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第一部 アストラス編~王の落胤~
120.報復
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「こら!ロイド!」
「ん…?」
「起きろ!」
そんな声と共に意識が浮上する。
折角いい夢を見ていたのに……。
「寝ぼけすぎだ!」
「ん…クレイが口づけてくれたら起きる…」
正直あまり働かない頭でそう答えると、突然激しい口づけが降ってきて、濃厚な魔力が襲いかかってきた。
「んっ…んふぅ…ッ!」
ビクビクと身を震わせるとあっという間に目が覚めた。
「起きたか?」
「え?」
クレイがどこか怒ったように尋ねてきたので、きっと自分は何かしてしまったのだろう。
「全く!昨日そんなに飲んでいたか?」
そう言いながらそっと瞳を封印し直し水を差し出してくれたので、大人しくそれを受け取りそっと口をつける。
「もしかして…寝ぼけて何かしたか?」
「言うと思った!」
そしてクレイは大きく息を吐くと、呆れたように言ってきた。
どうやら朝からクレイの衣服を剥いでまさぐり倒し、首筋にキスマークをつけまくったらしい。
「…くそッ!覚えていない自分が腹立たしい!」
本気でそう思って悔しげに吐き出したのに、クレイは真っ赤になって怒ってくる。
「なっ…!寝ぼけていたから許したが、本気でやったら吹っ飛ばすぞ?!」
「仕方がないだろう…?昨日の口淫が気持ちよすぎたせいかお前を抱く夢を見てたんだから…」
「……ッ!」
「はぁ…悔しすぎる…」
ガックリと頭を抱えてしまった自分に、クレイとしてはあまり責める気持ちになれなかったのだろう。
「わかった!俺が悪かった!もうお前に二度とあんなことしないから、夢でも襲うな!」
照れ隠しからか、そんな風に言ってくれる。
「別にしてくれてもいいが?寧ろ積極的にしてほしい」
「……ッ!」
そこはしてもらえた方が嬉しいからそうやって促したが、どうやら相当恥ずかしかったらしくクレイはあっという間に寝台から脱出してしまった。
「もういい!」
「クレイ…そう怒るな」
「煩い!」
そんな風に寝室から出ると、今さっきのやり取りを聞いていたのであろう二人から生暖かい視線を向けられてしまった。
「ロイド…」
「報われないわね」
「煩いぞ。どうせお前達だって刺激的な夢を見たんじゃないのか?」
そう言ってやるとふいっと視線を逸らしたので図星だとわかってしまう。
「本当にクレイって罪作りよね…」
「全くだ」
はぁ…と皆でため息をついていると、クレイが真っ赤になりながら自分は悪くないと主張してきた。
「俺は何もしてないぞ?!」
罰ゲームをしただけなのにと言うクレイをからかいながら、少しでも皆でクレイの気持ちを逸らしていく。
今日は決戦の日だ。
朝から落ち込ませる気はない。
「ほら。そう怒るな」
「そうよ。はい、あ~ん」
「シリィ?!」
「あ、ごめんなさい。だってクレイ一昨日から食が進んでないから心配で…」
「う……」
バレてたかと言う顔をしたクレイに皆が楽しげに笑いながら匙を差し出していく。
「ほら。食べないと口に突っ込んじゃうわよ?」
「ああ…苦しげに喘ぐクレイも見てみたいな」
「ちょっとロイド!いちいち言うことがエロいわよ?!」
ギャイギャイと噛みついてくるリーネを流しながらクレイへと甘く微笑みかけた。
「本当のことだから仕方がない。ほらクレイ。私に可愛い顔を見せてくれ」
「誰が見せるか!自分でしっかり食べるから必要ない!」
そうやってちゃんと自分で食べ始めたクレイに、してやったりとロイドが笑う。
「本当にお前の扱いは簡単だな。ロックウェルがどうして頻繁に振り回されるのかがわからない」
百戦錬磨のくせにと言ったロイドにリーネはため息をついた。
「きっと変な先入観がない方がわかりやすいのよ」
ロックウェルは社交的だし、どうしても付き合った数が多いから恋愛において『こう言う時はこうなるだろう』と言うシチュエーションの基準が多いのだ。
クレイはそれを悉く踏み倒していくから『何故そうなる?!』となって、結果的に振り回される羽目になるのではないだろうか?
