【完結】王子の本命~ガヴァム王国の王子達~

オレンジペコ

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193.※毒への誘い⑰

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※前話のロキ視点です。
リバがあるので苦手な方は読み飛ばして下さい。
宜しくお願いしますm(_ _)m

****************

ユーツヴァルトの件をシャイナーに任せた後視察に行くと、そこでは作業が黙々と進められていて、皆やる気に満ち溢れていた。
なんでも商人達からの期待も高く、バックアップが凄いのだとか。
差し入れやら資材提供やらが多々行われているらしい。
それだけ望まれているのだと感じて、提案してみて良かったと思った。
これで流通が楽になって双方の産業がより豊かになれば国としてプラスになって、兄も喜んでくれるだろうし、商人達へのお礼として十分な効果が見込めるはずだ。

「良かった」

だから思わずそう口にしたのだけど、それを聞いてリヒター始め、護衛の皆が微笑ましいと言わんばかりの目を向けてきた。

「成長だな」
「本当に」

そんな言葉を囁かれ、今日は酒場で飲もうと言われた。
まあ久し振りだしいいかもしれない。
ついでに兄の件も相談してみよう。
そう思いながらそのまま酒場へと向かったら、何故かそこで兄と遭遇してしまった。
ここは兄にとっては居心地の悪い場所なのに、どうして来たんだろう?
もしかして仲直りをするために来てくれたんだろうか?
でも俺の方が今一どこが悪かったのかわかってないから、このまま一緒に帰ってもまた失敗してしまう気がする。
だからリヒター達をつけてそのまま帰ってもらったのだ。

そこから皆に相談してみたら、どうやら俺は随分無神経なことをやらかしていたらしい。
普通というものがどういうものなのか、女性相手のスパイの者達が笑い話を例に出しながら教えてくれる。

「お前がやった事を女にやったら即平手打ちだぜ?」
「そうそう。女共は容赦ねぇからな」

そして上手い言い回しや、誘導法なんかを教えてくれた。

「上手くやれよ?」

笑顔で送り出してくれる皆には感謝しかない。
だからいつものように相談料を置いてから店を出た。




「遅くなったな」

流石にこの時間だと兄も寝てしまってるだろう。
そう思って、こっそり寝顔だけ見てからシャワーを浴びて寝ようと思った。
でもドアが開く音で起きてしまったらしく、引きとめられてしまった。
どうやらもう怒ってはいなさそうだ。
シャワーを浴びたら戻ってきてほしいと言ってもらえて、急いで浴びに行く。
大好きな兄から待ってるなんて言われて急がないはずがない。
そうしたら風邪を引くぞと心配されて、ガシガシと髪まで拭いてもらえた。

その後話していたらいつの間にか兄に抱かれる流れになっていた。
本音を言えば俺が抱きたいけど、今日は諦めた方がいいだろう。
ある意味仲直りも兼ねているから、好きにさせてあげるべきだ。

ここ最近兄はやけに俺を抱きたがる。
きっとリヒターへの対抗心なんだろう。
不器用なところがたまらなく可愛いし、途中で立場を逆転させるから別にいいのはいいけれど、それでもこれが続くのはちょっと辛い。
虐め方のバリエーションが限られてくるし、身体への負担も大きいからだ。

(どこかで一度やめさせたいな…)

そんな事を考えながら大人しく抱かれた。

いつもと同じように始まり、いつもと同じように終わるはずだったのに、どうしてこうなったんだろう?

「んっんっ」

正常位でいつものように始まったのに、今日は何故か腰の位置をどんどん上へと上げていかれた。
いつもなら一生懸命同じ角度のまま自分であっちこっちを突いては首を傾げているだけなのに、どうしたんだろう?

