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あれからパーチェス達一行に街中にある一際おおきな大聖堂に連れて行かれた

ステンドグラスの見事な教会で女神像に祈りを捧げるらしく、みんなでお祈りをする

暫くすると、お爺ちゃんくらいの年齢の神父様がきて、聖書を読み上げはじめた

流れる不思議な静かな音楽に目を閉じる

「神父様、この者の呪いを解いていただけないでしょうか?」

「む、これはいかん!オバケ百足達の呪いにかかっておる!つきましては当教会に寄付をお願いしたいのですが!」

お爺ちゃん神父はネロを見るなり叫ぶが、寄付という単語に胡散臭さを感じて、パーチェスとじとりと見てしまう

「いかほどでしょうか?」

パーチェスが恐る恐る聞いてくれる

無償ではないのかと、肩を落とした

神父は掌を見せてゆっくりと頷く

「5億ペンス頂きます」

「なっ!?あまりに法外ではないですか!?」

価格帯は解らないが、パーチェスの声色からめちゃくちゃぼったくろうとしているのはわかる

パーチェスの焦ったような語気を荒げた言葉にお爺ちゃん神父はひょいと眉をあげる

「では他所でどうぞ」

「そんな大金、支払える人がいるのか!?弱者を救うのが神ではないのか!?」

「神は弱者を救うとは言っていませんよ?」

にこにこと人好きする笑顔を浮かべたまましれーっと宣う神父に、ぐっとパーチェスが言葉を飲み込む

「この呪い、一体からじゃないからよっぽど強い祈りしか解呪が出来ない。パートナーだけじゃなく子供達も殺してパートナーを仕留めなかったから、こんな事になる。お金かけたくないなら、軽い祈りなら無料でしてくれる教会もあるから、まめに通うといい。あなたに神のご加護があらんことを」

額を突かれると、ポップアップが表示されて、この神父が祈りをかけてくれたのがわかる

悪い人ではないらしい

しかし、祈りだけでは、特に変化はなかった

「ダメかぁ…クロ、病院に行ってみるか?せめて声帯だけでも治さな不便やろ?」

肩を落としたクーに頷くと、グリフォンとパーチェスは不満そうだったが、もう教会で出来ることはない

教会を後にして、向かいの魔導総合病院に行く

受付もRPGらしく、魔導士の格好をしたお姉さんやおじさん達が忙しく走り回っていた

筋肉むきむきのクー達に連れられて、ギルドを先に登録してから病院に行くと、医療費が免除されるから、ギルド登録を先にすることになった

ギルドの測定器ですら百足達の呪いを突破できず、クロの名前とあとは不明のカードを手渡され、クー達はギルド報告の為そのまま残り、パーチェスが病院についてきてくれた

ギルドカードそれを病院で手渡すとパーチェスが付き添いで先生に何があったか説明してくれた

先生は杖をネロの体のあちこちに当てて、喉に杖を当てると、あまりの痛みにのたうち回るネロを押さえつけて、何か呪文みたいなのを唱えていた

それのおかげかわからないが、あとか、う、とかん、とか単語にならない声は出るようになったが、それ以上は治らなかった

みんなで泊まっている宿に帰る途中、パーチェスが、ご飯食べて行こうって酒場に入っていくので後ろをついていく

銀髪の流れる髪にすらりとしたパーチェスは美人だ

しかし、酒場に着くなり豪快にジョッキのビールを煽りだした

ネロは大人しく運ばれてきたミカンぽいジュースを啜る

運ばれてくる餡のかかった魚や肉は、どれも歯触りや舌触りが良く美味かった

夢中になって食べていると視線を感じたので顔を上げるとパーチェスが憂いの顔でネロの傷痕を撫でた

「やはり高等魔術で治したのにこれだから、少し良くなるくらいしか出来なかったね…ネロ、これは3人で話し合ったのだが、良かったらだけれど、私たちと一緒に旅をしないか?これでは生きていくのも大変だ…初めは荷物整理とか、そんなのでいいから…」

パーチェスの言葉に迷う。ミネルバを待つと約束してしまったので、あの場所に帰らないといけないと逡巡する

迷っていると奥で飲んでいた、いかつい男と目が合う

冒険者らしい巨大を揺すりながら、パーチェスを好色の目で見ていた

「おい、こんな化け物放っておいて、こっちで飲まないか?あんた綺麗だ…」

その言葉にハッとなる。今、自分はどんな容貌なのか

震える手で、鈍色に光るスプーンを覗きこむ

「触るな、放っておけ。クロ、気にするな」

スプーンにぐにゃりと映った自分は、唇が引き攣り、鼻がなく、右目も傷跡で捲れていた

「………ひっ!うぅ…あ…」

短い悲鳴を上げ顔を手で覆うネロをパーチェスは痛ましそうに見ている

こんな姿、ミネルバに見られたくない

ドキドキと心臓が早鐘を打つ

ぼろぼろと泣くネロにパーチェスは大男を睨み、ぼかりと殴って、しっしっと追い払ってくれた

「クロ、旅をしていたら色んな人に会う。君の呪いを解いてくれたり、傷跡も治せる人もいる。一緒に行かないか?」

優しいパーチェスの言葉に縋り付くように頷く
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