【完結】王子の本命~姫の護衛騎士は逃げ出したい~

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【国際会議】

86.国際会議㉔【帰国】

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「マリアンヌ様。産まれたら是非ご連絡くださいね。お祝いを贈らせて頂きますので」
「ありがとうございます。アルメリア姫とお友達になれてとても嬉しかったですわ!これからもお手紙のやり取りをさせてくださいね」

丁寧な口調ながらもキャッキャッと言った可愛らしい雰囲気で笑顔で別れの挨拶を交わす二人。
姫に友達ができて良かったとほっこりした気持ちで見ている俺。
そして今回は前回と違いちゃんとトルセン達に別れの挨拶ができることを嬉しく思っていた。

「トルセン!次はいつになるかわからないけど、また会おう」
「ああ。そうだな。国際会議にも出たからそろそろ俺も腹を決めて王様やらないとなとは思ってるし、その時は祝いに来てくれよな」

どうやらロキ王子だけではなくトルセンも王様になる予定らしい。
これまでも改革者として国を纏め仕事をこなしてきたけど、明確に王の名を名乗ったことはなかったトルセンだ。
国際会議を一つの切っ掛けに、きっと子供もできるしとけじめをつける気になったんだろう。

「お前が王になるなら絶対駆け付けるから!」
「ああ。セドリック王子と仲良く一緒に来てくれたら嬉しい」
「え?セド…セドは忙しいから有休とって俺だけで…むぐっ」
「もちろん俺も正妃と側妃と一緒に参列させてもらおう。きっと二人も喜ぶ」

セドに口を手でふさがれて反射的に睨みつけたけど、確かにそれなら姫も喜びそうだと思い直す。

「それはマリーも喜びそうだ。ではその時は連絡させてもらうので」
「ああ。楽しみにしている」

そして俺達は笑顔で別れ、船に乗り込んでゴッドハルトを後にしたのだった。


***


船の上でセドが報告書をめくりながらニヤリと笑う。
さっき手紙を束で受け取っていたが、その一つのようだ。
ゴッドハルトに入る前、ガヴァム王国を横切る際にも報告書を受け取っており、その時は王の暗殺が成功したという報告だったようだ。
だから多分今回のものはアンシャンテ王に関する報告書なのだろう。
どう決着がついたのか…気になるからあとで教えてもらおう。

そう言えばロキ王子の戴冠もそろそろなのだろうか?
王が亡くなったのなら必然的にそうなるし、準備期間を考えても時期的にそろそろの可能性が高い。

(でも…本当にあのロキ王子が王様になるのか……?)

正直言って怖いんだが。
やっぱりトップに立つならカリン王子の方がずっといいと思うんだけどな…と思いながら、俺達はブルーグレイへと帰りついた。




帰って早々、ロキ王子の戴冠式の日程連絡と礼状と詫びの品というものをセドの側近であるノヴァからセドへと手渡された。

「戴冠式はもうすぐなので、日程的にセドリック殿下が出席するのは難しいだろうと、招待状が届くと共に陛下が出立なさいました」

どうやら国王の腰痛の方は良くなったらしく、ガヴァム王国に行けるくらいにはなったようだ。

「つきましてはこちらがそれ以降溜まっている書類となっております」

その言葉にセドの殺気が膨れ上がった。

(いや、元々仕事が大変って言ってたんだから、これくらい予想の範囲内だろ?!)

どうしてそんなに怒ってるんだと呆れてしまったが、姫は恐れをなしたのかそんなセドを横目にさっさと自室へと引き上げていく。

でもガヴァム王国からの礼状を読み、品物を確認した途端機嫌は直ったらしく、一体何が入ってたんだろうと首を傾げてしまった。
セドが喜びそうなものというのが俺には全く見当もつかない。
見たところ品物は両手で持てるくらいの普通の箱だし、軽そうだから特に短剣とか武器の類ではなさそうに見えるのだけど…。

