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夫婦は只今別居中!
9.帰宅
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シーファスに抱かれてうっかりそのまま寝入ってしまった俺は、夜中にシーファスの腕の中で目が覚めた。
時刻は既に2時を回ってしまっている。
(ヤバッ!)
侍女達には今日もいつも通り声を掛けて出てきただけだから、何かあったのかもと絶対に心配されているはず。
ここはなんとかいち早く抜け出して、一刻も早く屋敷へと帰らないといけない。
そう思いそっとシーファスを窺うと、気持ちよさそうにスヤスヤ眠っていた。
どうやら特に事情を説明することなく、このまま起こさず抜け出せそうだ。
(そ~っと、そ~っと…)
極自然に寝返りを打つ要領で腕の中から抜け出し、手早く衣服を着て部屋を出た。
身体の奥から何かがトロリとこぼれ出た気がするけどきっと気のせいだ!
でも────やっぱり後でトイレだけは行っておこう。
(はぁ…シャワー浴びてから寝ればよかった)
とは言えソコに指を突っ込む勇気はないから、きっと結果は今と同じだっただろう。
もう諦めて、しっかりソコを締めながら帰ろうと思う。
「ただいま~」
こっそり屋敷に戻り、ソロソロと部屋に戻ると侍女が『ご無事でよかったです!』と言いながら待っててくれた。
どうやら俺がちっとも帰ってこないため、二人で交代で寝ながら夜通し待機してくれるつもりだった様子。
本当に申し訳なかった。
だから素直に謝ったのだが────。
「それで?どこの誰がラインハルト様を手籠めにしたんです?」
謝罪したところでいきなりズバッとそう尋ねられて飛び上がってしまった。
「なんでバレたんだろうって顔してますけど、そんなに青臭い匂いをぷんぷんさせてたら誰だってわかりますよ!取り敢えずシャワーを浴びてきてください!」
頭に角が生えてるんじゃないかって勢いでそう言われ、気圧された俺は急いでシャワーを浴びに行き、その後気づけば洗いざらい全部白状させられてしまっていた。
相手は俺の旦那で、こちらの事情は何も知らぬまま現在冒険者の先輩として俺の面倒を見てくれていること。
妻とは白い結婚だからその内離婚予定と言って憚らないこと。
昨夜は昇格の御礼に料理を作った流れでなんとなくキスしてしまい、そのまま抱かれたこと等々。
侍女はそれを聞き、呆れたように『馬鹿ですか?』なんて言ってきた。
「軽率すぎます!」
「その…確かに軽率だったかもしれないけど、書類上は夫婦だし、問題はないかなって思って…」
だからつい言い訳がましくそんなことを口にしたんだけど、そこで俺が気づいてなかった点を指摘されてしまうことに。
「はぁ…。いいですか?ラインハルト様。シーファス様は白い結婚で離縁されようとなさってるんですよね?」
「うん。そう言ってたと思う」
確かにそう言っていたから間違いはない。
だから素直に頷いたんだけど、呆れたように指摘を受けた。
「これじゃあ白い結婚は成り立ちませんよ?!どうなさるおつもりですか!」
「…………あ」
「あ、じゃありませんよ、あ、じゃ!」
何考えてるんだと小声なのに怒鳴られて、俺はしおしおと身を縮めることしかできない。
「こうなったら早めに事情をお話して、きちんとご対応いただいた方がいいと思います」
そして侍女はそんなことを言ってきた。
もうさっさと事情を話して、離縁など考えず本当の夫婦になってしまえと言いたいんだろう。
書類上とは言え夫婦なんだから、寝たなら寝たでここできちんとすべき。
それはその通りだと思うし、そう言いたくなる気持ちもわかる。
でも……。
「……騙したのかって嫌われて、そのまま距離を置かれそうで嫌だ」
そう。それが俺は一番嫌だった。
これで本当に本格的に別居婚になったら凄く悲しい。
シーファスとは一緒に居て楽しいし、色々教えてもらえるから勉強にもなる。
尊敬すべき先輩だし、遊びでもいいからまた抱かれたいとも思った。
そんな浅ましい自分に侍女は大きく溜息を吐く。
「本当にどうしようもないほどお馬鹿ですね」
暗に最初から放置してくるような男にそこまで惚れ込むなんてと言われて、俺は恐縮せざるを得なかった。
「ですがここは心を鬼にして言わせていただきます」
そして俺の気持ちを汲んだ上で侍女はビシッと俺へと指を突きつけ、自論を口にする。
「甘ったれるのもいい加減にしてくださいませ!押し付けられたとはいえ、結婚までしたいい大人が情けない!ラインハルト様はご自分の操を軽く考えすぎです!」
「へ?!」
(あれ?そんな話だったっけ?)
