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Ⅱ.セカンド・コンタクト
22.二人で遠乗りに行こう!
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(……知らなかった。俺って寝相悪かったんだな)
朝起きたら思いっきりラフィに抱き着いて寝てて、もぞもぞ目の前の温もりに頬ずりしたら『ユウジ!くすぐったいって!』と言いながらラフィがクスクス笑ってた。
寝ぼけてゴメンって気持ちでいっぱいだ。
「恥ずかしい…」
「いや~。役得役得」
楽しそうに笑うラフィは全く気にしてなさそうだけど、ちゃんとゆっくり寝れただろうか?
それが心配だ。
「もしかして夜、寒かったか?この部屋、眠りが妨げられないように適温に保ってるんだけど、ユウジが寒かったなら温度設定変えるし、ちゃんと教えてくれ」
「え?!ああ、大丈夫。適温だったと思う」
知らなかったけどエアコンみたいな感じで温度管理がされていたらしい。
特に寒いとか感じなかったけど、もしかしたら布団でも蹴飛ばして一時的に寒かったのかもしれない。
だからそう言ったら、取り敢えず今夜は様子を見つつ温度設定を変えた方が良さそうなら変えようかということになった。
「一人で寝てる時と二人で寝てる時だと体感温度も変わるしな」
俺が気にしないようそんな風に言ってくれるラフィの優しさが地味に胸に沁みる。
ラフィのこういうところは本当に大好きだ。
「さてと。今日は何する?馬で遠出でもして湖で釣りでもしようか?それともユウジのお弁当を持ってピクニックもいいな」
「馬で遠出は楽しそうだけど、多分遠出は無理だと思う。だって馬はこの間初めて乗ったばっかだし」
「ハハッ!大丈夫大丈夫!当然俺と相乗りだから。出先で練習してもいいし、邪魔が入ったりもしないだろうからいいかなって」
どうやらエレンドスや第一王子の邪魔が入らないよう提案してくれたっぽい。
そう言うことなら俺もその提案に全力で乗っかろう。
「じゃあさ、ラフィが仕事を片付けてる間に俺、弁当作っとくよ。食べたいものがあればリクエストも受け付けるけど、どうする?」
そう言ったらパッと顔を輝かせて、この間とはまた違うメニューがいいと言ってきた。
「ユウジの好物が盛り沢山な弁当がいい!俺は向こうの料理が食べられるし、ユウジの好みもわかるから一石二鳥だろ?ユウジの好みが把握出来たらこっちの料理で似たようなのがあったら教えてやれるし、どうだ?」
「それいい!俺もこっちの料理が知れるから本当に一石二鳥だ!」
二人でそんな風に盛り上がって、じゃあまた後でと言ってそれぞれ分かれた。
俺の好物をラフィに食べてもらって、気に入ってもらえたら嬉しい。
そんなことを考えながら俺は厨房へと足を運んで、食材諸々をゲットしに行った。
***
さてさて。今日は何にしようかな?
ふんふんふ~ん。と鼻歌を歌いながら俺はポテトサラダもどきとピーマンの肉詰め、揚げナス、エビフライなどを作っていく。
これだけだと野菜がちょっと足りないから、適当な野菜とキノコで炒め物も作ってっと。
後はバケットももらえたからスライスして、半分はガーリックバターを塗ってこんがり香ばしく焼き目をつけて、残り半分はフレンチトーストにしようか。
どちらかをラフィが気に入ってくれたらいいんだけど。
そんな風にお弁当を作り、詰め終わったところでちょうどラフィがやってきた。
「ユウジ、お待たせ」
「ラフィ!仕事終わった?」
「ああ」
「こっちもちょうど詰め終わったところだったんだ」
そう言ってお弁当を見せると、美味しそうと目を輝かせてくる。
「早く食べたい!」
「ラフィは食いしん坊だな」
「ユウジが作ったものだから早く食べたいんだろ?凄く美味しそうだ」
「ふふっ。じゃあ行こうか」
俺は弁当を手提げに入れて、褒め上手なラフィと一緒に厩へと向かった。
今日乗せてもらうのはラフィの馬のロッキーだ。
がっしりした馬だから二人乗りも全然平気らしい。
「ロッキー。今日はよろしく」
そう言って鬣を撫でると任せろと言うように小さく嘶いてくれた。
それから後ろからラフィに包み込まれるような形で遠出することになったんだけど、これがまた妙に安定感があって一人で乗るより断然安心できた。
馬に乗り慣れてる相手と一緒に乗ると安心感が全然違うな~なんて思いながら吹き付けてくる気持ちのいい風を感じていた俺。
ラフィはちょいちょい俺を気遣ってスピードをどれくらいまで上げて大丈夫か確認してくれていた。
俺は割とジェットコースターとか平気な方だし、飛ばしても大丈夫って言ったらちょっと心配そうにしながらも『試しに飛ばしてみるからしっかり摑まってろ』って言ってかなり速く走ってくれた。
