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しばらくするといい匂いがしてきて目を覚ました。匂いは外からであった。起き上がろうとしたが全身の痛みで上手く動く事ができなかった。
「……」
どんな怪我をしても今まで動けないなんて事はなかった。
「ん?」
麻の上にふんどしのままで、寝たはずなのに布の掛けられて、ふんどしが消えている事に気づいた。
裸にされた身体を見ると汚れは綺麗に落とされていた。自分で適当に添え木をした足には綺麗な布の巻いてあり添え木も真っ直ぐな板になっていた。自分が使った枝はなくなっていた。
「髪が……」
ボサボサだった髪がきれいに整えられて後ろに束ねられていた。
「視界が広い……」
髪に触れ、べたつかない事に驚いた。
「川まで運んだのか」
自分はけして軽くはないが、先ほど持ち上げられたので運ばれた事に驚きはなかった。
「やあ、起きたんだね」
トウは笑顔で魚を持ってきた。
「……」
身なりを整えられた自分を見て、改めてトウの神経を疑った。
普段から山を駆け回り動物と戦っているため筋肉はついている。しかし、栄養バランスが悪いため綺麗な筋肉はではない。更に泥と痣で汚れている。髪は伸び放題でありたまに川で洗う程度であるためべたついている。
そんな男の口の中に舌を入れ身体を舐めた。
「……」
思い出して恥ずかしくなった。
「ん?」トウが丸ごと棒に刺した焼き魚を持って隣に座った。「どう?」
「その、身体……、あ……、あり……がとう」
お礼を言うのが気恥ずかしく最後の方は聞こえないほど小さな声になった。
「どういたしまして」
トウは穏やかに笑うとじっと見つめて来た。恥ずかしくなり目をそらした。
「君、綺麗な顔しているんだね」
「――ッ」
村にいたら目立つほど整った顔をしている彼に言われると何と返していいかわかなかった。
そもそもずっと一人で生きてきため他者との関わり方がわからなかった。しかし、トウと一緒にいるのは嫌ではなかった。
『導者』だから彼が優しくしてくれるのはわかっている。その力がなくなったらすぐになくなる関係だ。理解しているが、心地良さが嬉しくて涙が出てきた。
「え……」トウは目を大きくした。「傷が痛む?」
「……だ、大丈夫」
傷は痛い。でも、この涙はそんな物のために流れたのではない。
首をふると、抱きしめられた。
トウの胸に耳が当たると心臓の音が聞こえた。規則正しいその音を聞くと気持ちが安らいだ。
「……動いてる」
「そりゃ、生きてるからね」
「……」トウが持っている焼き魚をみた。「さかな」
「あぁ、食べる?」
トウは隣に座り直しと魚を差し出した。
おずおずと魚を受けとるソレをじっとみた。
いつも川へ取りに行く『魚』と何も変わらないはずなのに、違って見えた。
いつもは……。
いつもは、川で泳いでいる魚を素手で捕まえるとその場でまるかじりした。その場で食べないとなくなる可能性がある。今日の様にたくさん捕れると持ち帰る事をこころみるが成功したことはない。
焼き魚を口に入れるといつもと違った味がした。
魚を特有の生臭い臭いもしない。
「……おいしい」自然と言葉が、出た。
「そう? 内蔵取って焼いただけだけど」
「……うん」
夢中で、食べているとトウは小さなカゴに入った赤い実を見せた。
「これも」
笑顔で差し出されると、迷いなくて手にして口に入れた。甘くてとても美味しかった。
「美味しい?」
トウの言葉に頷くと、夢中で魚と赤い実を食べた。
「……」
どんな怪我をしても今まで動けないなんて事はなかった。
「ん?」
麻の上にふんどしのままで、寝たはずなのに布の掛けられて、ふんどしが消えている事に気づいた。
裸にされた身体を見ると汚れは綺麗に落とされていた。自分で適当に添え木をした足には綺麗な布の巻いてあり添え木も真っ直ぐな板になっていた。自分が使った枝はなくなっていた。
「髪が……」
ボサボサだった髪がきれいに整えられて後ろに束ねられていた。
「視界が広い……」
髪に触れ、べたつかない事に驚いた。
「川まで運んだのか」
自分はけして軽くはないが、先ほど持ち上げられたので運ばれた事に驚きはなかった。
「やあ、起きたんだね」
トウは笑顔で魚を持ってきた。
「……」
身なりを整えられた自分を見て、改めてトウの神経を疑った。
普段から山を駆け回り動物と戦っているため筋肉はついている。しかし、栄養バランスが悪いため綺麗な筋肉はではない。更に泥と痣で汚れている。髪は伸び放題でありたまに川で洗う程度であるためべたついている。
そんな男の口の中に舌を入れ身体を舐めた。
「……」
思い出して恥ずかしくなった。
「ん?」トウが丸ごと棒に刺した焼き魚を持って隣に座った。「どう?」
「その、身体……、あ……、あり……がとう」
お礼を言うのが気恥ずかしく最後の方は聞こえないほど小さな声になった。
「どういたしまして」
トウは穏やかに笑うとじっと見つめて来た。恥ずかしくなり目をそらした。
「君、綺麗な顔しているんだね」
「――ッ」
村にいたら目立つほど整った顔をしている彼に言われると何と返していいかわかなかった。
そもそもずっと一人で生きてきため他者との関わり方がわからなかった。しかし、トウと一緒にいるのは嫌ではなかった。
『導者』だから彼が優しくしてくれるのはわかっている。その力がなくなったらすぐになくなる関係だ。理解しているが、心地良さが嬉しくて涙が出てきた。
「え……」トウは目を大きくした。「傷が痛む?」
「……だ、大丈夫」
傷は痛い。でも、この涙はそんな物のために流れたのではない。
首をふると、抱きしめられた。
トウの胸に耳が当たると心臓の音が聞こえた。規則正しいその音を聞くと気持ちが安らいだ。
「……動いてる」
「そりゃ、生きてるからね」
「……」トウが持っている焼き魚をみた。「さかな」
「あぁ、食べる?」
トウは隣に座り直しと魚を差し出した。
おずおずと魚を受けとるソレをじっとみた。
いつも川へ取りに行く『魚』と何も変わらないはずなのに、違って見えた。
いつもは……。
いつもは、川で泳いでいる魚を素手で捕まえるとその場でまるかじりした。その場で食べないとなくなる可能性がある。今日の様にたくさん捕れると持ち帰る事をこころみるが成功したことはない。
焼き魚を口に入れるといつもと違った味がした。
魚を特有の生臭い臭いもしない。
「……おいしい」自然と言葉が、出た。
「そう? 内蔵取って焼いただけだけど」
「……うん」
夢中で、食べているとトウは小さなカゴに入った赤い実を見せた。
「これも」
笑顔で差し出されると、迷いなくて手にして口に入れた。甘くてとても美味しかった。
「美味しい?」
トウの言葉に頷くと、夢中で魚と赤い実を食べた。
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