「花嫁をほったらかしにして浮気に走るクソ旦那に、私が直接引導突きつけてやりますわ!」
侍女(今更だけどこっちの侍女はサフランで、今仮眠取ってる方がフリージア)は憤りも露わにそんなことを言い出した。
「浮気?!いやいやいや?!俺がOKしたからこうなっただけで…!」
「いいえ。誘ったのは向こうの方なのでしょう?何も知らない現状でそれをやらかしたということは立派な浮気です!ラインハルト様がシーファス様に伝えずズルズル関係を続けるということはそういうことなのだとご理解ください」
その言葉がグサッと俺へと突き刺さる。
強烈な一撃だ。
「兎に角、手を打つなら早い方がいいと思います。貴方が言えないなら私から言いましょう。『一度家に帰れ』と何度でも諦めずに促して、何が何でもシーファス様をここに連れてきてください。いいですね?」
矢鱈とドスの利いた声で言うくせに、顔は笑顔だから滅茶苦茶怖い。
俺がフルリと震えながら小さく頷くと満足げにしてたけど、俺にできるかな?
「一応言うだけ言ってみるけど、多分無理だと思う」
「そこを何が何でもやり遂げるのが身体を許してしまったラインハルト様に課せられた義務なのです。どうぞ頑張ってくださいませ」
その言葉にガックリ肩を落とし、俺は明日からのことを思いながら憂鬱な気持ちで溜息を吐いたのだった。
時刻は既に2時を回ってしまっている。
(ヤバッ!)
侍女達には今日もいつも通り声を掛けて出てきただけだから、何かあったのかもと絶対に心配されているはず。
ここはなんとかいち早く抜け出して、一刻も早く屋敷へと帰らないといけない。
そう思いそっとシーファスを窺うと、気持ちよさそうにスヤスヤ眠っていた。
どうやら特に事情を説明することなく、このまま起こさず抜け出せそうだ。
(そ~っと、そ~っと…)
極自然に寝返りを打つ要領で腕の中から抜け出し、手早く衣服を着て部屋を出た。
身体の奥から何かがトロリとこぼれ出た気がするけどきっと気のせいだ!
