手な要求に賛成してるんですか?」

 陛下は悔しそうに頷く。

 やっぱりおかしい………

 王妃様がそんな事を認めるはずがない。

 私がまだミハイル様の婚約者候補だった時に、王妃様には娘のように可愛がって貰ってた。

 陛下に婚約者候補を辞退するのを認めてもらったあとに、王妃様には今までのお礼も兼ねて、挨拶に行った時に幸せになりなさいって言ってくれたのに、不幸にしかならないあんな提案に賛成するなんて信じられない。

「私はあんな理不尽な要求を通すつもりはないが、イリーナ嬢は身辺を気をつけて欲しい」

「わかりました。こんな事を聞いて良いのか分からないですけど、ミハイル様が正式に廃嫡になったら、王太子は誰が選ばられるのですか?………第2王子ですか?」

 私の発言に陛下とユーリ様はビックリした表情になる。
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