特殊部隊員《別名家政婦部隊》エリー参ります!

羽兎里

文字の大きさ
14 / 15

休憩です

しおりを挟む
リヴィンさんのご家族、つまりベルトムート侯爵さん及び
ご家族から使用人の人まで、私は大そう感謝されました。
王女歓迎の宴の間に、一体何が有った!と大騒ぎされましたが、
単に足を治療をしただけです。
まぁ訓練の一環の練習台にしてもらいました、すいません。
今まで何人もの医者に見せたが、誰一人として治せなかったのに、
こんな小さな子供が短時間で治してしまうとは……と驚かれました。
この国の医者とは、どういう方なんでしょうか。

「ジュエリさん、もし宜しければ
このまま我が家に留まっていただけないだろうか。」

そう侯爵様にお誘いを受けたけど、
当然却下です……ね。
隊長が物凄い形相で断っています。

「ねぇお姉さま、これは私の意志は関係ないのでしょうか。」

「そうねぇ、あなたの気持ちが一番尊重される筈だけど、
この様子では多分無理ね。」

ルビーお姉さまが隊長を見ながらそう言う。
まあここにいる全員が成り行きを注目していて、
ほぼ全ての人がそう思ってるんじゃないかな。

「それに私達もエリーちゃんが隊からいなくなると、とても寂しいわ。
でも、エリーちゃんはどう思っているの?
ここに再就職したい?
もしそうならば、私達は反対はしないけど。」

エリーちゃんがここに残るなんて爆弾宣言をかましたら、
隊長の出方が見ものだろうな。
クスッと笑いながら、お姉様は呟く。
でも、私にはその気は有りませんよ。
こんなにやりがいのある職業はほかに有りません。
メイドは天職と思っていますから。

取り合えずベルトムート侯爵は私の勧誘は諦めてくれたようで、
私達の出立の時、大した物が用意できませんでしたが。
そう言いながらも、沢山のお土産と、
どうぞお役立て下さいと、一つの袋を差し出した。

「やったわねエリーちゃん。」

お姉様がとても楽しそうだ。
どうやらその中身は金貨のようです。

「多分手数料を引いた残りは、エリーちゃんの臨時収入になると思うわよ。」

そう教えて貰ったけど、手数料がいくらになるか分からないから、
ぬか喜びにならないよう、期待するのは止めよう。



さて今日も今日とて、私は馬車の中で王女様の着せ替え人形になっております。
今日のチョイスは、薄い水色のフリルたっぷりのドレス。
いつの間にか魔法でふわふわに整えられた私の黒髪には、
花が無数に飾られています。
すぐに萎れる生花がいつまでも綺麗なのは、
きっとこれにも魔法が掛けられているんでしょう。
何と無駄な魔力の大盤振る舞い。
私なんかを着飾って何が楽しいのでしょう。

「ん~~エリーちゃん可愛い!何て愛らしいの!」

王女様がギュウギュウと私を拘束します。
分かりましたから、一応そう言う事にしますから、
その腕の力を抜いて下さい、お願いします。


やがて馬車は本日一か所目の休憩地に着きました。
にぎやかな広場に面した貴族の屋敷です。
きらびやかな内装と家具、掃除も行き届いているみたいですね。
でも私の趣味では有りません。
私はもう少し素朴で、自分が気に入った物が有れば十分です。
うさぴょんとかね。

王女様や隊長さん達は、もてなされる為に中に通されました。。
その間私達は待機です。
私は広い庭の一画に次陣取りました。
人が行きかう広場に面した柵沿いです。

「いいなー、楽しそうだなー。」

つい興味がわき、広場をじっと眺めます。
すると広場の端っこにスイーツの店が有るのを見止めました。

「スイーツ……。」

いや、自分も持っていますよ。
お気に入りのお菓子を収納に入れてあります。
でも、ご当地ならではの物ってあるじゃないですか。
珍しくて美味しいって物かもしれないでしょ?

「確かここでの滞在は30分強、
あそこまでダッシュして帰ってくれば、皆で食べる時間は十分あるわ。」

そう思って私はさっそくここを抜け出す事にした。


「おばさん、ここにあるお菓子、全部3つづつ包んで下さい。」

出店には色とりどりのマカロンが、たくさん並んでいた。
みんな美味しそうで、とてもじゃないけど選べない。

「まあそんなに、お嬢様お腹を壊さないようにしてくださいね。」

お嬢様?
わぁお、私はお人形姿のまま、ここまで突っ走ってきたんですね。
これは何ともはしたない。
それでも私は代金を払った財布と共に、
収納に沢山のマカロンをしまい込んだ。

「お姉さま達、喜んでくれるかなぁ。」

そう思いながら、スキップしながら、ルンルンと屋敷へ戻る。
と、突然大きな手が私の行く手を阻んだ。

「大人しくしろ、さもなくばぶっ殺すぞ。」

どすのきいた低い声が、私をそう脅す。
えっと、武器は携帯しているし、反撃しても大丈夫だと思うけど、
ここには人が多すぎる。
町の人を巻き込むわけにはいかない。
お茶のお礼に、この町のごみを一つ片付けてもいいですよね。
タイムリミットは20分。
うん、何とかなるかな。

私はその男に言うがままに付いて行く事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...