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第二章
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しおりを挟む書類を持ったまま固まっていると、私の方に近付いてくる足音が聞こえ、横を見るとお父様が立っていた。
「イリーナどうしたんだ?何か分からない事でもあったかい?」
「えっと………、あの……」
「どうしたんだい?」
ユーリ様まで私の席まで来てしまった。
どうしよう………
大したこと何事なのに大事になってしまったかも。
「いえ………、大したことはないんですけど、お父様に聞きたいことがあるんですけど、お母様ってフェンネル伯爵家から除名されたんですか?」
「オリガのことか?特に聞いてはないけど、あの姪を何時までも擁護してたら可能性はあるだろうな。フェンネル伯爵前当主はあの者を受け入れるのは難しいと思うからな」
そっか…………、
修道院に入れたとしても、何か問題を起こしたら責任を取らないといけない可能性があるから、修道院に入れたからもう関わりはありませんってことにはならないわよね。
そうするには確実にお母様とリリヤをフェンネル伯爵家から除名しないといけないわよね。
除名したらフェンネル伯爵家とは関係ないってことになる。
「どうしてそんな事を聞くんだ?」
「これを見て下さい。テイラー伯爵が結婚するみたいなんですけど、相手が庶民ってなっていて、相手の名前がオリガってなってるんです。それだけではお母様って判断は難しいんですけど、連れ子としてリリヤって名前があるんです」
流石にこんな偶然が重ならないわよね。
リリヤがお母様の娘ってことになってるのも驚いたけど
「アベル•テイラー……………、確か今年41歳で2回離婚歴がある男だったか?目立つ功績があるわけではないから、どんな人物があまり知らないが伯爵家の当主だったはずだ」
お父様が自信なさそうにテイラー伯爵の情報を絞り出す。
2回も離婚歴があるのって普通なのかしら?
貴族は滅多に離婚することがないから、余程の何かがあると思うのだけど?
「修道院から簡単に出れるものなんですか?」
「うーん、場所によるな。規則が緩い修道院なら簡単に出ることも出来るし、人との面会も難しくないな。でもあの2人が入れたれた場所は親族でも面会が出来るのは年に1回だから、出ることは難しいと思うんだけどな。結婚するとかなら出れる可能性はあるが出会いがないだろ?」
確かにそうよね?
お母様とテイラー伯爵は何処で出会ったの?
規則が厳しい修道院は男性禁制の所が多いから、余計に出会うのは難しいわよね?
どういうことなの?
「もしもお母様に会うことがあったら、お母様の事をお母様って呼ぶのは不味いですかね?」
身近に親が離婚してる人が居ないから、どうすれば良いのかわからないのよね。
前世では親が離婚しても親は親だから呼び方は自由だったけど、今は貴族だからどうなのか知っておきたい。
私は公爵令嬢でお母様は伯爵夫人になるから、例え母親だとしても身分差はあるのよね。
お母様がずっと結婚してなかったら、あまり気にしないで済む問題だったかもしれないけど、流石に他の人と再婚してるなら色々と気をつけないといけないことがあるわよね?
「俺は気にしないでいいと思うけどな。父上と母上が離婚したとしても、あの人が俺達の母親って事にはかわりはないからな。イリーナがあの人を母親だと思えるかどうかの問題じゃないか?」
そういえばこの場にはお兄様も居たんだった。
衝撃が大きすぎて忘れてた。
…………私があの人を母親だと思えるかの問題か
今の私には無理そうだな。
「お兄様はどうするつもりですか?」
「俺か?俺はもう母上と呼ぶつもりはない。あの人は俺達のことを捨てたのと一緒だろ?本人はそんなつもりはなかったのかもしれないけど、あの女を優先したってことは母親を辞めたのと一緒だ」
私はお母様に失望したけど、もしかしたらお兄様のほうが私よりお母様に怒ってるのかもしれないわね。
当時も私以上にお母様とリリヤに対して怒っていた記憶がある。
「私もイリーナの好きにしていいと思うぞ。今すぐに決める必要はないんじゃないか?」
お父様は私とお兄様を慰めるように、優しく私達の頭を撫でる
そっか…………、今すぐに決める必要はないのよね。
今は実感がなくて現実味が無いけど、いざ会ってみたらどうすれば良いのか簡単に決まるかもしれないわよね。
「うーん、私はそんな悠長なことを言ってられないと思うけどな。元公爵夫人がどんな行動を取るかは分からないけど、元公爵夫人と一緒に行動してる者を警戒したほうが良いんじゃないか?」
お母様と一緒に行動してる人?
リリヤのことかな?
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