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7章 アレクシアと魔瘴の森

この森で一番強い魔物は?

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ルシアードと別れたアレクシアは森の奥へとひたすら歩いていた。何故かゼストも一緒についてくるが、アレクシアは何も言わない。アレクシアの後ろをよちよち歩いている五匹とパタパタ飛んでいるウロボロス。

「ウロボロス、この森で一番強い魔物は何でしゅか?」

『俺だ……が、おい何だその目は!ゼスト殿も!』

アレクシアとゼストは獲物を見るような目でウロボロスを見ていた。五匹も次は誰が変身するか相談し始めた。

「冗談でしゅよ~」

『あの目は冗談じゃなかったぞ!』

ぷんすか怒るウロボロスを皆で宥めていると、またもや近くで爆発音が聞こえてきた。

「今度は誰でしゅか!」

アレクシアが音のする方へ行くと、そこには魔国国王デズモンドが巨大な魔地竜を倒している瞬間だった。

「うぅ…またもや化物が登場でしゅね!うぅ…強い魔物がどんどん倒されていきましゅ~」

全長十メートルはある魔地竜の屍を見て頭を抱えるアレクシア。

『『『『『変身が~』』』』』

別の意味で頭を抱える五匹達。

「おい、どうしたんだ?頭が痛いのか?」

頭を抱えるアレクシアを健気にも心配するデズモンド。

「デズモンド!シアは負けましぇんよ!ウオーーー!でしゅ。」

アレクシアの後ろに炎が見える一同。

「俺も負けられないな。お前との時間がかかっているからな。」

お互いに不敵な笑みを浮かべて見つめ合うアレクシアとデズモンドだが、それが面白くないゼストが間に割って入る。

「はい、そこまでだ!見つめ合うな!いいか、アレクシア?こう言う時に金を払えと言うんだぞ!」

「はっ!そうでしゅね!」

「どんな親子の会話だ」

そんな二人を見て呆れているデズモンド。

『ねぇ~主しゃま、我も変身って言いたいでしゅよ~!』

白玉がコロコロ転がりアピールする。すると他の四匹もコロコロ転がり始めて、次第にそれが遊びになっていき楽しみ始めた五匹。そんな可愛いもふもふを微笑ましく見ていたアレクシアだが、ふと思い出したかのようによちよちと魔地竜の元へ歩いていく。

「ふむ。綺麗なので高値で売れましゅね……ククク!」

「お前は何処の守銭奴だ」

デズモンドは横から魔地竜を収納してしまう。

「ふん!よし、行きましゅよ!」

『『『『『おーー!』』』』』

アレクシアはデズモンドと別れ、気を取り直して元気良く前に進んでいく。五匹も尻尾をフリフリしながら、よちよちと付いてくる。その後ろからゼストとウロボロスも続く。

『おい、この先に魔ヒュドラの棲みかがあるぞ!あいつらは弱いくせに俺に喧嘩を売ってきたんだ』

ウロボロスが苦々しい顔でアレクシアに言う。

「この森で一番でしゅか?」

キラキラした瞳でウロボロスに聞いているアレクシア。

「ああ、俺の次に強いのはあいつらだな。ただ昔あまりにもヤンチャだったから少しシメたんだ。それからは向かって来なくなったな!」

「何でしゅか、その不良同士の喧嘩は!青春でしゅか!」

どや顔で言うウロボロスに突っ込むアレクシア。

「おい、魔力で気付かれると面倒だ。気配を消しておけ?」

ゼストがそう指示すると頷く一同。少し進むと目の前に深そうな大きな洞窟が見えてきた。

「ここでしゅか?」

アレクシアの問いかけに頷くウロボロス。暗い洞窟に一歩足を踏み入れた時だった。物凄い爆発音と共に洞窟内から此方に何かがやって来る気配がして、アレクシア達は横に急いで逃げる。

すると砂埃をたてながら巨体が洞窟内から出てきた。それは紛れもなく魔ヒュドラで何故か血塗れだ。そんな魔ヒュドラを嬉々として追いかけて来たのは魔国王妃であるステラであった。

『何だこの魔族は!化物か!』

魔ヒュドラの九つある頭の一つが叫んでいる。

「ふん!化物に言われたくないわよ!」

『兄ちゃん、オイラ達死んじゃうの?』

一番端にある頭が泣いている。

『大丈夫だ!兄ちゃんがやっつけるからな!』

先程の頭が泣いている頭を励ましている。

『死んだ母ちゃんに会えるな……』

『俺達はただ寝てただけだぞ!』

『うわーーん!にーに~!怖いよ~!痛いよ~!』

他の頭も各々叫んでいる。それを見ていたアレクシアがステラを制して大声で言った。

「いや、倒しづらいでしゅよーー!」


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