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乙女心で伝わった
しおりを挟む「布を厚紙に?」
「はい、ボンドを薄めたのでペタっと。お手軽だけど意外にオシャレな仕上がりになるんですよ」
「それならたしかに器用でなくても出来そうね。でもどうして?細かい作業が苦手なら別に自分で作らなくてもいいんじゃなぁい?」
簡単な作業工程に関心しつつも首を傾げたエイヴェリーへの答えにつまる。
あまりエミリアの事情を勝手に話すのも気がひけるし……。
「それは……あれです。乙女心の関係で」
「「なるほど」」
苦し紛れで放った一言は深く納得された。
マーガレットだけでなく、エイヴェリーまで「それは仕方ないわ」とばかりにうんうんと頷いている。
「そういうことならいくらでもどうぞ。もっと可愛いのもあるわよ。……男の子に贈るならシックな方がいいかしら?リボンなんかも色々あるのよ」
「青系とか、黒系とかもあっちにあったわよね。ちょっととってくるわ」
そんでもって理解がめちゃくちゃ早いです。
乙女心の一言で、どうやら男の子あてのプレゼントだと見抜いたらしく追加の素材をたくさん出してくれた。
「ありがとうございます。……でもちょっと多すぎでは?」
どっさり、まさにその表現が相応しい端切れの山にちょっとたじろぐ。
「端切れならたくさんあるもの。好きなだけもっていってね」
「そうよぉ。捨てちゃうのももったいないもの」
「捨てちゃうんですか?」
びっくりして目を見開く。
上流階級に大人気の一流店だけあって、端切れといっても立派な生地ばかりだから余計に驚く。
だけどマーガレットは肩を竦めた。
「小物なんかに使える生地はそうでもないんだけどね。さすがにこーんなに小さいと使い道がないもの」
そういってマーガレットが手に取ったのは5cm四方ぐらいの小さな端切れ。
細かいシワが入って、ちりめん生地にも似たそれに思わず口をついた。
「つまみ細工とかならいけそう」
「「つまみ細工?」」
「正方形の生地をピンセットでつまんで折りたたんで加工していくんです。一つのパーツは1cm四方とか2cm四方とかでもできるし、この生地だけじゃムリでも似た生地があれば出来そうだなって」
「詳しく聞いてもいいかしら?」
伸ばされた腕にがっちりと手を掴まれた。
目の前の布の山をエイヴェリーの方へと押しやり、身を乗り出してクラレンスの両手を掴んだあまりの早業に目をぱちくり。
キラーン☆と効果音が浮かびそうに輝く瞳。
どちらかというと落ち着いた印象のあるマーガレットの表情がらんらんと光っている。
「あらぁ。食いつかれちゃったわね」
「…………」
…………やっぱりですか?
瞳を輝かせ、詳しく!!と求めてくる姿にエリックを思い出す。
これは詳しく説明するまで逃してくれないやつだ。
「この子は普段は大人しいんだけどね、服飾とか興味のあることになるとテンションが激変するのよ。まぁ、その情熱があれだけの腕を生み出したんでしょうけど。ってことで諦めてね」
追い打ちをかけるようにエイヴェリーからウインクと諦めろ宣言が飛んだ。
「それに正直、アタシもちょっと気になるわ」
「つまんだ布をどう加工するのかしら?どんな出来になるの?」
「えっと……実際にやってみた方がいいですか?」
……秒で材料と道具が用意された。
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