「んぅ…んっんっ…」

これくらいの角度ならまだ大丈夫だけど、これ以上となると立場逆転がし難くなっていく。
気持ちよくはなってきたけど、できれば兄を可愛がれなくなってしまう体位は避けたい。

「はぁ…兄上。それ以上は体勢的に辛いので別の体位にしませんか?」
「そうか…」
「はい」

リヒターの見解は正しいんだなと思いながらその後はバックでしてもらったけど、これは余裕だから全然平気だ。
兄が好きなだけ気持ちよくなってくれたら俺はそれでいい。
そうして兄が果てたところで満足できたかなと立場逆転を狙ってみたのだけど、ここで思いがけないアクシデントに遭遇してしまった。

「ふふっ。兄上、気持ちよかったですか?そろそろもういいですよね?」

そう言って正常位に戻ろうとしたところで、兄が珍しく初めての体位に挑戦してきたのだ。

「え?あ、やっ…」

果てた後連続で攻められるなんて思っていなかったし、完全に油断していた。
片足を抱え上げられ腰を引き寄せられそのまま突き上げられて、焦りに焦る。

「あ、兄上っ!ちょっと待ってください!するなら一度正常位に戻るのでっ、んっ…」

(これは…ダメだ)

偶然だとは思うけど、突かれたところが凄く気持ち良かった。

「ロキ。見つけた」
「え?あ、はぁ…んっ!」

兄が嬉しそうに笑う。
しかもそこからピンポイントで前立腺を狙い撃ちにしてくるなんて誰が予想できただろう?

「んぅっ!あっ兄上っ…!」

体位を変えること自体はマンネリ防止にちょうどいいから構わないけど、これはダメだ。
余裕がなくなってしまう。
感じすぎたら立場逆転ができなくなるじゃないか。

「やっ、兄上、ちょっと…待ってくださっ…、は…ぅっ!」

抗議の声をあげようとしたら、やめてやるものかと胸や耳まで指や舌で可愛がられてしまった。
気持ちよくて声が我慢できそうにない。

(こんなの…ここからどうやって逆転したらいいんだ?)

いつも立場を逆転した途端期待に染まった顔で俺を見つめる兄を見るのが好きだった。
好きなように俺を抱いた後、好きなように抱かれる。この流れを兄は気に入っていたのだ。
なのにこんなに感じさせられたらそれをしてあげられない。
これは大問題だ。
取り敢えず最後まで抱かれてから落ち着いて立場を逆転させるのか?
でもそれだと事後のムードが台無しな気がする。

(どうしよう…どうしたらいいんだ…)

兄が俺をイかせるまで、正直そんなことばかりが頭の中でグルグル回っていた。

「はぁ…んん…ぅ…」

兄にイかされ身を震わせながら呼吸を整え一生懸命最適な答えを考える。
そして導き出した答えは『慣れるしかない』ということ。
兄が自力で俺を感じさせる体位を偶然とはいえ発見してしまったのだから、ここは責めるわけにもいかない。
寧ろ俺の方を何とかするべきだ。
感じすぎて立場逆転ができなくなっている自分が悪いのだから、そこを何とかするしかないだろう。
でもここで感覚を切り離す為に解離するのはダメな気がする。
じゃあどうするかといえば、慣れるように沢山経験を積むしかない。
その場合、相手が兄ではダメだ。
兄が俺を抱いているうちに俺にご主人様を感じてくれなくなったら困る。
それなら当然、相手はあと一人しかいない。

「兄上。ちょっと思いがけない問題が発生したので、明日から暫く特訓のためリヒターに抱いてもらってきます。その間一人寝にしてしまって申し訳ないですが、リヒター以外なら誰を連れ込んでもOKにするので、了承してくださいね」
「…は?!」

俺の不甲斐なさでこうなったのだから兄が誰を連れ込もうと我慢するしかない。
そこは妥協する。
でも嫉妬はするから、できるだけ早くリヒターのところで特訓を終えて戻ってこよう。
リヒターなら話せば協力してくれるはずだ。
お礼はまた別で考えよう。

