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第一章

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 今日って本当はこんな話をするために、お祖父様とお祖母様を呼んだわけではないのよね。

「お父様とお母様は冷たすぎますわ。マリア達がしたことは駄目なことですけど、それにリリヤは一切関係ありません。生まれる前のことを責められても、リリヤにはどうしようもありませんわ」

 何でお母様はこんなに話が通じないの?

 今までそんなことはなかったと思ってたけど、上手に隠していただけかしら?

「お母様いい加減にして下さい。お祖父様とお祖母様は何度も言ってるはずです。血縁者でもリリヤを受け入れるかどうかを決めるのはお二人です。お母様が決めて良いことではありません」

「でもそれではリリヤが可哀想でしょ。イリーナは2人から愛されてるからリリヤの気持ちがわからないのよ。リリヤの気持ちになって考えてあげなさい」

 姪を可愛がることを駄目だとは思わない、だけど何も悪いことをしてない娘や息子を蔑ろにして、姪ばかりを可愛がるのは正しいことなの?

 最近のお母様と話すの疲れるし、ストレスに感じるのよね。

 胃に穴が空きそうな気分だわ。

 どうすればお母様に私達の気持ちが分かってもらえるのかしら?

 お父様とお母様が離縁することは変わらないだろうけど、このままではお母様は実家にも帰ることが出来なくなって、修道院に入れられるか、庶民になる未来しかなくなってしまう。

 お母様のことは失望してるけど、不幸になって欲しいと思ってるわけではない。

 ずっと黙って聞いてたお父様が私の頭をひと撫でしてから、私とお兄様の前に出た。

「今日は急に呼び出してしまいすみません。理由も何も言わずにお義父さんとお義母さんを今日呼んだのは、オリガの様子を実際に見て欲しかったからです」

「イワン殿に迷惑をかけてしまい申し訳ない。本来ならワシ達が何とかしなければいけない問題なのに、もしかしてオリガはいつもこうなのか?」

「最近のオリガは子供たちより、妹さんの娘ばかり優先して、子供たちを蔑ろにしています。実際に普段の様子を見ないと、お二人に信じてもらえないと思い、このような場を用意させていただきました」

 お祖母様はお父様の話を聞いて泣き出してしまった。

 泣いてるお祖母様は私とお兄様の前に跪くと、私達の両手を力強く握ってきた。

「2人ともごめんなさい。私があの子の教育を間違ってしまったのね。子供に辛い思いをさせる母親は親失格だわ。母親が自分より他の子を優先してるのを見て、とても辛い思いをしたわよね。特にイリーナは相手が同い年だったから辛かったでしょ?」

「イリーナには寂しい思いをさせてるかもしれませんけど、イリーナには私以外にも沢山の人がついてますわ。だけどリリヤには私しか居ないんです。リリヤの方を優先しても仕方ないと思います。お母様とお父様がリリヤを受け入れてくれれば、私も自分の子供たちに接する時間が出来ます。ですからマリア達がしたことで、リリヤを責めるのは止めてください」

 お祖母様はすぐに分かってくれるのに、何でお母様は分かってくれないんだろう?

「貴女は何故そんなに頑ななの!!貴女がマリアの娘を可愛がりたいのは貴女の勝手よ、だけど自分の子供たちを蔑ろにしていい理由にはなりません!!」

「私はイリーナとセミュンを蔑ろにしてしてるつもりはありませんわ。だけど今は親を亡くしたばかりのリリヤを優先してしまうのは仕方ないと思うんです。イリーナとセミュンだって分かってくれるはずです」

 どんなに話し合っても、最終的にここに戻るのよね。

 それにお祖父様とお祖母様にリリヤを受け入れさせるなんて、絶対に無理だと思うのよね。

 人の気持ちはそんなに簡単には出来てない。

 お祖母様達は大切に育ててきた大切な娘に最悪な形で裏切られた、愛情が深ければ深いほど憎しみが強くなる。

 その恨みが叔母様の娘であるリリヤに向かってもおかしくないわよね。

「はぁ~、見てもらって分かったと思いますが、最近のオリガは話し合っても意味がありません。何が悪いのか分かってくれないんですよ。イリーナとセミュンを傷つける事しかしない。それを言ってもそんなつもりはないと言うだけ」

「オリガはマリアへの愛情が深すぎるとは思ってたが、まさかその娘にまでここまで執着するとは………」

 お母様はそんなにマリア叔母様のことを可愛がってたんだ。

 シスコンなのかなって思ってはいたけど、もっと重症な気がするけど気のせいかしら?
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