「なるほどな」
「女ったらしの弊害ね」
その言葉には妙に納得がいって、シリィまで思わずそんな風に呟いてしまう始末。
「そうは言っても、最近は随分落ち着いていたぞ?」
眷属達も随分アドバイスをしてくれたようで、最初の頃ほどすれ違うこともなくなっていたとクレイは主張した。
「今日…無事に取り戻せたらいいんだが…」
そこで憂うように俯いてしまったクレイに、シリィが慌てて喝を入れる。
「大丈夫よ!それに暫くあの3人は王宮に滞在するんでしょう?もし今日失敗してもまだチャンスはあるわ!気楽に行きましょう!」
「シリィ…」
「そうだぞクレイ。私としては毎日ロックウェルを言葉責めしてやりたいくらいだからな。今日失敗しても何の問題もない」
「ロイド…」
「ほら!しっかり食べて堂々と元気にロックウェル様の嫉妬を煽ってちょうだい!」
「リーネ…」
そうして皆の優しさに心から感謝して、クレイはそっと箸を進めたのだった。
***
「ロックウェル様…」
寝台の上でしどけなく横たわるフローリアにロックウェルは優しい笑みを浮かべた。
「フローリア。気分は?」
「とても幸せな朝ですわ」
「それは良かった」
そしてそっと手を取り朝食へと誘う。
昨夜ベッドの中でフローリアを快楽に沈めて聞き出したところによると、今回自分にかけられた魔法は混乱魔法と回復魔法を使った洗脳に近いものであると言うことがわかった。
道理でフローリアを恋人と思い込み、離れ難いとまで思ったわけだ。
何の面白味もない女に離れ難いと思うなど、自分でもおかしいと思ったのだ。
けれどそれを知った上で、この魔法がフローリア本人と彼女以上の高位の魔道士による者でしか解呪できないと言うのがよくわかった。
悔しいが自分も高位の魔道士とは言え、魔力的にはこの二人にはどうしても劣ってしまう。
自力でどうにかすると言うのは難しいだろう。
となると、アベルかフローリアを説得する以外に手はないのだが…。
「ロックウェル様…昨夜の事ですが…」
頬を染めながら自分を見つめてくるフローリアに艶やかに微笑み、そっと髪に口づける。
「貴女との結婚の件でしょう?」
「え…ええ…」
正直記憶がちゃんと戻るまでは思わせぶりに接する方がいいと判断し直し、昨夜は上手く回避しながら話をつけたのだ。
「昨日も言った通り、貴女との時間を大切に紡いでから判断させていただきたい」
「ですが…」
「こんなに魅力的な姫を高々二日しか堪能させず私にプロポーズの言葉を紡げと?」
「い、いいえ!」
「それならもっと深く貴女に魅了された時に、私の口から甘くプロポーズの言葉を送らせていただきたいのですが?」
この姫にならこれくらいの言葉が妥当だろうと思い口にすると、案の定ポゥッとのぼせ上り素直に頷いてくれる。
「はい…私、その日を楽しみにしておりますわ」
そんな姫の手に約束だとそっと口づければお仕舞いだ。
何と単純でつまらないのだろう…?
