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『鬼』と呼んでいた彼らが人の子だと聞かされ不思議な気持ちになった。人の子ならば親がいる。
「番人の親はなんて……?」
自分の様に死別した可能性もあるが、番人が多くいるなら全ての人がそうではない。鬼城へ送るのを拒否する親がいるだろう。
「親ねぇ」トウは鼻で笑った。「僕らは普通より五感がすぐれ力も強い。そしてそれを制御できないだよ」
トウの言わんとする事はわかった。
「更にね。鬼城は番人を受け取る代わりに多くの金を生んだ人間に渡すだよ」
親に捨てられて人形の様に扱われる番人。穏やかな表情をしているトウを見るとその生活が悲惨な様には思えなかった。
「僕は逃げてきたんだ。そしたら案の所限界がきてさ」
トウは肩をすくめると顔をすり寄せてきた。
「死を覚悟してたけどさ。君に会えた」
「俺が導者だから」
自覚はなかった。しかし、蹲っているトウに触れた時、負の感情が流れてきては消えたのは良く覚えている。
「そうだね。自覚症状はないよね。だから発見するのも困難なんだ。ほんとに僕は幸せ者だ」
求められる理由はわかった。先ほど彼が『生きていけない』と言ったのが比喩でない事はわかった。
疫病神や不幸の象徴として扱われた自分が誰かのためになるのが嬉しかった。
「わかった。側にいる。けど、俺……本当に何も」と言った所で腹の虫がなった。
「まずは、ごはんだね。うん。僕見つけてくるよ」
トウはあっという間に、いなくなってしまった。
彼が触れていた背中が一気に冷え寂しさを感じた。
「……トウ」
会って一刻も立っていないのに、恋しく思う自分が不思議であった。
一人きりにされた部屋がひどく広く感じた。殴られ踏まれ青くなった身体が痛み出した。更に折れた足も痛む。
「うぅ……」声が漏れた。
今でなかったモノが現れてきて動揺し、地面と大差ない床に敷いてある麻の上に転がった。
次第に頭がボーっとしてきて視界がぼやけてきた。
「番人の親はなんて……?」
自分の様に死別した可能性もあるが、番人が多くいるなら全ての人がそうではない。鬼城へ送るのを拒否する親がいるだろう。
「親ねぇ」トウは鼻で笑った。「僕らは普通より五感がすぐれ力も強い。そしてそれを制御できないだよ」
トウの言わんとする事はわかった。
「更にね。鬼城は番人を受け取る代わりに多くの金を生んだ人間に渡すだよ」
親に捨てられて人形の様に扱われる番人。穏やかな表情をしているトウを見るとその生活が悲惨な様には思えなかった。
「僕は逃げてきたんだ。そしたら案の所限界がきてさ」
トウは肩をすくめると顔をすり寄せてきた。
「死を覚悟してたけどさ。君に会えた」
「俺が導者だから」
自覚はなかった。しかし、蹲っているトウに触れた時、負の感情が流れてきては消えたのは良く覚えている。
「そうだね。自覚症状はないよね。だから発見するのも困難なんだ。ほんとに僕は幸せ者だ」
求められる理由はわかった。先ほど彼が『生きていけない』と言ったのが比喩でない事はわかった。
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「わかった。側にいる。けど、俺……本当に何も」と言った所で腹の虫がなった。
「まずは、ごはんだね。うん。僕見つけてくるよ」
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「……トウ」
会って一刻も立っていないのに、恋しく思う自分が不思議であった。
一人きりにされた部屋がひどく広く感じた。殴られ踏まれ青くなった身体が痛み出した。更に折れた足も痛む。
「うぅ……」声が漏れた。
今でなかったモノが現れてきて動揺し、地面と大差ない床に敷いてある麻の上に転がった。
次第に頭がボーっとしてきて視界がぼやけてきた。
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