「なあ、それ、なんだったんだ?」

だからつい気になって尋ねてみたものの、セドは物凄い笑顔で夜になったら教えてやると言って中を見せてはくれなかった。
本当に一体何だったんだろう?すごく気になる。




「アルフレッド!おかえり」
「オーガスト!ただいま!何か連絡事項はあるか?」
「ああ。訓練の中でもうちょっとわかりやすくできるところを見つけて…」

そこから暫くオーガストと話して騎士長の仕事をこなし、ついでにこれから姫の仕事を手伝うことになったという話もしておいた。

「二か月はやっぱり長いし、仕事も溜まって姫も大変だろうと思って側妃名目で手伝うことになったんだ」
「そうか。お前もとうとう腹を括ったか」
「え?」

一体何のことだろうと思って首を傾げたら、オーガストは少し考えてから何かを誤魔化すように俺の背をバシッと叩いてきた。

「いや。うん。そういうことなら、まあ、俺とお仲間ってことで気楽に行こう!」

その言葉にああ、と納得がいく。

「俺がブルーグレイからも給料がもらえるようになったからか?確かに!お前のお仲間だな!」

ハハハと笑ったら何故か苦笑されてしまったけど、それが何故かまではわからなかった。

「じゃあ俺、姫のところに行ってくるから、後はよろしくな」
「ああ。任せておいてくれ」

後で手合わせもしようなと言って手を振り、俺は先程別れたばかりの姫の元へと足を運んだ。


***


【Side.セドリック】

ガヴァムの戴冠式に父が出席することになって予定が狂った。
折角アルフレッドとイチャイチャし放題になったというのにこんなに仕事が降ってくるなんてとつい殺気が噴き出してしまう。
こんなことになるなら戴冠式がもう少し先延ばしになるよう手を打っておけばよかったとイラつきながら礼状とやらに目を通す。
どうせ大したことは書かれていないだろうと思いサラッと読むつもりだったのだが────。

『セドリック王子にはとてもお世話になったので、最近作らせたものをお詫びの品として送らせて頂きます。アルフレッド殿の勝手なイメージから黒猫を想像致しましたので、猫の耳を模したカチューシャ、腰に巻くタイプとディルドタイプの二種類のしっぽを模した物、それと尾を出せる穴の開いた黒の薄衣をセットにしました。お気に召さない場合は廃棄していただいて構いませんが、マンネリ防止に有効活用していただければ幸いです』

(なんだその最高の贈り物は…!)

正直言ってロキ王子を侮っていた。
まさかこれほどピンポイントで作らせてみたいなと少し思っていたものを贈ってくるとは…。
ガヴァム王国はそう言ったアイテムを作るノウハウが既にあるということなのだろうか?
これからは欲しいものが合ったらまずは問い合わせてみようと少し思いながら機嫌よくその品を確認してみる。
アルフレッドがすぐ傍に居るため手に取ってじっくり見ることはできない。
だから箱はすぐに閉じたが、わざわざ詫びの品だと言って贈ってくるほどの物だし品質的にも問題はないだろう。
あっさりと機嫌が直った俺にアルフレッドが怪訝そうな顔で贈り物がなんだったのかを聞いてきたが、それをここで教えるつもりはない。
言えば逃げるだろうし、嫌でも今晩わかるのだから別に構わないだろう。

(さて…そうとなったら仕事などさっさと片付けてしまわないとな)

いくら仕事が多かろうと、俺はこれを早くアルフレッドに使いたいのだ。

「ノヴァ。仕事の時間だ」
「は…。ではこちらへ」

帰って早々やる気を出した俺に何かを察したのか、ノヴァは特に何を言うこともなくすぐさま付き従う。

「ああ、そうだ。先に送った書類に父の御璽はもらえたか?」
「はい。驚かれた後呆れたように溜息を吐いてはおられましたが、きちんと承認されておりました」
「そうか。では…今夜は絶対に邪魔だけはするなよ?」
「御意」

────今夜が本当に、とても楽しみだ。


****************

※次回はそんな感じでR-18なので、苦手な方は飛ばしてください。
宜しくお願いします。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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