そうは思うがそんなものは綺麗に笑顔の下に隠し切る。
「今日は交流会も最終日。トルテッティの魔道士達の素晴らしさを私にも教えてください」
「ええ!きっとロックウェル様が気に入るお話ができる者もおりますわ。トルテッティはさまざまな白魔法の研究がされておりますし……」
嬉しそうに顔を輝かせ色々話す姫には申し訳ないが、正直あまり興味がない。
「そうそう。我が国で最近珍しい魔法ができたのはご存知でしょうか?トルテッティは白魔道士国家と言うだけあって黒魔道士の数は少ないでしょう?」
「そう聞いております」
最初は何となく聞き流していたが、一体どんな話だろうかとそこだけは何故かふと興味が湧いた。
「少ないとはいえ黒魔道士が全くいないと追跡等の調査に困ることもあるのです」
「それはそうでしょうね」
「ええ。でも肩身が狭いからかたまに逃げ出そうとする者もおりまして…長年の我が国の課題だったのです」
「ああ、黒魔道士は影渡りもできますから逃げられると厄介ですね」
何気なくそう返しただけだったのだが、フローリアはそうなのですとニコリと笑った。
「ですから影渡りをすると同時に拘束するという魔法をつい最近我々の国で編み出しまして、これによってグンと黒魔道士の確保が簡単になったのです」
「…ほぅ。それは非常に興味深いですね」
「ご興味がありますか?」
「ええ。この交流会で黒魔道士で魔法を開発している者がいたと耳に挟みましたが、白魔道士にもやはりそういう者がいるのですね」
「ええ。もちろんですわ。魔法の研究は日々進んでおりますし、ロックウェル様もきっとご興味が出てトルテッティを気に入って下さるはずです」
「そうですね。ちなみにその魔法を使える方は今回の交流会に参加はされているのですか?」
とても興味があるから詳しく話を聞いてみたいと申し出るとフローリアの顔がパッと輝く。
「もちろんです!すぐにでも参りましょう」
「ありがとうございます」
そして二人で仲良く並び立ち、そっと支度を整え広間へと足を向けた。
***
ロックウェルがその魔法についてちょうど話を聞き終えたところで、遠目にアベルと接触するクレイ達の姿が見えた。
シュバルツも一緒だ。
何やら不穏な空気を感じる。
「とても興味深いお話をありがとうございました」
「いいえ。トルテッティの魔法も日々進歩しておりますので、こうしてご興味を持っていただけて嬉しゅうございます」
そうしてにこやかに話を終え、ロックウェルは笑顔で自然に踵を返しその場を後にした。
「あ、ロックウェル様?!」
フローリアが慌てて追いかけてくるのでそっと手を取り、一緒にアベル達に挨拶に行こうと誘いを掛ける。
「……はい。是非」
二つ返事ではにかみながら頷く姫を流れる動作で誘導し、速やかにそちらへと向かった自分にあちらも気が付いたようだ。
「ロックウェル。今日も仲睦まじいようで何よりだ」
そんな風に口にしたアベルにフローリアが恥ずかしげに頬を染める。
「もうっ…お兄様ったら…恥ずかしいですわ」
「お似合いだと言っただけだろう?」
アベルからのそんな言葉と同時にフローリアがそっと腕に抱きつき、こちらをうっとりと見上げてきた。
「ロックウェル様。お似合いと言われてしまいましたわ」
「光栄です」
正直クレイの前であまり甘いセリフは言いたくない。
勘違いされては面倒だ。
そう思ってそっとそちらへと視線を向けたのだが、その首筋にある複数の赤い跡を見て大きく目を見開いてしまう。
(あれは…………!)
思わず憎々しげに隣に立つロイドへと目を向けると、すぐさま気づいて不敵な笑みを浮かべられた。
しかもそれどころかそっとクレイの肩を抱き、最早自分の物だと言わんばかりにこちらを見てくる。
そんな姿にブルブルと震えてしまう自分がいた。
「ロックウェル様?」
それにはさすがにフローリアもおかしいと思ったのかそっと顔色を窺ってくる。
「あ…いえ何もありません」
ハッと我に返りすぐさまそう答えるが、正直怒りが爆発しそうだった。
こんなものを見せられて、二人が何もないなどと信じられるはずがない。
「クレイ…それで?トルテッティに来る気になったか?」
「…断るに決まっている」
アベルの誘いにクレイはきっぱりと言い切った。
「ロックウェルよりもそこのロイドと言う魔道士を取るということか?」
そんな言葉がいちいち胸へと突き刺さる。
違うと言ってほしいと心が悲鳴を上げるがクレイはその問いに答えようとはしなかった。
「…まさか昨日の今日でそんなに見せつけるようにその男のものだと主張してくるとはな」
「煩い…!」
そこで何か言おうとするクレイの口をそっとロイドが塞ぎにかかる。
「クレイ。挑発に乗るなと言っただろう?もう忘れたのか?」
「ロイド…」
「これはお前が昨夜私に奉仕してくれたお返しだろう?甘んじて受け入れてくれ」
「う…。それは確かに俺のせいだが……」
「今夜も楽しみだな」
「またやるのか?」
「もちろんだ。お前との甘い夜はクセになりそうだしな」
「お前は…相変わらずだな」
「そんなところが好きなくせに」
「……まあな」
そうしてクスリと笑い、そっと二人が甘く口づけ合うのを見て頭が真っ白になってしまった。
信じない…信じたくない…絶対に嘘だ────!!