でも────やっぱり後でトイレだけは行っておこう。
(はぁ…シャワー浴びてから寝ればよかった)
とは言えソコに指を突っ込む勇気はないから、きっと結果は今と同じだっただろう。
もう諦めて、しっかりソコを締めながら帰ろうと思う。
「ただいま~」
こっそり屋敷に戻り、ソロソロと部屋に戻ると侍女が『ご無事でよかったです!』と言いながら待っててくれた。
どうやら俺がちっとも帰ってこないため、二人で交代で寝ながら夜通し待機してくれるつもりだった様子。
本当に申し訳なかった。
だから素直に謝ったのだが────。
「それで?どこの誰がラインハルト様を手籠めにしたんです?」
謝罪したところでいきなりズバッとそう尋ねられて飛び上がってしまった。
「なんでバレたんだろうって顔してますけど、そんなに青臭い匂いをぷんぷんさせてたら誰だってわかりますよ!取り敢えずシャワーを浴びてきてください!」
頭に角が生えてるんじゃないかって勢いでそう言われ、気圧された俺は急いでシャワーを浴びに行き、その後気づけば洗いざらい全部白状させられてしまっていた。
相手は俺の旦那で、こちらの事情は何も知らぬまま現在冒険者の先輩として俺の面倒を見てくれていること。
妻とは白い結婚だからその内離婚予定と言って憚らないこと。
昨夜は昇格の御礼に料理を作った流れでなんとなくキスしてしまい、そのまま抱かれたこと等々。
侍女はそれを聞き、呆れたように『馬鹿ですか?』なんて言ってきた。
「軽率すぎます!」
「その…確かに軽率だったかもしれないけど、書類上は夫婦だし、問題はないかなって思って…」
だからつい言い訳がましくそんなことを口にしたんだけど、そこで俺が気づいてなかった点を指摘されてしまうことに。
「はぁ…。いいですか?ラインハルト様。シーファス様は白い結婚で離縁されようとなさってるんですよね?」
「うん。そう言ってたと思う」
確かにそう言っていたから間違いはない。
だから素直に頷いたんだけど、呆れたように指摘を受けた。
「これじゃあ白い結婚は成り立ちませんよ?!どうなさるおつもりですか!」
「…………あ」
「あ、じゃありませんよ、あ、じゃ!」
何考えてるんだと小声なのに怒鳴られて、俺はしおしおと身を縮めることしかできない。
「こうなったら早めに事情をお話して、きちんとご対応いただいた方がいいと思います」
そして侍女はそんなことを言ってきた。
もうさっさと事情を話して、離縁など考えず本当の夫婦になってしまえと言いたいんだろう。
書類上とは言え夫婦なんだから、寝たなら寝たでここできちんとすべき。
それはその通りだと思うし、そう言いたくなる気持ちもわかる。
でも……。
「……騙したのかって嫌われて、そのまま距離を置かれそうで嫌だ」
そう。それが俺は一番嫌だった。
これで本当に本格的に別居婚になったら凄く悲しい。
シーファスとは一緒に居て楽しいし、色々教えてもらえるから勉強にもなる。
尊敬すべき先輩だし、遊びでもいいからまた抱かれたいとも思った。
そんな浅ましい自分に侍女は大きく溜息を吐く。
「本当にどうしようもないほどお馬鹿ですね」
暗に最初から放置してくるような男にそこまで惚れ込むなんてと言われて、俺は恐縮せざるを得なかった。
「ですがここは心を鬼にして言わせていただきます」
そして俺の気持ちを汲んだ上で侍女はビシッと俺へと指を突きつけ、自論を口にする。
「甘ったれるのもいい加減にしてくださいませ!押し付けられたとはいえ、結婚までしたいい大人が情けない!ラインハルト様はご自分の操を軽く考えすぎです!」
「へ?!」
(あれ?そんな話だったっけ?)
「花嫁をほったらかしにして浮気に走るクソ旦那に、私が直接引導突きつけてやりますわ!」
侍女(今更だけどこっちの侍女はサフランで、今仮眠取ってる方がフリージア)は憤りも露わにそんなことを言い出した。
「浮気?!いやいやいや?!俺がOKしたからこうなっただけで…!」
「いいえ。誘ったのは向こうの方なのでしょう?何も知らない現状でそれをやらかしたということは立派な浮気です!ラインハルト様がシーファス様に伝えずズルズル関係を続けるということはそういうことなのだとご理解ください」
その言葉がグサッと俺へと突き刺さる。
強烈な一撃だ。
「兎に角、手を打つなら早い方がいいと思います。貴方が言えないなら私から言いましょう。『一度家に帰れ』と何度でも諦めずに促して、何が何でもシーファス様をここに連れてきてください。いいですね?」
矢鱈とドスの利いた声で言うくせに、顔は笑顔だから滅茶苦茶怖い。
俺がフルリと震えながら小さく頷くと満足げにしてたけど、俺にできるかな?
「一応言うだけ言ってみるけど、多分無理だと思う」
「そこを何が何でもやり遂げるのが身体を許してしまったラインハルト様に課せられた義務なのです。どうぞ頑張ってくださいませ」
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