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しおりを挟むミカエルお父様にお姫様抱っこされながら祠を出て来たから、ベルナールさんとリシャールさんにはかなり心配させてしまった
移動時間を考えるとここでゆっくりしてられないので、私はミカエルお父様にお姫様抱っこされたまま移動することになった
「ミカエルお父様、そろそろ自分で歩きますわ。このままではミカエルお父様が疲れてしまいます」
「大丈夫だよ。エミリーは軽いから全然負担にならないよ。ここに来るだけでも疲れただろ?」
ミカエルお父様って私に甘すぎるよね。
ここは根っこがいっぱいあって歩きやすい道とは言えない、そんな道だから私を抱っこしたまま歩くのは辛いはず
「いつの間に伯父様からお父様に呼び方が変わったんだ?少しの間しか離れていなかったのに何かあったのか?心の変化の切っ掛けでもあったか?」
ベルナールさんが不思議そうに問いかけてきた
特にこれって理由はないのよね
切っ掛けがあるとしたら、前世の記憶が蘇ったのが原因かな?
前世の記憶が蘇る前は、今の両親に裏切られたって記憶があっても、心の何処かで家族を恋しがってる気持ちがあった。
ミカエルお父様とミレイユお母様を、お父さんとお母さんって呼ぶことで、完全に縁をきることになるような気がして呼ぶことが出来なかった
だけど前世の記憶を思い出したからか、そこまであの両親に執着する気持ちが薄れた気がする
いつか裏切るかもしれない家族に執着するより、最後まで私を心の底から信じてくれた、ミカエルお父様とミレイユお母様の方を大切にしたいと思った
簡単に本当の家族を見捨てる私は薄情なのかもしれない、だけど1度裏切られた相手と最後まで助けようとしてくれた相手では、信頼度や思入れが高いのが後者でも仕方ないわよね
「何があったか知らないがいい変化なんじゃないか?少し雲行きが怪しくなってきたな、ミカエル殿が大丈夫そうなら少し歩く速さをあげるが大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「雨が降らないうちに早く帰ろうか、ミカエル殿、もしも疲れたら僕たちがエミリー嬢をおんぶするので、遠慮なく言ってください」
「娘を抱き上げられるのは父親だけの特権だから譲る気はないよ」
出来れば私もそうして欲しいかな
ミカエルお父様には負担をかけて悪いけど、知り合ったばかりの男性におんぶされるのは避けたい
もしもされそうになったら、何がなんでも自分で歩くわ
「遠慮することは無いぞ?」
「父親として、娘を簡単に身内じゃない男に触れさせる訳にはいかないな。もしも緊急事態なら仕方ないけどね」
ミカエルお父様の発言に、リシャールさんは苦笑いしてるけどベルナールさんは呆れた顔をしている
未婚の娘を身内でもなくて婚約者でもない男にベタベタ触らせるのは、親として問題視するのは普通なのかもしれないけど、ベルナールさん達からしたら雨が降る前に早く帰りたいって考えてるのに、見当違いな発言に呆れてるんだろうな。
2人は私に下心何て全くないだろうし
今回は相手が私とミカエルお父様だからへんな言い掛かりはしないって信じてるみたいで、ミカエルお父様に疲れたら自分がおんぶするって提案してくれたけど、普段は放置してそうだよね
ベルナールさんは今は冒険者をしてるけど、憶測だけど実家は高位貴族だろうから、自衛が大事なんだろうな、もしも親切心で代わったりして、未婚の女性の素肌に触ったとか言い掛かりをつけられて、娶るように強要されたら困るものね
母親は元メイドだったって言ってたけど、母親が庶民や身分が低い貴族だとしても、父親が高位貴族なら結婚相手に申し分はないはず、相手が血統主義なら話は変わってくるかもしれないけど、今では親の片方が高位貴族なら気にしないって考えが増えてる
出生率を考えても片方が低位貴族や庶民なら、子供が出来やすいって考えもあるから余計よね
それに母親が庶民なら、自分たちの方が上の立場になれるって考えるものたちもいる
こう考えると貴族ってしがらみが多くて面倒臭いわよね
本人が貴族辞めるって言って、冒険者になっても周りはほっとかないと思う
ベルナールさんは実家とは今も連絡をとってるみたいだし、完全に縁を切った時の身の危険を理解してるのかもしれないわね
貴族関係で何かあった時にすぐに頼れるようにはしてると思う
ミカエルお父様は何故か嬉しそうに、ベルナールさんをからかっている
さっきまでベルナールさんは大人っぽい人かと思ってたけど、ミカエルお父様にムキになってるのを見て、結構子供っぽい性格をしてるんじゃないかなっておもった
2人の会話を楽しんでると、今日は朝早かったことと、神様との面会に結構体力を使ったみたいで疲れて寝てしまった
目が覚めたら家のすぐ近くだった
ベルナールさんとリシャールさんには今日も泊まるようにミカエルお父様が言ったけど、2人は自分たちが借りてる部屋に戻ってゆっくり休むと断られてしまった
泊まってくれたら手紙を用意する時間があったんだけど、こればかりは仕方ないわよね
書いたら使用人にでも頼んで、2人に届けてもらおう
応援ありがとうございます!
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