絶望感に襲われて、そう思うと同時に魔力が暴走しそうになるのを感じ思わずその場へと蹲る。
それと同時にロイドが動きすぐさま自分の周辺へと結界魔法が張り巡らされるのを感じた。
周囲への影響を与えないためだろう。
けれどそれさえも不快でしかなかった。
あの男を殺してやりたいと初めて思った。
ギラリと睨み付けるとロイドは心底楽しそうに言葉を紡いでくる。
「クッ…。いい様だなロックウェル」
「煩い!!」
「そんなにクレイを取られて悔しいか?」
「黙れ!!」
「そこまで好きなら取り返してみればいいだろうに」
「言われなくても絶対に取り戻す!!」
そこまで言ったところでロイドが何やら合図を送り、シュバルツがその魔法を口にした。
『解呪!!』
その行動はアベルとフローリアには予想外の事だったらしく、驚きに目を見開いている。
「シュバルツ?!」
けれど止める間もなくその解呪魔法が自分を包み込み、それと同時に一気に記憶の奔流が押し寄せた。
ずっと……欲しかったクレイとの恋人の時間が次々と戻ってきて、思わず涙がこぼれ落ちる。
こんなにも愛しい存在を…こんなにも大切な時間を…どうして自分は忘れていられたのだろう?
「クレイ…クレイ……」
ただその名を呼ぶことしかできない自分が悲しくて悔しくて仕方がなかった。
そんな自分の元へそっとクレイが歩を進めてくる。
「ロックウェル……」
その瞳は封印が解かれたどこまでも美しいアメジスト・アイ。
それは手を伸ばしても届かない月のように────どこまでも切なく自分を魅了する宝石のようだった。
そんな瞳に目を奪われたところで回復魔法が紡がれ、それと同時にトンと額を突かれた。
「お帰り……」
そんな言葉を最後に意識は途絶えた。
***
「なんだ。忘れさせてやったのか?」
ロイドがロックウェルを抱きとめたクレイへと面白くなさそうに言葉を紡ぐ。
「そのままにしておくとロックウェルが壊れるからな」
「お前も私が嫌な記憶を消してやろうか?」
ロイドが一応そう言ってくるが、クレイは必要ないとバッサリと言い切った。
「別にいい。俺はそこの奴に復讐したいからな」
そしてロックウェルを受け取ったヒュースがすぐさまロックウェルを自室へと運んでいったのを確認し、アベルへと向き直る。
あそこなら守護結界が生きているから安全だ。
「シュバルツ!この裏切者!」
ロックウェルを奪われたフローリアがシュバルツを睨み付けて罵るが、シュバルツは先に裏切ったのはそっちの方だと言い放った。
「私を先に手酷く傷つけ裏切ったのはそっちだろう?」
そんなシュバルツにアベルが拘束魔法を掛けようと試みるが、それをロイドが一息に吹き飛ばす。
「私の可愛いペットに手を出すのはやめてもらおうか」
「ロイド……」
そんな姿にシュバルツが目を瞠った。
「後でご褒美を与えてやる約束だからな」
そんな言葉にシュバルツが目を輝かせたのを見て、アベルがチッと舌打ちする。
「落とされたか…!」
「ふ…お前達と同じことをしたまでだ」
そう言ってバシバシと魔法でやり合う二人を前にクレイが複雑な魔法を唱え始めた。
(…これは!)
