【完結】王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~

オレンジペコ

文字の大きさ
94 / 215
【国際会議】

85.国際会議㉓

しおりを挟む
※予約投稿ミスってました。
すみません(>_<)

****************

姫が馬車から出て行ったので、俺はセドに向き合いしっかりと釘を刺しておく。

「さっきのそれ、後でおかしなことを書き足したりとか絶対するなよ?」
「バカだな。そんなことをするはずがないだろう?」
「本当だな?」
「ああ」

ジトッとした目で見つめてもセドは全く怪しい素振りは見せないし、そこまで疑うならここに『与り知らない一文を足した場合は無効になる』と書き足してやろうかと揶揄うように言ってきたので、折角だしお願いした。
その一文の隣には双方のサイン入りだ。
これで大丈夫だろう。

「信用がないな」
「当然だろ?」

これまでの行いを振り返ってみろと言ってやったら思い切り楽しそうに笑われた。
本当にとんでもない奴だ。

「そう言えば機嫌はもう直ったのか?」

しかもそんなことまで持ち出してくるからたまったものじゃない。

「~~~~っ!!今からでも馬に乗って移動する!」
「逃がすと思うか?」

そう言ってグイッと俺を引き寄せすぐさま行動を抑制にかかる。

「ちょっ…!やめろよ!」
「何もしない。まだ刺客が出てもおかしくはないからな」
「なら離せよ!」
「素直に離すと思うか?」
「離さないよな?!わかってた!」

仕方がないからそのまま抱き締められるよりはマシだとおとなしく隣に座り直し、これでいいだろってボスッと凭れかかってやったら嬉しそうに何度もキスされてしまった。
顔を見たくないから凭れてるのにキスしたら意味がないだろって抗議したら、甘えてくれて嬉しいとかわけわかんないこと言われて、腹が立ったから思いっきり足を踏みつけてやったんだけど…。
その後セドの方を見たら楽し気に笑われて、何故か唇を塞がれ濃厚なキスでおとなしくさせられてしまった。

「ん…んぅ……」
「ククッ。お前はまるで威嚇する猫のようだな」
「誰がだっ!」
「可愛い俺のアルフレッド。夜まではこうして甘やかしてやるからな」

そんなのはお断りだとギャアギャア喚きながら馬車の旅は順調にゴッドハルトへと進んでいく。

そしてゴッドハルトに辿り着く頃には何故かツンデレとか言って周囲に揶揄われている俺がいた。
ふざけんな!


***


「まあ!お久しぶりでございます。セドリック殿下。アルフレッド様。それに…アルメリア姫とルカ殿下ですね?私、トルセンの妻マリアンヌと申します。どうぞよろしくお願い致します」

長旅の末やっとゴッドハルトに辿り着き、以前と変わらぬ様子のトルセンの奥さんと再会した。
お腹はかなりふっくらと膨らんでいるので、臨月も近いのではないだろうか?
そう思ってそれを口にすると、ふふふと笑われて、実は双子だから大きく見えるのだと言われた。

「え?!二人もお腹の中に?!」
「ええ。お医者様のお話だと心音が二つあるらしくて」

楽しみだわとマリアンヌは笑うが、大変ではないのだろうか?
女性は強いなってつくづく思った。
取り敢えずブルーグレイには文を送り、ゴッドハルトには二、三日滞在してから帰る予定になったので、姫はゆっくりと彼女と話すことにしたらしい。
年も近いし気も合いそうだからかとても嬉しそうだ。

で、俺はというと勿論この長旅の間思うように振れなかった剣を思いっきり振りたかったので、セドを誘って鍛錬場へとやってきていた。

「早く早く!」
「そんなに焦らなくても逃げないぞ?」
「でも早くお前とやりたくて仕方ないんだ!」
「…………まあ待て」
「待てない!知ってるだろ?俺がどれだけ我慢してたか!なあセド、頼むから早く!」
「ぐっ…。ちっ…この天然は……」
「何か言ったか?」
「別に…。まるでベッドの中で誘われてるようだと思っただけだ」
「なっ?!」

確かに待ち遠しすぎてちょっと強請るように言ってしまった感はあるけど、そんなに夜を思わせるような言い方をしたつもりはない。

「お前、性欲が下半身に直結しすぎじゃないか?!」
「お前は剣を振ることに直結しすぎだな」
「いいだろ別に。大好きなんだから!」
「…………取り敢えず先に剣を合わせようか。その方がずっと楽しめそうだ」
「……!そうだな!わかってもらえて嬉しい!」