そう考えをまとめて『さてシャワーに行こうか』と思ったら、何故か兄に焦ったように引き留められてしまった。

「聞き捨てならないことを聞いた気がするぞ?!何がどうしてそうなった?!」
「予想以上に感じてしまったので、特訓して感じにくくなってから戻ってこようかと」

誤解がないよう、ここは隠さず素直に話そう。

「待て!早まるな!それは絶対に墓穴を掘るぞ?!」
「どうしてです?慣れた方が余裕が出るものでしょう?」
「ロキ!話せばわかる!ちょっと落ち着いて話し合おう!」

どうやら兄的には納得がいかなかったらしい。
なんでだろう?
俺は兄のために動こうとしているのに。

首を傾げるそんな俺に、兄は笑顔で『ちゃんと話は聞くから』と言ってくれた。

「まず、思いがけない問題ってなんだ?」
「立場逆転ができなくなるほど感じてしまったので、これはマズいと思って」
「どうマズいんだ?」
「だって兄上を楽しませてあげられないじゃないですか」

立場逆転ができないのは兄にとっても困るはず。
だって大好きな後ろを可愛がってあげられなくなるんだから。

「特訓して慣れたらさっきみたいに敏感にはならなくなると思うので、上手く受け流して兄上をまた楽しませてあげられるようになりますよ?」

兄の期待に応えたいし、兄の喜ぶ顔が見たい。
だからここは納得してもらいたいところだ。
だから笑顔でそう言ったのに、兄はそれでも頷いてはくれなかった。

もしかして頑なに頷いてくれないのはリヒターへの嫉妬からなんだろうか?
でも特訓は兄のためだし、そこは少し我慢してほしい。
嫉妬するのはお互い様だ。
ちゃんと特訓が終わったら兄のところに戻ってくるんだし、問題はないだろう。
そう思ったのに、兄は自分と特訓しようと言い出した。

「ロキ。特訓ならリヒターとじゃなく俺とやろう!」
「絶対に嫌です」

それができれば苦労はない。
できないからリヒターのところで特訓してくると言っているのに。
そこをわかってくれない兄にモヤモヤしてしまう。

「兄上?俺が兄上に抱かれ続けていたら誰が兄上を満足させるんです?」

(兄上を満足させられないなら俺の価値はないも同然なのに…)

「え?それは当然ロキが…」
「だから、余裕がなくなって立場逆転ができなくなるからダメなんですよ。じゃあそういうわけで」

話しはここで終わりだ。
そう思ったのに兄はまたしても俺を引き留めにかかった。

「待て待て待て!」

どうやら兄的にはどうしても俺をリヒターのところへ行かせたくないらしい。

「ロキ?その……俺は今日で満足したから、これからはまたお前に抱かれる側になりたい」
「……ここ最近はずっと俺を抱きたがってたのに?」
「うっ…そ、それはちょっとしたリヒターへの対抗心でだな、俺の手で一度くらいはロキを感じさせたかっただけなんだ」

まあ嘘ではないだろう。
兄はとてもプライドが高い人だから。

「目的はさっきので達成できたから、もうそこに拘らなくてもいいし、前みたいにいっぱい抱いてくれていいぞ?」
「…………」

あからさまに俺をリヒターのところになんか行かせるかと説得を試みてくる兄。
きっとこう言えば俺が引き下がると踏んだのだろう。
でも折角俺を感じさせることができたんだから、もう暫く楽しみたいなと思っているのはバレバレだった。

「……兄上が言いたいことはわかりました。でも俺は兄上に我慢を強いたくはないんです」

俺のせいで兄に我慢なんてしてほしくはない。
やりたいならやらせてあげたい。
俺がスキルアップしたらいいだけの話なんだから、ここは折れてほしい。
そう思ってそんな風に言ったのに、兄はあり得ないほど強く自分の思いをぶつけてきた。