アベルが蒼白になりながら唱えられる限りの防御魔法を唱え始めるが、そんなものは無意味だとばかりにクレイはその魔法を唱え切る。
それと同時にギギィン…!!という激しい音が鳴り響き、アベルとフローリアの身が結界のようなもので包まれ、あっという間に魔力を剥奪してしまった。
「…お前達の愚行を断罪する」
クレイの口からどこまでも冷たく紡がれたその言葉が場へと響く。
「ひっ…!いやぁあああっ!!」
フローリアの絶望的な叫びがその場に満ちるが、クレイは冷たい眼差しを向けあっさりと踵を返した。
「ん…?」
「起きろ!」
そんな声と共に意識が浮上する。
折角いい夢を見ていたのに……。
「寝ぼけすぎだ!」
「ん…クレイが口づけてくれたら起きる…」
正直あまり働かない頭でそう答えると、突然激しい口づけが降ってきて、濃厚な魔力が襲いかかってきた。
「んっ…んふぅ…ッ!」
ビクビクと身を震わせるとあっという間に目が覚めた。
「起きたか?」
「え?」
クレイがどこか怒ったように尋ねてきたので、きっと自分は何かしてしまったのだろう。
「全く!昨日そんなに飲んでいたか?」
そう言いながらそっと瞳を封印し直し水を差し出してくれたので、大人しくそれを受け取りそっと口をつける。
「もしかして…寝ぼけて何かしたか?」
「言うと思った!」
そしてクレイは大きく息を吐くと、呆れたように言ってきた。
どうやら朝からクレイの衣服を剥いでまさぐり倒し、首筋にキスマークをつけまくったらしい。
「…くそッ!覚えていない自分が腹立たしい!」
本気でそう思って悔しげに吐き出したのに、クレイは真っ赤になって怒ってくる。
「なっ…!寝ぼけていたから許したが、本気でやったら吹っ飛ばすぞ?!」
「仕方がないだろう…?昨日の口淫が気持ちよすぎたせいかお前を抱く夢を見てたんだから…」
「……ッ!」
「はぁ…悔しすぎる…」
ガックリと頭を抱えてしまった自分に、クレイとしてはあまり責める気持ちになれなかったのだろう。
「わかった!俺が悪かった!もうお前に二度とあんなことしないから、夢でも襲うな!」
照れ隠しからか、そんな風に言ってくれる。
「別にしてくれてもいいが?寧ろ積極的にしてほしい」
「……ッ!」
そこはしてもらえた方が嬉しいからそうやって促したが、どうやら相当恥ずかしかったらしくクレイはあっという間に寝台から脱出してしまった。
「もういい!」
「クレイ…そう怒るな」
「煩い!」
そんな風に寝室から出ると、今さっきのやり取りを聞いていたのであろう二人から生暖かい視線を向けられてしまった。
「ロイド…」
「報われないわね」
「煩いぞ。どうせお前達だって刺激的な夢を見たんじゃないのか?」
そう言ってやるとふいっと視線を逸らしたので図星だとわかってしまう。
「本当にクレイって罪作りよね…」
「全くだ」
はぁ…と皆でため息をついていると、クレイが真っ赤になりながら自分は悪くないと主張してきた。
「俺は何もしてないぞ?!」
罰ゲームをしただけなのにと言うクレイをからかいながら、少しでも皆でクレイの気持ちを逸らしていく。
今日は決戦の日だ。
朝から落ち込ませる気はない。
「ほら。そう怒るな」
「そうよ。はい、あ~ん」
「シリィ?!」
「あ、ごめんなさい。だってクレイ一昨日から食が進んでないから心配で…」
「う……」
バレてたかと言う顔をしたクレイに皆が楽しげに笑いながら匙を差し出していく。
「ほら。食べないと口に突っ込んじゃうわよ?」
「ああ…苦しげに喘ぐクレイも見てみたいな」
「ちょっとロイド!いちいち言うことがエロいわよ?!」
ギャイギャイと噛みついてくるリーネを流しながらクレイへと甘く微笑みかけた。
「本当のことだから仕方がない。ほらクレイ。私に可愛い顔を見せてくれ」
「誰が見せるか!自分でしっかり食べるから必要ない!」
そうやってちゃんと自分で食べ始めたクレイに、してやったりとロイドが笑う。
「本当にお前の扱いは簡単だな。ロックウェルがどうして頻繁に振り回されるのかがわからない」
百戦錬磨のくせにと言ったロイドにリーネはため息をついた。
「きっと変な先入観がない方がわかりやすいのよ」
ロックウェルは社交的だし、どうしても付き合った数が多いから恋愛において『こう言う時はこうなるだろう』と言うシチュエーションの基準が多いのだ。
クレイはそれを悉く踏み倒していくから『何故そうなる?!』となって、結果的に振り回される羽目になるのではないだろうか?
