【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第二章

13

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 終わってしまったわね。

 スベリア国と関わり始めたばかりだからか、書類が少なかったせいであっという間に思ってしまった。

「ユーリ様、何か手伝えることはありますか?」

「もう終わったのかい?凄いな。イリーナ嬢に任せてよかったよ。そうだな~、これを頼めるかい?」

 ユーリ様が差し出してきたのは、貴族たちの婚姻申請の書類と養子申請の書類だった。

「何をすれば良いんですか?」

「この記録帳に全貴族の戸籍が載ってるから、重婚をして居ないか確認してほしい。それと養子申請のやつは元の家から戸籍を抜ける書類があるか確認して、問題がなかったら書類にこの判子を押してほしい」

「分かりました」

 責任重大の仕事が回ってきた。

 失敗しないように慎重にやらないとイケないわね。

 この国では王族以外は、何か特別な理由がない限り基本的に第2夫人を受け入れてない。

 特別な理由というのは、結婚してる5年以上経っても子供が出来ないのに、契約のせいで離縁が出来ない場合とかなのよね。

 大抵は5年経っても子供が出来なかったら離縁をするんだけど、家の同士の契約のせいで離縁が出来ない場合がたまにある。

 そういう場合に親戚から養子を貰ったり、お互いに都合がいい相手を第2夫人として迎え入れることが許されている。

 愛人が居る貴族も居るけど、愛人の子供は基本的に相続権はない。

 本妻との間に子供が出来ない場合は愛人の子供を引き取る場合もあるけど、その時は愛人の子供を本妻の子供として引き取ることになるから、その子どもとその母親は会うことを禁止される。

 引き取った後に夫婦の間に子供が出来たら、引き取られた子供は家臣になることが暗黙のルールになっている。

 貴族の結婚は国で管理されているから、結婚する時は貴族全員が国に申請しないといけない。

 貴族同士の結婚ならそんなに時間は掛からないけど、もしも片方が庶民だった場合は調査が入るので、半月ほど掛かってしまうことがある。

 これは国の安全を守るためにも仕方ないのよね。

 庶民は人数が多いせいで国で完全に把握出来ていない、この国は他の国と比べて安全だけど、厳しい冬や日照りが続いた夏とかでは、子供やお年寄りで亡くなるものが多いせいで管理するのが難しいから、全員を把握しきれていないせいで未婚かどうか調べるのに時間が掛かってしまう。

 他国の密偵などが紛れるのに庶民として生活するので、余計に調査が慎重になってしまう。

 貴族と結婚する庶民は滅多に居ないから、国として体制が変わらないせいって言うのもあるんだろうけどね。

 昔はここまで管理が厳しかったわけではないらしいのよね。

 20年ぐらい前に今の体制になったと習った。

 理由は第2夫人として庶民や身分が低い貴族を受け入れて、夫婦で奴隷として扱ったり、他国に奴隷として売っていたらしい。

 それを知った陛下が厳しく取り締まるようになった。

 だから今でも短い期間でコロコロ妻が変わる貴族は怪しまれる。

 私はそのことを知っていたから、ユーリ様がこの仕事を任せたことに驚いた。

「本当に私が確認して良いんですか?」

「大丈夫だよ。見られて困るようなものじゃないし、その記録帳があれば不審な者にはすぐに気が付く」

「分かりました」

 ユーリ様の期待を裏切らないように頑張ろう!!

 黙々と書類と記録帳を確認していく。

 これって今日一日の書類だよね?

 意外と再婚する人が多いのね。

 この国の貴族全員分だからこれぐらいが普通なのかしら?

 私は1つの書類に手に取り、記入されてる名前を見て固まってしまった。

 書類には婚姻届と養子を迎えることが記入されている。


 ❖❖❖❖❖

 婚姻届

 夫 アベル•テイラー(伯爵家)

 妻 オリガ (庶民)

 養子 リリヤ 、オリガの連れ子(庶民)


 申請のほどよろしくお願いいたします

 ❖❖❖❖

 2人共庶民になってるけど、これってお母様とリリヤで合ってるわよね?

 何でお母様が庶民になってるの?

 離縁はしたけど伯爵家の娘になってるはず………

 記録帳でフェンネル伯爵家を確認すると、そこにはお母様の名前が載っていなかった。

 除名されたってこと?

 知らなかった…………、

 お父様とお兄様は知ってるのかしら?

     
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