「そこは俺の薄っぺらい抱きたい欲求を優先するより、浮気されたくない俺の気持ちを汲むべきだぞ?!そっちの方が重要だってわかってほしい!」
「……え?」
「俺はリヒターに連日お前を取られるくらいなら家出する!」
「ダメです!」

思い掛けない言葉を聞いて、咄嗟に俺はそう叫んでいた。

どうやら兄的に俺を抱きたい欲求よりも浮気される方が嫌という気持ちの方が強かったらしい。
兄のために特訓しようとしてるのに、そのせいで兄に離れていかれたら本末転倒だ。
家出なんてされたら確実に仕事なんて手につかなくなるだろう。
と言うよりも、全部投げ出してでも兄を探しに行く自信がある。
裏の者達に全財産ばら撒いてでも手伝ってもらう。
絶対だ。

「兄上が他の誰かに抱かれるのは許容できても、俺から離れていかれるのは耐えられません」

兄は俺に一体どうしろというんだろう?
答えが全く分からない。

(いやだ…)

兄に離れていかれたくない。
だから家出される前に、素直にどうしたらいいのかを兄本人に訊いてみた。

「兄上…俺はどうしたらいいですか?」

そしたら兄はどこかホッとしたように答えをくれた。

「お前は俺のご主人様でいてくれればそれでいい。俺がお前を抱くのは今回みたいにお前が俺を怒らせた時か、もしくはマンネリ解消でお前が抱かれたいと思った時だけで十分だ」

(本当に?)

それで満足するんだろうか?
そう思って兄を見ると今度は無理をしているようには見えなかったし、そのまま優しく抱きしめてくれた。

「兄上…」

兄の温もりに包まれて不安がどんどんなくなっていく。
だから俺からも抱きしめ返して『良かった』と口にした。
妥協してくれた兄には感謝しかない。

「兄上…抱いてもいいですか?」
「もちろん。お前の望むまま好きに抱いてくれ」

そしてその言葉が嘘ではない証拠に、その後いつも通り抱かせてくれた。





「ひゃぁんッ!しょんなにしないれぇッ!もう無理ッ!イかせてぇッ!」
「ずっとイキっぱなしでしょう?欲張りですね」
「そこっ、そこ好きなのぉッ!押し付けたままユサユサしないれぇッ!」

気持ち良くてたまらないと可愛い声で啼く、俺だけの愛しくて可愛い兄上。
言葉では時折嫌だと言うけれど、それがポーズに過ぎないことだってちゃんとわかってる。
目は口ほどに物を言うという言葉は真実だ。

「たっぷり虐められたいんですよね?」

それを肯定するように、虐めてとばかりに訴えてくる眼差しに嗜虐心が煽られて、絶対に手放せないと思わせられる。
兄は仕事の時と夜ではどうしてこんなに雰囲気が変わるんだろう?
そのギャップにやられている自覚はある。
このままずっと兄に溺れ続けたい。

優しい兄の思い遣りに報いる為にも、俺はこれからも兄の為にスキルを極めていきたいと思う。

「あぁんっ!死ぬっ!死んじゃうッ!」
「死にませんよ。だってちゃんと加減して犯してますから」
「はぁ…はぁ…っ、ぁ…ぁう…」
「ほらね?大丈夫でしょう?」

緩急はちゃんとつけて、今日も最高の閨を提供してあげよう。
トロトロに蕩けきった顔で溺れる兄は本当に可愛いから。

「ひぅんッ!」

愛撫とキスもしっかり行い、どこもかしこも性感帯になったように敏感に育て上げるのは最早手馴れたもの。
安心して身を任せてほしい。

「兄上…愛しています」
「ひぎぃッ!イグゥぅっ────ッ!」

今日も可愛すぎる顔で意識を手放した兄にそっとキスを落として、俺はこれ以上ないほど幸せな笑みを浮かべたのだった。


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