これがまた気持ちいいのなんの。
思わず『凄い楽しい!』って言ったら、ラフィも『俺もこれくらいが好きだ』って言うから、二人で一緒になって笑いあった。
湖に着くと早速お弁当タイム。
折角釣りに来たんだから釣った魚を食べてもよかったんだけど、すぐに釣れるかはわからないし、先に食べようってなったんだ。
お弁当の中身を一つ一つ丁寧に説明して行くと、いくつかは似たようなのがあるって言われたけど、全部が全部じゃなかったから喜んでもらえたんじゃないかと俺的には思ってる。
特にフレンチトーストは初めて食べたって言われて、デザートみたいに甘いって言って驚かれた。
もしかしてこっちって菓子パンみたいな甘い系のパンってないのかもしれない。
ケーキとかはあるみたいなんだけどな。
あと、ピーマンの肉詰めには本当に驚かれた。
半分に切った中に肉を詰めるだけでこんなに食べやすくなるなんてって言われたから、もしかしてって思って聞いたら、案の定ピーマンは苦いから苦手だったんだってラフィは素直に答えてきた。
でもこれならいくらでも食べられるって言いながらお世辞じゃなくほぼ全部ペロッと食べてしまった。
「ラフィ。本当に苦手だった?嘘ついてない?」
「嘘なんてついてない。本当にリーマーは苦手で、いつもは無理して食べるんだ」
ピーマンはこっちではリーマーって言うらしい。
見た目も味もそっくりだから変な感じ。
「この間のククリーナといい、今回のリーマーといい、ユウジの手にかかるとまるで魔法みたいに食べられるから不思議だな」
「え?そう?もしかして友情パワーだったりして」
「ハハッ。それはあるかもな。俺がユウジのことを好き過ぎて、全部美味しく感じるのかも」
「またまた。ラフィは上手いんだから」
煽てても何も出ないぞって言ったのに、ラフィはまた作ってくれるだろって言ってくるから、『そんなに煽てなくても作るって』と笑って答えた。
俺の手料理で苦手が克服できるならいくらでも頼ってほしい。
ラフィには本当に世話になってるんだから。
朝起きたら思いっきりラフィに抱き着いて寝てて、もぞもぞ目の前の温もりに頬ずりしたら『ユウジ!くすぐったいって!』と言いながらラフィがクスクス笑ってた。
寝ぼけてゴメンって気持ちでいっぱいだ。
「恥ずかしい…」
「いや~。役得役得」
楽しそうに笑うラフィは全く気にしてなさそうだけど、ちゃんとゆっくり寝れただろうか?
それが心配だ。
「もしかして夜、寒かったか?この部屋、眠りが妨げられないように適温に保ってるんだけど、ユウジが寒かったなら温度設定変えるし、ちゃんと教えてくれ」
「え?!ああ、大丈夫。適温だったと思う」
知らなかったけどエアコンみたいな感じで温度管理がされていたらしい。
特に寒いとか感じなかったけど、もしかしたら布団でも蹴飛ばして一時的に寒かったのかもしれない。
だからそう言ったら、取り敢えず今夜は様子を見つつ温度設定を変えた方が良さそうなら変えようかということになった。
「一人で寝てる時と二人で寝てる時だと体感温度も変わるしな」
俺が気にしないようそんな風に言ってくれるラフィの優しさが地味に胸に沁みる。
ラフィのこういうところは本当に大好きだ。
「さてと。今日は何する?馬で遠出でもして湖で釣りでもしようか?それともユウジのお弁当を持ってピクニックもいいな」
「馬で遠出は楽しそうだけど、多分遠出は無理だと思う。だって馬はこの間初めて乗ったばっかだし」
「ハハッ!大丈夫大丈夫!当然俺と相乗りだから。出先で練習してもいいし、邪魔が入ったりもしないだろうからいいかなって」
どうやらエレンドスや第一王子の邪魔が入らないよう提案してくれたっぽい。
そう言うことなら俺もその提案に全力で乗っかろう。
「じゃあさ、ラフィが仕事を片付けてる間に俺、弁当作っとくよ。食べたいものがあればリクエストも受け付けるけど、どうする?」
そう言ったらパッと顔を輝かせて、この間とはまた違うメニューがいいと言ってきた。
「ユウジの好物が盛り沢山な弁当がいい!俺は向こうの料理が食べられるし、ユウジの好みもわかるから一石二鳥だろ?ユウジの好みが把握出来たらこっちの料理で似たようなのがあったら教えてやれるし、どうだ?」
「それいい!俺もこっちの料理が知れるから本当に一石二鳥だ!」
二人でそんな風に盛り上がって、じゃあまた後でと言ってそれぞれ分かれた。
俺の好物をラフィに食べてもらって、気に入ってもらえたら嬉しい。
そんなことを考えながら俺は厨房へと足を運んで、食材諸々をゲットしに行った。
***
さてさて。今日は何にしようかな?