「なるほどな」
「女ったらしの弊害ね」
その言葉には妙に納得がいって、シリィまで思わずそんな風に呟いてしまう始末。
「そうは言っても、最近は随分落ち着いていたぞ?」
眷属達も随分アドバイスをしてくれたようで、最初の頃ほどすれ違うこともなくなっていたとクレイは主張した。
「今日…無事に取り戻せたらいいんだが…」
そこで憂うように俯いてしまったクレイに、シリィが慌てて喝を入れる。
「大丈夫よ!それに暫くあの3人は王宮に滞在するんでしょう?もし今日失敗してもまだチャンスはあるわ!気楽に行きましょう!」
「シリィ…」
「そうだぞクレイ。私としては毎日ロックウェルを言葉責めしてやりたいくらいだからな。今日失敗しても何の問題もない」
「ロイド…」
「ほら!しっかり食べて堂々と元気にロックウェル様の嫉妬を煽ってちょうだい!」
「リーネ…」
そうして皆の優しさに心から感謝して、クレイはそっと箸を進めたのだった。
***
「ロックウェル様…」
寝台の上でしどけなく横たわるフローリアにロックウェルは優しい笑みを浮かべた。
「フローリア。気分は?」
「とても幸せな朝ですわ」
「それは良かった」
そしてそっと手を取り朝食へと誘う。
昨夜ベッドの中でフローリアを快楽に沈めて聞き出したところによると、今回自分にかけられた魔法は混乱魔法と回復魔法を使った洗脳に近いものであると言うことがわかった。
道理でフローリアを恋人と思い込み、離れ難いとまで思ったわけだ。
何の面白味もない女に離れ難いと思うなど、自分でもおかしいと思ったのだ。
けれどそれを知った上で、この魔法がフローリア本人と彼女以上の高位の魔道士による者でしか解呪できないと言うのがよくわかった。
悔しいが自分も高位の魔道士とは言え、魔力的にはこの二人にはどうしても劣ってしまう。
自力でどうにかすると言うのは難しいだろう。
となると、アベルかフローリアを説得する以外に手はないのだが…。
「ロックウェル様…昨夜の事ですが…」
頬を染めながら自分を見つめてくるフローリアに艶やかに微笑み、そっと髪に口づける。
「貴女との結婚の件でしょう?」
「え…ええ…」
正直記憶がちゃんと戻るまでは思わせぶりに接する方がいいと判断し直し、昨夜は上手く回避しながら話をつけたのだ。
「昨日も言った通り、貴女との時間を大切に紡いでから判断させていただきたい」
「ですが…」
「こんなに魅力的な姫を高々二日しか堪能させず私にプロポーズの言葉を紡げと?」
「い、いいえ!」
「それならもっと深く貴女に魅了された時に、私の口から甘くプロポーズの言葉を送らせていただきたいのですが?」
この姫にならこれくらいの言葉が妥当だろうと思い口にすると、案の定ポゥッとのぼせ上り素直に頷いてくれる。
「はい…私、その日を楽しみにしておりますわ」
そんな姫の手に約束だとそっと口づければお仕舞いだ。
何と単純でつまらないのだろう…?