やったやったと喜び勇んでセドと剣を手に中央へと向かう。
そして対峙して思いっきり剣を振りかぶった。

そこからはもう楽しくて楽しくて仕方がなくて、あの手この手でセドへと打ち込んだように思う。
正直ハイになりすぎてちょっと戦闘狂モードになっていた気がする。
でも全部受けきってもらえたから嬉しくて興奮してたまらなかった。

「はぁ…セド…お前やっぱ最高…」
「はぁ…そうだな。お前のその顔も最高だぞ?」

セドも打ち合いで興奮しているのかどこかうっとりしたように俺を見つめてくるから同類だな!
剣の楽しさを一緒に味わえて本気で嬉しい。

「セド…もう一回……」
「わかっている。お前が満足するまで付き合ってやろう」

そんな言葉に促されるままに嬉々として打ち合いを続けてたんだけど、何故か近くにいた奴らが真っ赤になりながらそっと離れていったのは不思議で仕方なかった。




翌日トルセンに「お前は一々エロいんだよ!」って突っ込まれたけど、なんでそんなこと言われたのか全然わからない。
もしかしてその後抱かれた時の声でも聞かれたのかと思って慌ててしまったけど、どうやら剣を合わせていた時からエロかったらしい。
正直意味が分からない。

「で、トルセンがお前を煽るのも大概にしとけって忠告してきたから、煽ってないって言って帰ってきたんだけど、俺、別に煽ってないよな?」
「…………まあそうだな」
「だよな?!ほら見ろ。全くトルセンは大袈裟なんだから…。ちょっと深読みしすぎなんじゃないか?」

でもそう言ったら何故か「トルセンの苦労が見えるな」ってセドに溜息を吐かれた。

「まあいい。取り敢えずお前は今のままでいいからおとなしく俺に抱かれていろ」
「は?」
「抱かれたくてここに戻って来たんだろう?」

折角今日はゆっくりトルセンと話せる時間を取ってやったのになって笑われて、初めて「しまった!」って後悔してしまう。

(どうして勝手に戻ってきてるんだ、俺?!)

「早くブルーグレイに帰って一緒にゆっくりしよう」
「え?それは絶対に無理だろ?」

仕事が沢山だって言っていたくせにとセドを見るけれど、セドは何故か意味深な笑みを浮かべるばかり。

「さて、帰国するのが今から楽しみだ」

そんな言葉に、何となく俺は嫌な予感を感じたのだった。

しおりを挟む
感想 221

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます

天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。 広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。 「は?」 「嫁に行って来い」 そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。 現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる! ……って、言ったら大袈裟かな? ※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。

僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐
BL
 社交界での立ち回りが苦手で、よく夜会でも失敗ばかりの僕は、いつも一族から罵倒され、軽んじられて生きてきた。このまま誰からも愛されたりしないと思っていたのに、突然、ろくに顔も合わせてくれない公爵家の男と、婚約することになってしまう。  だけど、婚約なんて名ばかりで、会話を交わすことはなく、同じ王城にいるはずなのに、顔も合わせない。  それでも、公爵家の役に立ちたくて、頑張ったつもりだった。夜遅くまで魔法のことを学び、必要な魔法も身につけ、僕は、正式に婚約が発表される日を、楽しみにしていた。  けれど、ある日僕は、公爵家と王家を害そうとしているのではないかと疑われてしまう。  一体なんの話だよ!!  否定しても誰も聞いてくれない。それが原因で、婚約するという話もなくなり、僕は幽閉されることが決まる。  ほとんど話したことすらない、僕の婚約者になるはずだった宰相様は、これまでどおり、ろくに言葉も交わさないまま、「婚約は考え直すことになった」とだけ、僕に告げて去って行った。  寂しいと言えば寂しかった。これまで、彼に相応しくなりたくて、頑張ってきたつもりだったから。だけど、仕方ないんだ……  全てを諦めて、王都から遠い、幽閉の砦に連れてこられた僕は、そこで新たな生活を始める。  食事を用意したり、荒れ果てた砦を修復したりして、結構楽しく暮らせていると思っていた矢先、森の中で王都の魔法使いが襲われているのを見つけてしまう。 *残酷な描写があり、たまに攻めが受け以外に非道なことをしたりしますが、受けには優しいです。

処理中です...