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第一章
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しおりを挟む10分ぐらいしてからお兄様が紅茶と軽食をカートに乗せて入ってきた
「起きてからまだ何も食べてないだろ?お腹空いてないかもしれないけど、何も食べないのは体に悪いから少しは食べろ」
「ありがとうございます」
スコーンを手に取りジャムを塗ってからかぶり付く
美味しい~
シェフの手作りジャムは美味しいんだよね
これは杏子かな?
「イリーナはスコーンが好きだよな。俺はしっとり系のスコーンは好きだけど、パサパサ系のスコーンはあまり好きじゃない。我が家のシェフが作るのはパサパサ系だから微妙なんだよ」
「シェフにお願いすればしっとり系のスコーンを作ってくれるんじゃないですか?私とお母様がパサパサ系のスコーンの方が好きだから、普段作るのはこのスコーンを作ってくれてるだけだと思うので」
パサパサ系のスコーンはサクサクだから好きなのよね
ジャムを塗ったり、紅茶と一緒に食べるから多少パサパサでも気にならないですし
「別に甘いものが好きって訳では無いから作って貰う必要はないよ。それより俺に何か話があったんじゃないか?」
「そうでした。王太子様の婚約者候補から辞退しようと思ってるんです。お父様達に話す前にお兄様に色々と相談に乗ってもらいたいと思って」
「急な話だな。あんなにミハイル様を好きだと言ってたのにもう良いのか?お前はサフィナ公爵家の娘なんだから、王太子妃になるのも難しくないと思うけど」
確かに身分の事を考えたら私は第1有力候補だと思う
サフィナ公爵家が最後に王族との婚姻を結んだのが5代前になるから、王族との血の濃さを考えても理想的だと言われている
だけど1つだけ問題点をあげるなら、王太子様は私の事がタイプじゃないみたいなのよね
他の候補者とは仲良くしてるのをよく見かけるけど、私とはあまり話そうとしていない
自分で言うのは自惚れみたいで嫌だけど、性格に問題はないですし、容姿も周りと比べたら絶対に良いほうだと思う
ゲームで成長した私を見たことがあるけど、悪役令嬢によくあるセクシー系ではなかったけど、小動物みたいな小柄で可愛い系の悪役令嬢だった
意地悪する系の悪役令嬢じゃなく、真面目で優秀なタイプの悪役令嬢だから、気が強い見た目じゃないほうが作品的に都合が良かったのかな?
ヒロインは逆にスタイルが良くて男を手玉に取るタイプの容姿をしていたわね
ヒロインの方が悪役令嬢って言われても、何の疑問も持たないかもしれないわね
「お兄様の言う通りで公爵家の力を使ったら王太子妃になれるかもしれません。だけど王太子様は私の事を嫌ってるのは間違いないと思うんです。何故あんなに嫌われてるのか知らないですけど」
本当に疑問なのよね
王太子様に嫌われるようなことをした記憶がないですし、初対面の時から私の事を避けていた気がする
「それは俺のせいかもしれないな」
「どういうことですか?」
「俺がまだ8歳の時にミハイル様の事を叱った事があるんだよ。子猫を虐めていたから相手が王太子だってわかってたけど、流石に許せなくて手を出さなかったけど、興奮してたからあまり覚えてないけど怒鳴っていた気がする」
そんな事があったんだ
恐らく当時問題にならなかったのは、叱った相手がお兄様だったことと、王太子様がやったことが陰湿だったから、大事にならなかったのかもしれないわね
「お兄様は何も間違ってませんわ。自分より弱い存在を虐めるほうが悪いんです。子猫を守ったお兄様はかっこいいですわ」
「俺は当たり前の事をしただけだよ。俺とイリーナは見た目は似てないから問題ないと思ってたけど、俺の妹ってだけで拒絶してたんだろうな。心が狭すぎる」
我が家が公爵とはいえ、こんな事を誰かに聞かれてたら不敬になるわよね
「嫌われてる理由は想像でしかありませんけど、嫌われてることに間違いはありません。貴族や王族が政略結婚なのは普通のことですけど、だからって未来の王と王妃が不仲なのは、国民に不安を与えるだけなので私は辞退しますわ」
「本当に良いのか?イリーナはミハイル様の事が好きなんだろ?」
「好きでしたけど、お兄様の話を聞いて何で好きだったんだろうって疑問に思ってます。子猫を虐めるような人は嫌いですわ。自分より弱い生き物に優しく出来ない人は嫌いですわ」
まぁ、その話を聞かなくても、前世の記憶が戻ってからはタイプでは無くなりましたけどね
王太子様みたいな俺様タイプは現実に居たら引くわよね
「イリーナがそれで良いならそれで良いけど」
お兄様は納得してない顔をしているけど、私が諦めるって言ったからかこれ以上は何も言ってこなかった
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