そうは思うがそんなものは綺麗に笑顔の下に隠し切る。
「今日は交流会も最終日。トルテッティの魔道士達の素晴らしさを私にも教えてください」
「ええ!きっとロックウェル様が気に入るお話ができる者もおりますわ。トルテッティはさまざまな白魔法の研究がされておりますし……」
嬉しそうに顔を輝かせ色々話す姫には申し訳ないが、正直あまり興味がない。
「そうそう。我が国で最近珍しい魔法ができたのはご存知でしょうか?トルテッティは白魔道士国家と言うだけあって黒魔道士の数は少ないでしょう?」
「そう聞いております」
最初は何となく聞き流していたが、一体どんな話だろうかとそこだけは何故かふと興味が湧いた。
「少ないとはいえ黒魔道士が全くいないと追跡等の調査に困ることもあるのです」
「それはそうでしょうね」
「ええ。でも肩身が狭いからかたまに逃げ出そうとする者もおりまして…長年の我が国の課題だったのです」
「ああ、黒魔道士は影渡りもできますから逃げられると厄介ですね」
何気なくそう返しただけだったのだが、フローリアはそうなのですとニコリと笑った。
「ですから影渡りをすると同時に拘束するという魔法をつい最近我々の国で編み出しまして、これによってグンと黒魔道士の確保が簡単になったのです」
「…ほぅ。それは非常に興味深いですね」
「ご興味がありますか?」
「ええ。この交流会で黒魔道士で魔法を開発している者がいたと耳に挟みましたが、白魔道士にもやはりそういう者がいるのですね」
「ええ。もちろんですわ。魔法の研究は日々進んでおりますし、ロックウェル様もきっとご興味が出てトルテッティを気に入って下さるはずです」
「そうですね。ちなみにその魔法を使える方は今回の交流会に参加はされているのですか?」
とても興味があるから詳しく話を聞いてみたいと申し出るとフローリアの顔がパッと輝く。
「もちろんです!すぐにでも参りましょう」
「ありがとうございます」
そして二人で仲良く並び立ち、そっと支度を整え広間へと足を向けた。
***
ロックウェルがその魔法についてちょうど話を聞き終えたところで、遠目にアベルと接触するクレイ達の姿が見えた。
シュバルツも一緒だ。
何やら不穏な空気を感じる。
「とても興味深いお話をありがとうございました」
「いいえ。トルテッティの魔法も日々進歩しておりますので、こうしてご興味を持っていただけて嬉しゅうございます」
そうしてにこやかに話を終え、ロックウェルは笑顔で自然に踵を返しその場を後にした。
「あ、ロックウェル様?!」
フローリアが慌てて追いかけてくるのでそっと手を取り、一緒にアベル達に挨拶に行こうと誘いを掛ける。
「……はい。是非」
二つ返事ではにかみながら頷く姫を流れる動作で誘導し、速やかにそちらへと向かった自分にあちらも気が付いたようだ。
「ロックウェル。今日も仲睦まじいようで何よりだ」
そんな風に口にしたアベルにフローリアが恥ずかしげに頬を染める。
「もうっ…お兄様ったら…恥ずかしいですわ」
「お似合いだと言っただけだろう?」
アベルからのそんな言葉と同時にフローリアがそっと腕に抱きつき、こちらをうっとりと見上げてきた。
「ロックウェル様。お似合いと言われてしまいましたわ」
「光栄です」
正直クレイの前であまり甘いセリフは言いたくない。
勘違いされては面倒だ。
そう思ってそっとそちらへと視線を向けたのだが、その首筋にある複数の赤い跡を見て大きく目を見開いてしまう。
(あれは…………!)
思わず憎々しげに隣に立つロイドへと目を向けると、すぐさま気づいて不敵な笑みを浮かべられた。
しかもそれどころかそっとクレイの肩を抱き、最早自分の物だと言わんばかりにこちらを見てくる。
そんな姿にブルブルと震えてしまう自分がいた。
「ロックウェル様?」
それにはさすがにフローリアもおかしいと思ったのかそっと顔色を窺ってくる。
「あ…いえ何もありません」
ハッと我に返りすぐさまそう答えるが、正直怒りが爆発しそうだった。
こんなものを見せられて、二人が何もないなどと信じられるはずがない。
「クレイ…それで?トルテッティに来る気になったか?」
「…断るに決まっている」
アベルの誘いにクレイはきっぱりと言い切った。
「ロックウェルよりもそこのロイドと言う魔道士を取るということか?」
そんな言葉がいちいち胸へと突き刺さる。
違うと言ってほしいと心が悲鳴を上げるがクレイはその問いに答えようとはしなかった。
「…まさか昨日の今日でそんなに見せつけるようにその男のものだと主張してくるとはな」
「煩い…!」
そこで何か言おうとするクレイの口をそっとロイドが塞ぎにかかる。
「クレイ。挑発に乗るなと言っただろう?もう忘れたのか?」
「ロイド…」
「これはお前が昨夜私に奉仕してくれたお返しだろう?甘んじて受け入れてくれ」
「う…。それは確かに俺のせいだが……」
「今夜も楽しみだな」
「またやるのか?」
「もちろんだ。お前との甘い夜はクセになりそうだしな」
「お前は…相変わらずだな」
「そんなところが好きなくせに」
「……まあな」
そうしてクスリと笑い、そっと二人が甘く口づけ合うのを見て頭が真っ白になってしまった。
信じない…信じたくない…絶対に嘘だ────!!
