王子の本命~無自覚王太子を捕まえたい〜

オレンジペコ

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第二章 側妃問題はそっちのけでイチャつきたい!

45.※ヴァレトミュラの旅

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それから二日ほどディオはゴッドハルトに滞在して、ディア王女がヴァレトミュラで連れてきていた騎士達数名に実際に俺が指導している姿を見てもらい、今後の鍛錬スケジュールなども細かく決定した。
ちなみに内容は俺の意見を大いに反映した形だ。
大体ひと月単位で受け入れる形にして、長期な分訓練は厳しすぎるところにまではせず、休憩時間や息抜きの休暇もちゃんと含めてみた。

ディア王女からはそれでも『これで厳しすぎないと言えるところは流石ですわ。清々しいまでに強さを追求するスタンスですわね』と呆れられたが、ディオには『ルーセウスはやっぱり凄いな。俺だと変態騎士達に慈悲はなかなかあげられないと思う』とキラキラした目で見つめられた。

けれど『抱きしめたい!』と思ったのも束の間、ディア王女に邪魔されて、その後もディオにスキンシップをしようとする度にセレナや母に妨害される始末。
戴冠式まで我慢と皆が口を揃えて言ってくるのが辛い。
そうして昼間に我慢が続くとどうなるかというと、当然二人きりになった夜はお互い燃え上がるというもので、ディオも俺もこれまで以上に貪り合う事に。

「ディオ…ディオが足りない」
「俺も。ルーセウスとずっと繋がってたい」

部屋に戻ったらベッドに一直線だ。
いっぱい愛してと甘えてくるディオをいっぱい感じさせて、俺の形をその身体に覚え込ませる。

「ディオ。これが欲しくなったら、いつでも呼び出してくれ。最速で駆けつけるから。間違ってもこっそりディルドを作るなよ?玩具より本物の方がいいに決まってるからな」
「んっんっ、あっ、ルーの熱いので、もっと奥まで満足させてっ…!」

嬉しそうにねだって堕ちていく淫らで可愛い俺のディオ。
毎日毎日愛でてるからか、どんどん妖艶さが増している気がする。
ストイックな印象が強かった出会った当初と比べると、今は大輪の花が咲いたかのような麗しい印象になったと言えた。
愛されて綺麗になるとはよく言ったものだ。
腰のラインが色っぽくてついつい撫で上げたくなる。

その日もディオが欲しがるだけ子種を注いで、眠りについた。


***


そして今日、とうとうヴァレトミュラでディオをガヴァムへと送る日を迎えた。
まだ数日一緒とはいえ、幸せいっぱいな日々がもうすぐ終わってしまうのは悲しい。

「ディオ。ヴァレトミュラなら邪魔も入らないし、ずっと一緒に過ごそうな」

護衛候補の兵達と諜報員候補の者達などはいるが、基本寝台がある個室の中にまでは入って来ない。
だからゴッドハルトでの日々よりはイチャイチャし易いはず。
ディア王女もいるが、男女別室にしたからそっちはそっちで好きに伸び伸び過ごしてもらえたらと思う。

ディオと一緒に居られるこれまでで一番長い貴重な時間。
それはある意味蜜月のような時間と言えた。




椅子に腰掛け服を着たまま繋がって、声が漏れないよう唇を深く重ねてユサユサと腰を揺らす。
グチュグチュといった水音と時折漏れる甘い吐息だけが部屋に響く。

「あっあっ、ルーっ。ずっとこうしていたいっ」
「ん。激しいのもいいけど、こうしてるのもいいな。何時間でもずっと愛し合える気がする」

昼間はそんな風にこっそり繋がって、夜は夜で愛し合う。
勿論仕事もちゃんとこなした上で、だ。

「ディオ。トロトロだな」
「あ…もっと抱いて…」

夜、うっとり身を任せてくるディオを目一杯甘やかして満たしてやると、お返しとばかりに奉仕が返ってきて、愛おしさがいや増した。

そうやってガヴァムまで送り、そのまま城で一泊の際に思い切り抱いて、翌日暗部育成の研修施設へと向かった。
そこは本当に本格的な訓練所で、こういった施設は国内だけでなく他国にも幾つかあるらしい。

「ディオ王子。いらっしゃい」
「ヨハネス。今日は宜しく」

ディオが言うには彼がこの施設の責任者らしい。
黒髪にグリーンのメッシュが入った、いかにも暗部といった感じの細身の若い男だった。

「暫く見ない間に随分色っぽくなりましたね。それなら女装してハニートラップもできるんじゃないです?」
「そうかな?自分じゃわからないけど」
「いやいや、全然前と違いますよ?言われませんか?」
「特には?」

ディオは不思議そうだが、確実に色っぽくなってる。

(それにしても、他の奴から見てもわかるもんなんだな)

バレたらマズイかもしれないが、俺に抱かれてそうなったんだと思うとちょっと嬉しい。
複雑な男心だ。

「まあもうすぐ国王になるディオ王子が誰にハニートラップなんてするんだって話ですけど。ハハハッ」

そんな風に茶化しながらヨハネスという男は施設内を案内してくれた。
ちなみに今日はディア王女はいない。
『ディオがいればいいでしょう?』と言って、遠慮してくれたのだ。
連日二人の甘々っぷりを見過ぎて胸焼け気味だから今日はゆっくりしたいとのこと。
別に普通に妃とイチャイチャしてただけだと思うんだが…。

「ゴッドハルトから人を送るとして、この施設は何人くらい一度に研修が受けられるんだ?」
「そうですね。現在こちらにいる者達も居ますから、一度で受け入れられるのは30人くらいでしょうか?そこから篩にかけていく形になるかと」

結構多く受け入れてもらえるようだ。
これなら諜報員達も思ったよりも早く育つかもしれない。
そう思いながら一緒に連れてきた諜報員向きの文官も交えて打ち合わせを行い、今後のスケジュールをしっかりと決めさせてもらった。

「ルーセウス…」

城へと戻り、これでまた暫く会えなくなる寂しさを感じていたら、ディオも寂しそうに袖を引いてくる。

「ディオ。そんなに寂しそうにするな。俺だって寂しい」
「うん。ルーセウス。この二週間、一緒にいられて凄く嬉しかった」
「俺もだ」
「その…会えなくても声だけは毎日聞きたいから、ツンナガールでまた連絡する」
「勿論。そうだ!研修施設に毎月諜報員の様子を見に来ようか?進捗状況も知りたいし。そのついでに時間が合えばデートしよう」

そう言ったらパッと顔を輝かせて、『じゃあ俺も変態騎士達が真面目に頑張ってるかどうかたまに抜き打ちで見に来ようかな。それならゴッドハルトに来ても不自然じゃないし』と言ってくれた。

一時的に離れるけど、俺達はまたいつでも会える。
そんな気持ちでそっと唇を重ね合った。


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