勇者パーティーから追放される雰囲気だったに、勇者が豹変。動揺するしかない俺。

31

カズマは育った村を思い出した。この街とまさに同じ状況だ。
怖くなった。
全身が震えてその場に座り込んだ。
「死にたい……」
近くにあったが、ガラスの破片を手にした。
生きているのが怖くて、ガラスの破片を首元に持ってきたが刺す事ができなかった。生きているは怖いが死ぬのも怖い。中途半端な自分が情けなく消えたかった。
ガラスに破片が手から落ちると、ガシャンと音を立てて砕けた。
気づけば、死体の周りにいた人間の胸に光るものが見えた。カズマは大きく目を開くと、人間の体内にある黒い靄に光るものを包んだ。
闘争心を自分に集めようと考えた。そうすれば、そこにいる３人が殺してくれる。こんな幸運な事はない。
しかし、集まった闘争心はカズマにはじかれ他の人間に入った。闘争心に入った人間は目が血走り暴れ始めた。
３人が慌てて対応するが数が多すぎて手に負えない。
狂人化した者は無差別に攻撃を始めた。勿論、カズマの方にも向かってきた。死にたいはずなのに、身体が自然と攻撃を避けている。
出血が多く、全身に力が入らないはずなのに、狂人の攻撃を全て回避している。
その間に、狂人化しなかった人間が切り裂かれ街の血がどんどん増えている。
地獄だ。
カズマは、天を仰いだ。
大きく深呼吸するとその場に座り込んだ。身体が震え逃げだしたかったが目をとして必死に我慢した。
狂人と化した人間が殺してくれるだろう。
このまま生きていては危険な人間だ。