ふんふんふ~ん。と鼻歌を歌いながら俺はポテトサラダもどきとピーマンの肉詰め、揚げナス、エビフライなどを作っていく。
これだけだと野菜がちょっと足りないから、適当な野菜とキノコで炒め物も作ってっと。
後はバケットももらえたからスライスして、半分はガーリックバターを塗ってこんがり香ばしく焼き目をつけて、残り半分はフレンチトーストにしようか。
どちらかをラフィが気に入ってくれたらいいんだけど。
そんな風にお弁当を作り、詰め終わったところでちょうどラフィがやってきた。
「ユウジ、お待たせ」
「ラフィ!仕事終わった?」
「ああ」
「こっちもちょうど詰め終わったところだったんだ」
そう言ってお弁当を見せると、美味しそうと目を輝かせてくる。
「早く食べたい!」
「ラフィは食いしん坊だな」
「ユウジが作ったものだから早く食べたいんだろ?凄く美味しそうだ」
「ふふっ。じゃあ行こうか」
俺は弁当を手提げに入れて、褒め上手なラフィと一緒に厩へと向かった。
今日乗せてもらうのはラフィの馬のロッキーだ。
がっしりした馬だから二人乗りも全然平気らしい。
「ロッキー。今日はよろしく」
そう言って鬣を撫でると任せろと言うように小さく嘶いてくれた。
それから後ろからラフィに包み込まれるような形で遠出することになったんだけど、これがまた妙に安定感があって一人で乗るより断然安心できた。
馬に乗り慣れてる相手と一緒に乗ると安心感が全然違うな~なんて思いながら吹き付けてくる気持ちのいい風を感じていた俺。
ラフィはちょいちょい俺を気遣ってスピードをどれくらいまで上げて大丈夫か確認してくれていた。
俺は割とジェットコースターとか平気な方だし、飛ばしても大丈夫って言ったらちょっと心配そうにしながらも『試しに飛ばしてみるからしっかり摑まってろ』って言ってかなり速く走ってくれた。
これがまた気持ちいいのなんの。
思わず『凄い楽しい!』って言ったら、ラフィも『俺もこれくらいが好きだ』って言うから、二人で一緒になって笑いあった。
湖に着くと早速お弁当タイム。
折角釣りに来たんだから釣った魚を食べてもよかったんだけど、すぐに釣れるかはわからないし、先に食べようってなったんだ。
お弁当の中身を一つ一つ丁寧に説明して行くと、いくつかは似たようなのがあるって言われたけど、全部が全部じゃなかったから喜んでもらえたんじゃないかと俺的には思ってる。
特にフレンチトーストは初めて食べたって言われて、デザートみたいに甘いって言って驚かれた。
もしかしてこっちって菓子パンみたいな甘い系のパンってないのかもしれない。
ケーキとかはあるみたいなんだけどな。
あと、ピーマンの肉詰めには本当に驚かれた。
半分に切った中に肉を詰めるだけでこんなに食べやすくなるなんてって言われたから、もしかしてって思って聞いたら、案の定ピーマンは苦いから苦手だったんだってラフィは素直に答えてきた。
でもこれならいくらでも食べられるって言いながらお世辞じゃなくほぼ全部ペロッと食べてしまった。
「ラフィ。本当に苦手だった?嘘ついてない?」
「嘘なんてついてない。本当にリーマーは苦手で、いつもは無理して食べるんだ」
ピーマンはこっちではリーマーって言うらしい。
見た目も味もそっくりだから変な感じ。
「この間のククリーナといい、今回のリーマーといい、ユウジの手にかかるとまるで魔法みたいに食べられるから不思議だな」
「え?そう?もしかして友情パワーだったりして」
「ハハッ。それはあるかもな。俺がユウジのことを好き過ぎて、全部美味しく感じるのかも」
「またまた。ラフィは上手いんだから」
煽てても何も出ないぞって言ったのに、ラフィはまた作ってくれるだろって言ってくるから、『そんなに煽てなくても作るって』と笑って答えた。
俺の手料理で苦手が克服できるならいくらでも頼ってほしい。
ラフィには本当に世話になってるんだから。
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