絶望感に襲われて、そう思うと同時に魔力が暴走しそうになるのを感じ思わずその場へと蹲る。
それと同時にロイドが動きすぐさま自分の周辺へと結界魔法が張り巡らされるのを感じた。
周囲への影響を与えないためだろう。
けれどそれさえも不快でしかなかった。
あの男を殺してやりたいと初めて思った。
ギラリと睨み付けるとロイドは心底楽しそうに言葉を紡いでくる。
「クッ…。いい様だなロックウェル」
「煩い!!」
「そんなにクレイを取られて悔しいか?」
「黙れ!!」
「そこまで好きなら取り返してみればいいだろうに」
「言われなくても絶対に取り戻す!!」
そこまで言ったところでロイドが何やら合図を送り、シュバルツがその魔法を口にした。
『解呪!!』
その行動はアベルとフローリアには予想外の事だったらしく、驚きに目を見開いている。
「シュバルツ?!」
けれど止める間もなくその解呪魔法が自分を包み込み、それと同時に一気に記憶の奔流が押し寄せた。
ずっと……欲しかったクレイとの恋人の時間が次々と戻ってきて、思わず涙がこぼれ落ちる。
こんなにも愛しい存在を…こんなにも大切な時間を…どうして自分は忘れていられたのだろう?
「クレイ…クレイ……」
ただその名を呼ぶことしかできない自分が悲しくて悔しくて仕方がなかった。
そんな自分の元へそっとクレイが歩を進めてくる。
「ロックウェル……」
その瞳は封印が解かれたどこまでも美しいアメジスト・アイ。
それは手を伸ばしても届かない月のように────どこまでも切なく自分を魅了する宝石のようだった。
そんな瞳に目を奪われたところで回復魔法が紡がれ、それと同時にトンと額を突かれた。
「お帰り……」
そんな言葉を最後に意識は途絶えた。
***
「なんだ。忘れさせてやったのか?」
ロイドがロックウェルを抱きとめたクレイへと面白くなさそうに言葉を紡ぐ。
「そのままにしておくとロックウェルが壊れるからな」
「お前も私が嫌な記憶を消してやろうか?」
ロイドが一応そう言ってくるが、クレイは必要ないとバッサリと言い切った。
「別にいい。俺はそこの奴に復讐したいからな」
そしてロックウェルを受け取ったヒュースがすぐさまロックウェルを自室へと運んでいったのを確認し、アベルへと向き直る。
あそこなら守護結界が生きているから安全だ。
「シュバルツ!この裏切者!」
ロックウェルを奪われたフローリアがシュバルツを睨み付けて罵るが、シュバルツは先に裏切ったのはそっちの方だと言い放った。
「私を先に手酷く傷つけ裏切ったのはそっちだろう?」
そんなシュバルツにアベルが拘束魔法を掛けようと試みるが、それをロイドが一息に吹き飛ばす。
「私の可愛いペットに手を出すのはやめてもらおうか」
「ロイド……」
そんな姿にシュバルツが目を瞠った。
「後でご褒美を与えてやる約束だからな」
そんな言葉にシュバルツが目を輝かせたのを見て、アベルがチッと舌打ちする。
「落とされたか…!」
「ふ…お前達と同じことをしたまでだ」
そう言ってバシバシと魔法でやり合う二人を前にクレイが複雑な魔法を唱え始めた。
(…これは!)
アベルが蒼白になりながら唱えられる限りの防御魔法を唱え始めるが、そんなものは無意味だとばかりにクレイはその魔法を唱え切る。
それと同時にギギィン…!!という激しい音が鳴り響き、アベルとフローリアの身が結界のようなもので包まれ、あっという間に魔力を剥奪してしまった。
「…お前達の愚行を断罪する」
クレイの口からどこまでも冷たく紡がれたその言葉が場へと響く。
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